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HubSpot アナリティクス全体像と主要指標の把握
HubSpot のアナリティクスは、マーケティング・営業・カスタマーサクセスという3つの業務領域ごとにレポートが分離されているため、担当者が自分に必要なデータだけをすぐに確認できます。本セクションでは、ダッシュボードの構成要素と部門別でよく使われる KPI を整理し、レポート作成の出発点となる「何を見るか」を明確にします。
アナリティクスダッシュボードの主なタブ
HubSpot の左サイドバー [レポート] 配下には、以下の3つが標準で用意されています。
| タブ名 | 主な役割・利用シーン |
|---|---|
| 概要ダッシュボード | 全体トラフィック、コンバージョン率、主要指標を一目で把握する。 |
| カスタムレポート | コンタクト、企業、取引など任意のオブジェクトを組み合わせて自由設計できる。 |
| 属性別分析 | プロパティ(属性)ごとの分布や相関関係を可視化し、セグメント施策に活用する。 |
参考:HubSpot 公式ドキュメント「レポートツールの概要」
部門別で重視すべき KPI と計算式例
各部門が日常的にモニタリングする指標を表にまとめました。実務ではこのリストから自社に合った KPI を選定し、レポートの軸として設定します。
| 部門 | 主な KPI | 計算式・説明 |
|---|---|---|
| マーケティング | コンバージョン率 | (コンバート数 ÷ 訪問者数)×100% |
| 営業 | MQL 数 | スコアリング条件を満たすリードの件数 |
| カスタマーサクセス | NPS(Net Promoter Score) | 推奨度調査の結果から算出される顧客ロイヤルティ指標 |
実践ポイント
- KPI を決めたら必ず 「目標値」 と 「測定頻度」 を併せて定義する。
- 目的が明確になるほど、レポート作成時のフィルタ設定や可視化タイプ選択がスムーズになる。
レポート作成画面へのアクセス方法と権限設定
HubSpot ではレポート作成に必要なロールが限定されているため、事前に正しいメニュー経路と権限を確認しておくことがトラブル防止の鍵です。本セクションでは、実際にビルダーへたどり着く手順と、管理者が設定すべきロール・権限をご紹介します。
メニュー構造からレポートビルダーへたどり着く手順
- HubSpot にログイン 後、左サイドバーの [レポート] をクリック。
- 表示されたドロップダウンメニューで [カスタムレポート ビルダー](2025 年 12 月リリースの UI 改訂により「分析」カテゴリへ統合)を選択。
- 右上の [新規作成] ボタンを押すと、データソース選択画面が開きます。
※2026 年版 UI の変更点は HubSpot Release Notes(2025‑12‑01)に記載されています。公式リリースノート をご参照ください。
必要なユーザー権限とロールの設定手順
| 権限名 | 主な操作 | 設定場所 |
|---|---|---|
| Report Management(レポート管理) | 作成・編集・削除 | [ユーザー設定] > [ロール] から該当ロールに付与 |
| View Reports(閲覧権限) | 既存レポートの参照のみ | 同上、閲覧専用ロールで利用 |
実務上の注意点
- 権限が不足していると 「アクセスが拒否されました」 エラーが表示されるため、プロジェクト開始時に必ずロールをチェック。
- ロールは部門単位だけでなく、レポートごとの共有設定とも組み合わせて最小権限の原則を徹底します。
カスタムレポート作成フロー:データソース選択から可視化まで
この章では、実際に カスタムレポート ビルダー でレポートを完成させるまでの手順を 4 ステップに分解し、各ステップごとのベストプラクティスと AI サジェスト活用例を交えて説明します。
1. データソースとオブジェクトの選定
HubSpot が提供する主なデータソースは次の3つです。目的に応じて最適なオブジェクトを選び、後続の指標・ディメンション設定をスムーズにします。
| データソース | 代表的な活用例 |
|---|---|
| コンタクト | メール開封率やランディングページ閲覧履歴の分析 |
| 企業(会社) | 法人規模別・業種別の売上予測 |
| 取引(Deal) | 営業パイプラインステージごとの金額集計 |
選定ポイント
- 営業系レポート → まずは「取引」オブジェクトをベースにする。
- マーケティング施策の効果測定 → 「コンタクト」+「キャンペーン」の組み合わせが有効。
2. 指標(Metrics)とディメンション(Dimensions)の配置
ビルダー左側のパネルからドラッグ&ドロップで指標・ディメンションを設定します。ここでは AI が自動提案する「サジェスト項目」を活用すると、見落としがちな関連指標を簡単に追加できます。
- 指標 パネルから「取引金額」や「リードスコア」など数値データをドラッグ。
- ディメンション パネルから「作成月」「ステージ」等の属性を同様に配置。
- 画面右上に表示される [AIサジェスト] タブで、HubSpot が過去 30 日間のデータ傾向を分析し提案する指標や可視化タイプを確認。
⚠️ AI サジェストは「提案」にすぎません。ビジネス要件と照らし合わせて必ず最終判断を行ってください。
3. フィルタ・集計方法の設定
レポートが目的に沿うよう、対象データを絞り込むフィルタと集計ロジックを決めます。以下は一般的な設定例です。
| 設定項目 | 例 |
|---|---|
| フィルタ | ステージ = 「提案中」かつ 金額 > 10,000 USD |
| 集計方法 | 合計、平均、最大、中央値などから選択 |
| グルーピング | ディメンション「作成月」で月次集計 |
ヒント
- 複数フィルタは AND 条件 がデフォルトです。OR 条件が必要な場合は「カスタムロジック」オプションを使用。
- 集計方式は指標ごとに個別設定できるため、同一レポート内で「合計金額」と「平均リードスコア」を同時に表示可能。
4. 可視化タイプの選択と微調整
最後にデータをどのようなグラフで表現するか決定します。HubSpot が自動提案するチャートは、データ構造(時系列・カテゴリ別)に合わせて最適化されていますが、以下の基準で手動でも切り替えられます。
| データ特性 | 推奨可視化 |
|---|---|
| 時系列変化 | 折れ線グラフ、エリアチャート |
| カテゴリ比較 | 棒グラフ、円グラフ |
| 相関分析 | 散布図、ヒートマップ |
実装手順
1. 右ペインの [可視化タイプ] メニューから希望のチャートをクリック。
2. カラー・軸ラベル・ツールチップなどのオプションは [設定] タブで微調整。
2026 年版 UI の変更点と AI レコメンド機能(※公式情報に基づく)
HubSpot は毎年 UI 改善を行っており、2026 年リリースでは操作性が大幅に向上しました。本節では、実務で即効的に活かせる変更点と AI レコメンド機能の具体的な利用シーンを解説します。なお、記事執筆時点(2026‑06‑01)で公式に発表されている情報に基づいていますが、今後のアップデートで仕様が変わる可能性があります。
主要 UI 改善ポイント
| 項目 | 変更内容・効果 |
|---|---|
| フラットデザイン | 階層が削減され左ペインと右ペインの幅が可変。画面サイズに応じて自動リフローし、情報密度が最適化。 |
| コンテキストメニュー統合 | 指標・ディメンションを右クリックすると 「編集」「削除」「コピー」 が即表示。操作回数が平均 30% 削減されたと公式レポートで報告。HubSpot UI Update |
| ドラッグ&ドロップの視覚フィードバック | マウスホバー時にハイライトが入り、配置ミスを瞬時に認識できる。大規模レポート作成時のエラー率が低下。 |
AI レコメンド(旧称:AIサジェスト)機能の概要
- 自動指標提案:ビルダー起動直後、過去 30 日間のデータパターンを解析し、相関性の高い指標を最大 5 件提示。例として「取引金額」と「リードスコア」の相関が示される。
- 最適可視化提案:データ分布が時系列であれば折れ線グラフ、カテゴリ別比較なら棒グラフを自動推奨。提案は右上の [AIレコメンド] タブに集約され、[採用] ボタン一つで適用可能。
- 計算列・カスタムプロパティ結合支援:式エディタ内で自然言語(例:「顧客生涯価値の 80%」)を入力すると、対応する計算列コードが自動生成される。
注意点:AI が提案する指標はあくまで統計的な相関に基づくものであり、ビジネス上の因果関係を保証しません。導入前に必ず担当者とレビューしてください。
データモデリング機能(2026 年版)
- カスタムプロパティ結合:複数オブジェクト間でキー項目(例:
contact.emailとdeal.contact_email)を結合し、単一レポートに集約。 - 計算列の作成:式エディタで
{{contact.lifetime_value}} * 0.8のように記述すると、リアルタイムで評価された新指標が生成されます。
📌 詳細は公式ドキュメント「カスタムレポート ビルダーの高度な機能」をご参照ください。
作成したレポートの保存・共有と定期配信設定
レポートが完成したら、チーム全体で活用できるようにダッシュボードへ配置し、必要に応じて自動配信を設定します。本節では手順ごとの留意点と、権限・プライバシーリスクの管理方法をまとめます。
ダッシュボードへの保存と共有設定
- ビルダー右上の [保存] → 「新規ダッシュボードへ追加」または既存ダッシュボードを選択。
- ダッシュボード作成時に 閲覧権限 を「全社公開」「部門限定」「特定ユーザー」のいずれかで設定。
- 右上の [共有] メニューから対象ロールや個別ユーザーを追加し、必要に応じて 編集権限 も付与。
ベストプラクティス:機密情報(例:個人の電話番号・メールアドレス)を含むレポートは「部門限定」か「特定ユーザー」のみで共有し、誤って全社公開にならないようにチェックリストを作成。
定期配信スケジュールの設定手順
| 手順 | 操作内容 |
|---|---|
| 1 | ダッシュボード画面左下の [自動配信] アイコンをクリック。 |
| 2 | 配信頻度(日次・週次・月次)と送信時刻を選択。例:毎週月曜 09:00 に営業チームへメールで送付。 |
| 3 | 受取人リスト を「ユーザーグループ」または個別メールアドレスで指定。変更があれば同画面から随時更新可能。 |
注意点:配信設定後は必ずテストメールを送信し、レポートの見た目・権限が正しいか確認してください。
データ遅延・権限ミス・プライバシーリスクへの対策
- データ遅延:HubSpot のレポートは最大 30 分程度の遅延が発生します。リアルタイム性が必須の場合は、API 経由で取得したデータを外部 BI ツールに流すことも検討してください(API ドキュメント)。
- 権限設定ミス:過剰な閲覧権限は情報漏洩リスクにつながります。ロールごとの権限一覧を定期的にレビューし、最小権限の原則を徹底しましょう。
- プライバシー遵守:GDPR・日本の個人情報保護法に準拠するため、レポートで表示する個人属性は「必要最低限」に抑える。不要なフィールドは [プロパティ設定] から非表示化してください。
まとめと実務活用チェックリスト
HubSpot の最新 UI と AI レコメンド機能をうまく組み合わせれば、レポート作成・共有・配信の一連のフローが大幅に効率化します。以下のチェックリストをプロジェクト開始時と定期的なレビュー時に活用すれば、抜け漏れなく運用できます。
| 項目 | 確認ポイント |
|---|---|
| 全体像と KPI | 目的別に必要な指標・データソースを事前に決定したか。 |
| アクセス権限 | ユーザーが Report Management 権限を保有しているか。 |
| レポート作成手順 | データソース → 指標/ディメンション → フィルタ → 可視化 の 4 ステップが完了しているか。 |
| AI サジェスト活用 | AI が提案した項目をビジネス要件と照合し、不要なら除外したか。 |
| UI 変更点への適応 | フラットデザイン・コンテキストメニューの操作に慣れ、マニュアルが古くないか。 |
| 保存・共有設定 | ダッシュボード権限が正しく設定され、機密情報が過剰公開されていないか。 |
| 定期配信 | 配信スケジュールと受取人リストが最新であることをテストメールで確認したか。 |
| パフォーマンス・プライバシー | 大量データ時の遅延対策、GDPR/個人情報保護法への準拠チェックを実施したか。 |
次のステップ:本ガイドをチーム内で共有し、1 週間以内に「サンプルレポート」を作成してみましょう。その結果を踏まえて権限やフィルタ設定を微調整すれば、実務ですぐに効果が実感できるはずです。
本記事の情報は執筆時点(2026‑06‑01)で公式ドキュメントおよびリリースノートをもとに作成しています。最新情報は随時 HubSpot の公式サイトをご確認ください。