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Polycam のインストールと iPhone LiDAR 対応機種
Polycam を iPhone で本格的に活用するには、まずアプリが動作できる OS とハードウェアを正しく把握しておく必要があります。ここでは iOS の最低バージョン と LiDAR 搭載デバイス の確認方法をまとめました。最新の iOS にアップデートすれば、よりスムーズにスキャンが行える点も解説します。
iOS バージョン要件
Polycam は iOS 13 以降 のデバイスで動作します(公式サポートは iOS 13‑+)。iOS 17 がリリースされたことにより、LiDAR データの処理速度や AI 機能が最適化されましたが、必須条件ではなく 推奨環境 として位置付けられています。古いバージョンを使用中の場合は、設定 → 一般 → ソフトウェア・アップデートから最新の iOS に更新してください【1】。
対応デバイス一覧
以下の表は、2024 年 10 月時点で 公式に LiDAR が搭載されていることが確認できている iPhone と iPad Pro(第5世代以降) を示しています。将来的に新機種が発売された場合は、Polycam のアップデートで対応が追加される可能性がありますが、現時点では未発表の「iPhone 16 Pro」等については 正式なサポート情報がありません ので記載を控えました。
| 機種 | 発売年 | LiDAR 有無 |
|---|---|---|
| iPhone 12 Pro / 12 Pro Max | 2020 | ○ |
| iPhone 13 Pro / 13 Pro Max | 2021 | ○ |
| iPhone 14 Pro / 14 Pro Max | 2022 | ○ |
| iPhone 15 Pro / 15 Pro Max | 2023 | ○ |
| iPad Pro(第5世代以降) | 2021‑ | ○ |
確認方法:設定 → プライバシーとセキュリティ → センサー情報で「LiDAR」項目の有無をチェックできます。
初期設定とスキャンモードの選択
スキャン品質は、アプリ側の解像度・メッシュ密度設定と撮影環境(光条件)に大きく左右されます。本セクションでは、実務で推奨するデフォルト設定 と リアルタイムプレビューを活用した光管理のコツ を具体的に解説します。
解像度・メッシュ密度の設定
Polycam の「Settings」からアクセスできる項目は次のとおりです。高解像度ほどストレージ消費とバッテリー負荷が増えるため、用途に応じて調整してください。
- Settings(歯車アイコン)をタップ
- Scan Settings → Resolution で「Balanced」か「High」を選択。
- 同メニューの Mesh Density は「Fine」「Balanced」「Coarse」から選べますが、測量用途では Balanced が処理速度と精度のバランスが最適です。
ポイント:LiDAR モードはデフォルトで低解像度でも深度情報を高精度に取得します。テクスチャが必要な場合は「Photogrammetry」モードへ切り替えてください。
光条件とプレビュー活用のポイント
光環境はスキャン結果のノイズ量やテクスチャ再現性に直結します。以下の要点を守ることで、撮影失敗を最小限に抑えられます。
- 自然光がベスト:曇天や窓際の拡散光は均一な照明を提供し、影による深度誤差が減ります。
- 直射日光は避ける:強いハイライトは LiDAR の反射測定を乱すことがあります。
- LED 照明の活用:屋内で光量が足りない場合、色温度が一定な LED パネルを使用するとテクスチャ生成が安定します。
- Live Preview の確認:画面右下に表示されるプレビューは欠損エリアやノイズ箇所を赤くハイライトします。問題があればその場で再撮影し、データロスを防ぎます。
実践的な 3D スキャン手順
現場での作業効率は「対象物の配置」「撮影距離」「走行パターン」の3点に集約されます。ここでは、測量レベルのモデルを 数分以内 に取得できる標準フローをご紹介します。
対象物の配置と撮影距離
- 背景から最低 0.5 m 離す:余計な奥行き情報が混入しにくく、点群がクリーンになります。
- 推奨撮影範囲:LiDAR の有効測定距離は約 0.2 m〜3 m。小型部品は 0.3 m 前後、大型構造物は 1.5 m 程度を目安にしてください。
- 円形ルートでスキャン:対象の中心を基点に、ゆっくりと円を描くように歩きながらカメラを常に対象全体に向けます。この手順は影や死角を減らす最もシンプルな方法です。
スキャン実行フロー
- アプリ起動後、左上の New Scan をタップ。
- 「LiDAR」または「Photogrammetry」のモードを選択(テクスチャが必要なら Photogrammetry)。
- 画面中央に表示されるガイドラインに沿って対象物を回り、リアルタイムプレビューで赤い警告が出たらその箇所へ再度近づく。
- スキャン完了後は Stop をタップし、保存先(ローカル or Cloud)を指定します。
データエクスポートと CAD/BIM 連携
取得したモデルは複数のフォーマットで書き出せるため、設計部門や BIM ツールへの受け渡しが容易です。以下では 主要なエクスポート形式 と 代表的なソフトウェアへのインポート手順 をまとめました。
エクスポート可能フォーマット
| フォーマット | 主な用途 | メリット |
|---|---|---|
| OBJ | 汎用 3D モデル | 多くの CAD/BIM が対応、テクスチャ情報を保持 |
| FBX | アニメーション・ゲーム | 高精度メッシュと階層構造を維持 |
| LAZ (圧縮 LAS) | 大規模点群データ | ファイルサイズが小さく、測量向き |
| glTF | Web / AR 表示 | 軽量で高速ロード、ブラウザ直接表示可能 |
エクスポート手順は 画面右上の Export ボタン → フォーマット選択 → 「Cloud Export」か「Local Save」を決めるだけです。無料プランでもローカル保存が可能です。
主な設計ソフトへのインポート手順
| ソフト | 手順概要 |
|---|---|
| Autodesk Revit | 1) Revit 起動 → 「挿入」 > 「リンク CAD」 2) OBJ/FBX を選択 3) 単位を「メートル」、座標系は右手系に設定 |
| AutoCAD | 1) コマンドラインで IMPORT 2) OBJ または FBX ファイルを指定 3) 必要に応じてレイヤー分割 |
| Fusion 360 | 1) データパネル → 「アップロード」 2) glTF/OBJ を選択しクラウド保存 3) プロジェクト内でドラッグ&ドロップして開く |
| Bentley MicroStation | 1) ファイル > インポート > 3D モデル 2) LAZ 点群を選択 3) スキャン精度を保持したまま読み込む |
※インポート時は必ず「単位」をメートルに統一し、座標系の違いでサイズが変わらないよう注意してください。
チーム共有・プロジェクト管理と実務活用例
Polycam のクラウド機能を使えば、現場スタッフから設計部門までの情報伝達がリアルタイムで行えます。ここでは 権限設定 と 測定ツールの具体的な活用シーン を紹介します。
クラウドリンクと権限設定
- スキャン画面左上の Share アイコン → Create Cloud Link を選択。
- 作成されたリンクの Permissions で「閲覧のみ」「編集可能」などロールを割り当てる。
- 複数プロジェクトは Projects > New Project からフォルダ単位で管理し、メンバーごとにアクセス権を設定(無料プランでも最大 5 人まで共有可)。
この機能により、現場で取得したモデルが即座に設計チームの画面に表示され、コメントや修正指示も同一リンク上で行えるため、情報伝達ロスが大幅に削減されます。
測定ツールの活用シーン
- 建築現場測量:壁面・天井高さを Measure ツールで取得し、材料見積もりに直接反映。
- リモート点検:遠隔地設備の外観と容積をスキャンし、AI 補正後のモデルで異常箇所を可視化。顧客はリンクだけで確認できるため出張コストが削減。
- 製品プロトタイプ作成:小型部品を 0.3 m 前後からスキャンし、OBJ を Fusion 360 にインポートして CAD モデル化。そのまま LAZ 点群から形状検証用の 3D プリントデータへ変換。
トラブルシューティング
| 課題 | 原因例 | 推奨対策 |
|---|---|---|
| ノイズが多い | 照明不足・金属表面の反射 | 拡散光を確保し、鏡面はマスキングテープで覆う |
| バッテリー減少が早い | 高解像度+AI 処理の連続使用 | 設定で Resolution を「Balanced」に下げ、充電中に作業する |
| ストレージ不足 | 大容量メッシュと点群をローカル保存 | エクスポート前に Mesh Simplify を適用し、不要データは Cloud Delete で削除 |
まとめ
- OS 要件:iOS 13+ が必須。iOS 17 は推奨環境として処理速度が向上します。
- 対応機種:LiDAR 搭載の iPhone 12 Pro 系列以降と iPad Pro(第5世代以降)が公式にサポートされています。未発売機種については正式発表を待ちましょう。
- 初期設定:解像度は「Balanced」、メッシュ密度も同様に「Balanced」を基準にし、光条件は拡散光か均一な LED 照明で確保します。
- スキャン手順:対象物は背景から 0.5 m 離し、撮影距離は 0.3‑2 m を目安に円形ルートで走査。Live Preview で欠損箇所を即時修正します。
- エクスポートと連携:OBJ/FBX/LAZ/glTF のいずれかで書き出し、主要 CAD/BIM ソフトへシームレスにインポート可能です。
- チーム共有:クラウドリンクと権限設定でプロジェクトを統合管理し、測定ツールは面積・体積算出やリモート点検など多様な実務シーンで活用できます。
- トラブル対策:照明・バッテリー・ストレージの3点に注意すれば、安定したスキャン環境を維持できます。
上記手順とポイントを抑えれば、iPhone の LiDAR と Polycam だけで現場測量から設計データへの流通まで一貫したワークフローが実現します。ぜひ本記事を参考に、すぐにでも 3D スキャン作業を開始してみてください。
参照元
- Polycam 公式サポートページ – iOS 対応バージョン (https://poly.cam/support/ios)
- Apple 開発者向けドキュメント – LiDAR センサーの概要 (https://developer.apple.com/documentation/arkit/liDAR)