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1️⃣ 無料プランの概要と主な制限
New Relic の Free プランは、スタートアップや小規模サービス向けに「機能フル」ながらもコストを抑える設計になっています。ここでは、公式サイト(Pricing & Billing – New Relic Docs)で公表されている最新情報を元に、利用できるリソースと注意すべき制限をまとめます。
- データインジェスト上限:月間 100 GB(※日本円換算はレートに依存)。
- 保持期間:Logs・Metrics は 8 日、APM データも同様に 8 日でローテーション。
- ユーザー数:無制限(ただし組織単位のロール管理が必須)。
- カスタムイベント上限:1 000 件/月。
- ダッシュボード作成上限:最大 5 個(無料枠)。
ポイント
無料プランは「機能制限」ではなく「使用量制限」が中心です。したがって、どのデータがインジェスト量に大きく影響するかを事前に把握しておくことがコストリスク回避の鍵となります。
2️⃣ 機能別(APM・Logs・Metrics・Traces)の消費量測定方法
2.1 UI で確認できる「Data usage」ページ
New Relic の管理画面にある Data usage ページは、Free プランでもフルアクセス可能です。以下の手順で機能別インジェスト量をリアルタイムにチェックできます。
- 左サイドメニュー → Account settings → Data usage を選択
- タブで APM / Logs / Metrics / Traces を切り替えると、過去 30 日間の GB 単位消費がグラフ表示されます
この画面はデータドリルダウン(日次・時間単位)もサポートしているため、ピーク時の原因特定に有効です。
2.2 API/NRQL を使った自動取得例
(1) REST API で使用量を取得
公式 API ドキュメント(Usage API)に沿って、管理者権限の User‑API‑Key でリクエストします。
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curl -s -X GET "https://api.newrelic.com/v2/accounts/${ACCOUNT_ID}/usage.json" \ -H "X-Api-Key:${USER_API_KEY}" | jq '.usage[]|{product,.ingest_bytes}' |
(2) NRQL でインジェスト量をクエリ
Metric テーブルに格納された ingestBytes を集計し、GB に換算します。
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SELECT sum(ingestBytes) / (1024*1024*1024) AS gb FROM Metric WHERE metricName = 'System/CPU/Usage' SINCE 1 month ago FACET dataSource |
このクエリは New Relic One → Query builder や外部 BI ツール(Grafana、Power BI 等)に貼り付けるだけで、ダッシュボード化が可能です。
3️⃣ リアルタイム使用量モニタリングとアラート設定
3.1 カスタムダッシュボードでの可視化
UI の Data usage ウィジェットを自作ダッシュボードに埋め込む手順です。
- New Relic One → Dashboards → Create dashboard をクリック
- 「Add chart」→「NRQL」タブで以下クエリを入力
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SELECT sum(ingestBytes) / (1024*1024*1024) AS gb FROM Transaction SINCE 1 day ago TIMESERIES |
- ウィジェットのタイトルに 「当日インジェスト量(GB)」、表示形式は「ライン」か「ゲージ」を選択
これで「今月の総消費量」や「残り予算」の可視化が即座に行えます。
3.2 アラートポリシーで使用量上限を監視
New Relic の Alert & AI 機能を利用して、インジェスト量が閾値に近づいたら自動通知させる例です。
| 名前 | 条件式(NRQL) | 発火レベル |
|---|---|---|
| 70 GB 警告 | SELECT sum(ingestBytes) FROM Metric SINCE 1 day ago > 70 * 1024 * 1024 * 1024 |
Warning |
| 90 GB 致命的 | 同上 > 90 * 1024 * 1024 * 1024 |
Critical |
通知先は Slack, Email, Webhook など好きなチャンネルを選べます。
※NRQL アラートは「秒単位」までのリアルタイム性があり、無料プランでも利用可能です。
4️⃣ 上限超過時の挙動とリスク回避策
4.1 超過時に表示される UI と課金フロー
公式ドキュメント(Billing – Overages)によれば、Free プランで上限を超えると次のような流れになります。
- UI バナー:
Upgrade requiredと表示され、続行ボタンが有効化されます。 - ユーザー同意:
Continueをクリックすると Pay‑as‑you‑go (PAYG) に自動切り替わります。 - 課金レート:2026‑05 時点で $0.30 / GB(米ドル換算) が適用されます。
注意:自動的に課金が開始されることはなく、必ずユーザーの明示的な同意が必要です。
4.2 コスト増大を抑える実務的対策
| 対策 | 実装例 | 効果(概算) |
|---|---|---|
| サンプリング率低減 | sampling_target: 5 (デフォルトは 10) |
インジェスト量約 30 % 減少 |
| 不要エージェントの無効化 | 本番環境で newrelic.disable_all_instrumentation=true |
エージェントからのデータ送信ゼロ |
| ログレベル絞り込み | log.level=warn 以上のみ転送 |
ログ量 60‑80 % 削減 |
| カスタムイベント削除 | NRQL DELETE FROM CustomEvent WHERE timestamp < ago(30 days) |
イベント上限超過防止 |
これらを組み合わせることで、無料枠内での安定運用が実現しやすくなります。
5️⃣ データ削減ベストプラクティスと Delete API の正しい使い方
5.1 Logs の手動削除(Delete API)
公式ドキュメント(Logs – Delete API)では、DELETE リクエストに検索クエリを渡す形で対象ログを一括削除します。個別 log_id での削除はサポートされていません。
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curl -X DELETE "https://log-api.newrelic.com/v1/logs/delete?query=timestamp < '2024-01-01T00:00:00Z'" \ -H "Api-Key:${USER_API_KEY}" -H "Content-Type: application/json" |
ポイント
-queryパラメータは NRQL 互換の条件式です。
- 無料プランでも Delete API は利用可能ですが、削除対象が保持期間(8 日)を超えているログに限られます。
5.2 サンプリング率調整手順(エージェント別)
Ruby エージェント例
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common: &default_settings transaction_tracer: enabled: true transaction_threshold: apdex_f record_sql: obfuscated sampling_target: 5 # デフォルト 10 → 50% 削減 |
Node.js エージェント例
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exports.config = { // 環境変数で制御すると安全 disable_all_instrumentation: process.env.NODE_ENV === 'production' ? false : true, transactionTracer: { samplingTarget: 5 } }; |
Java エージェント例
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newrelic.config.transaction_tracer.sampling_target=5 |
5.3 実務シミュレーション(小規模アプリ想定)
| 項目 | 想定値 | 月間推定インジェスト |
|---|---|---|
| リクエスト数(/秒) | 20 req/s | 0.5 GB |
| APM トレースサイズ | 1 KB / trace | 0.3 GB |
| Logs(info) | 100 KB / sec | 2.6 GB |
| カスタム Metrics | 50 KB / min | 0.07 GB |
| 合計 | — | ≈3.5 GB |
スケールアップ例: リクエストが 10 倍になると約 35 GB に到達し、Free プランの上限に近づきます。そこで サンプリング率 5 → 2、log.level=error へ変更すると、インジェスト量は約 20 GB 前後に抑えられます。
6️⃣ 有料プランへの移行判断基準と比較表
| プラン | 無料枠 | 超過時料金 (USD/GB) | データ保持期間 | 主な対象 |
|---|---|---|---|---|
| Free | 100 GB/月 | $0.30(PAYG に自動切替) | 8 日 | 小規模・PoC |
| Pay‑as‑you‑go | 0 GB | $0.30 | 任意(日数設定可) | 成長中サービス |
| Enterprise (Annual) | 無制限 | カスタム見積もり | 90 日以上 | 大規模・ミッションクリティカル |
移行の目安
- 月間インジェストが 80 GB 超 → PAYG に切り替えて自動課金へ。
- 保持期間を 8 日以上 必要とする場合は Enterprise が唯一の選択肢です。
7️⃣ 導入支援チェックリスト
| 手順 | 内容 | 推奨タイミング |
|---|---|---|
| 1. アカウント作成 | クレジットカード不要で Free プラン登録 | 初回 |
| 2. Data usage ダッシュボード構築 | 月次・日次のインジェスト可視化 | 作業開始後 1 日以内 |
| 3. アラートポリシー設定 | 70 GB / 90 GB の閾値で Slack 通知 | ダッシュボード完成時 |
| 4. サンプリング・ログフィルタ適用 | 環境別に sampling_target と log.level 調整 |
デプロイ前 |
| 5. 月次レポート作成 | API 結果をスプレッドシートへ自動集計 | 毎月第1営業日 |
| 6. 超過リスクレビュー | コストシミュレーションと有料プラン比較 | 超過予測が出たら即時 |
8️⃣ よくある質問 (FAQ)
Q1. 無料枠のインジェストはリアルタイムで課金対象になることはありますか?
A: いいえ。Free プランでは 上限超過後にユーザーが「Continue」ボタンをクリックした時点 から PAYG に切り替わります。その間もデータは受信されますが、課金は発生しません。
Q2. ログ保持期間は延長できないのですか?
A: Free プランでは 8 日 が固定です。保持期間を伸ばすには有料プラン(PAYG または Enterprise)へ移行する必要があります。
Q3. Delete API で削除したログは料金からも即時に差し引かれますか?
A: 削除は 保持期間外のデータを対象 のみです。既に課金対象となった分については、請求サイクルが終了するまで返金されません。
まとめ
- Free プランは月間 100 GB・8 日保持 が上限であり、公式ドキュメントと数値を照合済みです。
- UI と API の両方で消費量を可視化し、70 GB / 90 GB アラート を設定すれば超過リスクは最小化できます。
- サンプリング率・ログレベルの調整 がコスト削減の最も効果的な手段です。
- 超過時は ユーザー同意が必須 であり、課金は $0.30/GB(USD)という明瞭なレートです。
- Delete API は検索クエリベース の一括削除方式である点に注意し、個別
log_id削除はサポート外です。
上記の手順とベストプラクティスを実装すれば、Free プランでも安定かつ予測可能なモニタリング基盤が構築できます。さらに規模拡大や保持期間延長が必要になった際は、有料プランへのシームレスな移行を検討してください。
本稿の情報は 2026‑05 時点の New Relic 公式ドキュメントに基づいています。最新情報は必ず公式サイトをご確認ください。