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Make.com(旧 Integromat)の概要と2026年 UI・機能アップデートの実態
Make.com は、ノーコードで多数の SaaS や自社 API をつなげる自動化プラットフォームです。2026 年 4 月に公開された「Next‑Gen UI」では、シナリオ作成フローが大幅に刷新され、開発工数を削減できる点が最大の特徴となります。本セクションでは、アップデートの根拠情報と、実務で押さえておくべき変更ポイントをまとめます。
- 出典:Make 社公式リリースノート(2026/04)link
- 主要変更点
- モジュール検索バーのインラインサジェスト機能
- テンプレートギャラリーの AI 自動分類とワンクリックインポート
- シナリオ共同編集(リアルタイムコラボ)機能の追加
注記:本稿で引用している数値(例:作業時間30%削減)は、G2 の2026年ユーザー調査レポートlinkに基づく統計です。Make 社内部の未公開資料は使用しません。
API 連携に必要な基礎知識と認証方式別設定例
この章では、外部 API と安全かつ確実にやり取りするために最低限理解すべき概念と、Make.com が標準で提供している認証モジュールの使い方を解説します。正しい基礎が身についていれば、エラー発生率は格段に低下し、実務導入がスムーズになります。
エンドポイント・リクエスト/レスポンスの基本構造
API 呼び出しで意識すべき3要素(エンドポイント URL、HTTP メソッド、ステータスコード)を整理します。
| 要素 | 説明 | 代表的な例 |
|---|---|---|
| エンドポイント URL | サーバ側がリクエストを受け付ける入口 | https://api.example.com/v1/customers |
| HTTP メソッド | 操作種別(取得・作成・更新・削除) | GET / POST / PUT / DELETE |
| ステータスコード | リクエスト結果の判定基準 | 200 系=成功、400 系=クライアント側エラー、500 系=サーバ側エラー |
ポイント:Make の HTTP モジュールでは「Method」ドロップダウンで選択し、「URL」欄にエンドポイントを入力するだけでベースが完成します。
主要認証方式と Make.com での設定手順
API キー、Bearer Token、OAuth 2.0、Basic Auth の4種について、Make.com 上での具体的な設定フローを示します。すべて「Authentication」タブから選択でき、必要項目は自動生成されます。
| 認証方式 | 設定手順(Make.com) | 送信先 |
|---|---|---|
| API キー | 1. HTTP モジュール → 「Headers」 2. X-API-Key: {{API_KEY}} と入力3. API_KEY は「Environment Variables」に登録 |
Header |
| Bearer Token | 1. 「Authentication」タブで「Bearer Token」を選択 2. トークンを環境変数 BEARER_TOKEN に保存3. 自動的に Authorization: Bearer <token> が付与 |
Header |
| OAuth 2.0 | 1. 「OAuth2」モジュールを配置 2. クライアント ID・シークレット、認可エンドポイント/トークンエンドポイントを入力 3. フロー実行でアクセストークンが取得され、後続 HTTP モジュールに自動適用 |
Header |
| Basic Auth | 1. HTTP モジュールの「Authentication」欄で「Basic Auth」を選択 2. ユーザー名・パスワードを入力(環境変数推奨) 3. Authorization: Basic <base64> が自動付与 |
Header |
ベストプラクティス
- 認証情報は必ず Environment Variables に格納し、平文でシナリオに記載しない。
- 変数名は英数字とアンダースコアのみ(例:API_KEY)に統一し、誤字を防止する。
シナリオ作成手順 ― HTTP モジュールでのリクエスト構築とパラメータ設定
本章では、Make.com の新 UI に合わせた「+」ボタンから HTTP モジュールを配置し、実際にリクエストヘッダー・クエリ・ボディを組み立てる手順をステップバイステップで解説します。ページングやレートリミット対策も併せて紹介するので、実務ですぐに活用できます。
HTTP モジュールの基本配置と必須項目
まずは最小構成で外部 API に接続できる状態を作ります。
- シナリオ編集画面左上の + → 「HTTP」検索 → 「Make an HTTP request」を選択
- 「URL」に対象エンドポイント(例:
https://api.example.com/v1/orders)を入力 - 「Method」ドロップダウンで
GETもしくはPOSTを選択
この2項目が入力されていれば Run once で接続テストが可能です。
動的変数を用いたヘッダー・クエリ・ボディの組み立て方
Make の「{{variable}}」構文を活用すれば、前工程の出力結果をそのままリクエストに流し込めます。以下は代表的な例です。
| 部位 | 具体例 | 解説 |
|---|---|---|
| ヘッダー | Authorization: Bearer {{access_token}} |
OAuth2.0 フローで取得したトークンを直接利用 |
| クエリパラメータ | ?status={{status}}&limit=100 |
前段のフィルタ結果(例:ステータス)を動的に付加 |
| JSON ボディ(POST) | json { "customer_id": "{{cust.id}}", "items": [ {"product_id":"{{item1.id}}","qty":{{item1.qty}}} ] } |
変数埋め込みで複雑な構造も簡潔に記述 |
ページング処理の実装
多くの REST API は next_cursor や offset を返すことでページングを実現しています。Make では以下のフローが推奨されます。
- HTTP モジュールで最初のリクエスト → 「JSON Parse」へ接続
next_cursorフィールドを Iterator に渡し、次回リクエスト URL を組み立てる(例:https://api.example.com/v1/items?cursor={{next_cursor}})- ループが自動的に終了条件(
next_cursorが空)になるまで繰り返す
レートリミット回避策
API のレートリミットが「60 秒あたり 30 件」程度の場合、以下の構成で安全に呼び出せます。
- Sleep モジュールを HTTP モジュールの後に配置し、
{{sleep(2000)}}(2秒待機)と設定 - Error Handlerで
429 Too Many Requestsを捕捉し、リトライ回数・遅延時間を増やすロジックを追加
レスポンス解析・データマッピングと実務ユースケース
取得したレスポンスは「JSON Parse」または「XML Parse」で構造化し、次工程へ渡す必要があります。ここではパーサーモジュールの基本操作と、実務で頻出する3つのシナリオ例を示します。
JSON / XML パーサーモジュールの活用法
| モジュール | 主な機能 | 設定ポイント |
|---|---|---|
| JSON Parse | 文字列 → オブジェクト化、配列要素ごとにポート生成 | 「Root element」に data.items を指定すると、各アイテムが個別ポートになる |
| XML Parse | XPath に基づくノード抽出 | 「XPath expression」欄に /response/items/item などを入力 |
パーサーはエラー時に「Parse error」フラグを出力するため、後続の Router → Error Handler で例外処理を組み込むと安全です。
データマッピングのベストプラクティス
- 変数名の統一:API ごとに異なるキーは社内標準(例:
cust_id,order_amount)にリネームしておく。 - 型変換は専用モジュールで実施:文字列 → 数値は「Number」モジュール、日付文字列は「Date/Time」モジュールを使用する。
- マッピング表の作成:シナリオ設計時にスプレッドシートや Markdown で「API フィールド ↔ 社内変数」の対応表を残すと保守が楽になる。
実務ユースケース例
| ケース | フロー概要 | キーポイント |
|---|---|---|
| 1. Slack 通知(Webhook) | ① HTTP GET → 新規案件取得 ② JSON Parse → 必要項目抽出 ③ テンプレート文字列作成 ④ HTTP POST(Slack Webhook) |
Markdown 形式でメッセージを整形し、{{order_amount}} など変数埋め込み |
| 2. Salesforce データ取得 → 社内 MySQL 登録 | ① OAuth2.0 認証 ② SOQL クエリ実行(GET) ③ JSON Parse → レコード分割(Iterator) ④ MySQL 「Insert」モジュールでバルクインサート |
Salesforce のレートリミット(10,000 リクエスト/15 分)に合わせ、Sleep 5s を挟む |
| 3. Mailchimp キャンペーン結果集計 → Google Sheets | ① Bearer Token 認証で /reports GET② JSON Parse → 成功・バウンス別に集計(Aggregator) ③ Google Sheets 「Append Row」 |
集計ロジックは「Aggregator」モジュールだけで完結、シナリオが簡潔になる |
テスト・デバッグ、エラーハンドリング、セキュリティベストプラクティス
自動化シナリオを本番環境へデプロイする前に必ず実施すべき検証手順と、情報漏洩防止策をまとめます。
実行ログ・スナップショットによるデバッグ手法
- シナリオ画面右上の Run once で手動実行
- 「Execution History」から対象実行を選び「View details」へ遷移
- 各モジュールの入力・出力が時系列で表示され、失敗箇所は赤字でハイライト
- 必要に応じて Create snapshot をクリックし、現在の変数状態を保存。スナップショットは別環境へインポートできるため、再現テストが容易になる
エラー捕捉と自動リトライ設定
- Router + Error Handler パターン
- メインフローから「Error」ポートを分岐し、専用のエラーハンドリングシナリオへ接続。
-
エラーハンドラー内で Slack 通知やメール送信を行い、失敗内容(ステータスコード・レスポンス)を添付
-
モジュール単位のリトライ
- HTTP モジュールの「Advanced options」から
Retry on failureを有効化。 - 「Delay」=3秒、最大回数=4回 と設定すれば、一時的なネットワーク障害やレートリミット超過時に自動再試行が実施される
セキュリティ・コンプライアンス上の留意点
- 機密情報は Environment Variables に格納
-
設定画面 → 「Settings」→「Environment variables」で
API_KEY、OAUTH_TOKENなどを登録。変数は暗号化保存され、シナリオ内で{{API_KEY}}と記述するだけで参照できる。 -
IP アドレス制限の正確な設定
- Make.com が利用している Google Cloud の IP 範囲は公式ドキュメント(2026年版)に基づき
34.194.0.0/16、35.190.0.0/17などが含まれる。外部サービス側のホワイトリストにこれらを追加し、不正アクセスリスクを低減する。 -
出典:Google Cloud IP アドレス一覧(2026年更新)link
-
データ保持ポリシー
-
個人情報や機密データは「Data Store」モジュールで保存期間を 30 日以内に設定し、定期的な自動削除フロー(Scheduler + Delete)を構築する。
-
アクセス権限の最小化
- Make の組織管理画面でユーザーごとにロールベースの権限付与を行い、API キー閲覧・編集が必要なメンバーだけに限定する。
まとめ
- 2026 年 UI アップデートは公式リリースノートと G2 のユーザー調査で裏付けられた実装改善であり、作業時間の短縮効果が期待できる。
- API 認証は環境変数に格納し、Make が提供する認証モジュールを活用すれば設定ミスや情報漏洩リスクが最小化できる。
- シナリオ作成は「URL」「Method」の必須項目から始め、変数埋め込みでヘッダー・クエリ・ボディを動的に構築するのが基本フロー。ページングやレートリミット対策も専用モジュールで実装可能。
- レスポンス解析は JSON/XML パーサーとデータマッピングのベストプラクティス(変数名統一・型変換)を守ることで、後続処理が安定する。
- テスト・エラーハンドリング・セキュリティは Execution History・Router/Error Handler・Environment Variables など、Make の標準機能で網羅的に対応できる。
これらのポイントを踏まえてシナリオを設計すれば、ノーコード自動化の導入コストを抑えつつ、堅牢かつスケーラブルな業務フローを実現できます。