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Figma と FigJam の基本概要と提供目的
Figma と FigJam は同一のクラウドプラットフォーム上で展開されているものの、対象とする作業フェーズが根本的に異なります。ここではそれぞれのツールが 「何を解決するために」 作られたかを整理し、導入検討時に「どちらが自チームの課題に合致するか」をすぐに判断できるようにします。
Figma の概要
Figma はベクターベースの UI/UX デザインツールです。デザイン作業だけでなく、開発者向けのコード参照やプロトタイピングまでを一元管理できる点が最大の強みです。
- 対象ユーザー:UI/UX デザイナー、フロントエンドエンジニア、プロダクトオーナー
- 主な利用シーン:画面設計、デザインシステム構築、高精度モックアップ作成、開発引き渡し
FigJam の概要
FigJam はホワイトボード型のコラボレーションツールで、アイディエーションや要件定義を「視覚的に」行うことに特化しています。付箋・ステッカーといった軽量素材が豊富に用意されており、ファシリテーターが即座にセッションを開始できます。
- 対象ユーザー:プロダクトマネージャー、UX リサーチャー、開発チーム全体
- 主な利用シーン:ブレインストーミング、ワークショップ、フロー図・カスタマーマップ作成
要点:Figma は「デザイン制作」、FigJam は「議論・発想支援」に最適化されたツールです。
主な機能比較:デザイン作成とブレインストーミングの違い
本セクションでは、代表的な機能を 対比形式 で整理し、実務上「どちらが必要か」の判断材料を提供します。
デザイン作成・ワイヤーフレーム機能(Figma)
Figma のベクターベース編集はコンポーネント再利用や自動レイアウトといった高度な設計支援機能を備えています。
- コンポーネントライブラリ:デザインシステム化に必須の共有可能な部品集
- Auto Layout:レスポンシブ対応のレイアウト自動調整
- インタラクティブプロトタイプ:画面遷移やマイクロインタラクションを即座に体感できるリンク生成
ブレインストーミング・アイディエーション機能(FigJam)
FigJam は「発想を可視化」するためのツールセットが充実しています。
- 付箋&ステッカー:テキスト、カラー、絵文字で感情や優先度を表現
- テンプレートギャラリー:ユーザージャーニーマップ、KJ 法、スプリントプランニングなど 30 種類以上が即時利用可能
- フローチャートツール:ノードとコネクタでプロセスやシステム構造を描画
要点:デザインの細部作業は Figma、発想・議論は FigJam がそれぞれ最適です。
コラボレーションとコメント機能の違い
リアルタイム共同編集は両ツール共通ですが、操作感やフィードバック手法に差があります。本節では 「誰が何をできるか」 を中心に比較します。
リアルタイム共同編集
- Figma:オブジェクト単位で同時編集可能。カーソルはユーザーごとに色分けされ、選択したレイヤーがハイライト表示されます。
- FigJam:キャンバス全体が共有スペースとなり、ドラッグ&ドロップで要素を配置しながら同時編集します。
コメント・フィードバック機能
- Figma のコメント:デザイン要素に紐付く形で残すことができ、解決済み/未解決ステータスやメンション機能でタスク化が容易です。
- FigJam のポストイットコメント:ボード上の任意位置に貼り付けられ、議論の流れが視覚的に追跡しやすい点が特徴です。
要点:細部レビューは Figma が得意、自由度高いディスカッションは FigJam が適しています。
エクスポート形式とプロトタイプ作成能力の差異
デザイン資産の引き渡しや外部ツールとの連携において、出力フォーマット と インタラクティブ性 は重要な比較ポイントです。
Figma のエクスポート
| 形式 | 用途 |
|---|---|
.fig(ネイティブ) |
完全再編集可能な内部ファイル |
| SVG、PNG、JPG、PDF | ビジュアル資産の汎用出力 |
| CSS / iOS / Android コードスニペット | 開発者への実装情報提供 |
| プロトタイプリンク/埋め込みコード | インタラクティブデモを社内外に共有 |
FigJam のエクスポート
| 形式 | 用途 |
|---|---|
| PNG、JPEG、PDF(ボード全体) | 会議資料やドキュメントへの貼り付け |
| ボードリンク | 他チームへ閲覧権限を付与したまま共有 |
要点:高精度のデザイン資産とインタラクティブプロトタイプは Figma が唯一提供し、FigJam は画像出力に特化しています。
料金プランと無料枠(2026 年時点)
公式情報を元に、2026 年 4 月現在の Figma と FigJam のプラン構成・制限をまとめました。価格は米ドルで表記し、年額払いの場合は月額の約 17 % が割引適用されます(※為替変動により日本円換算は変わります)。
| プラン | 月額料金 (USD) / ユーザー | 無料枠・制限 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|
| Free (Starter) | 0 | - デザインファイル:最大 3 ファイル(編集可能) - FigJam ボード:最大 3 ボード(編集可能) - ストレージ合計 30 GB(両ツール共通) - バージョン履歴 30 日 |
小規模チームや個人が試用できるベーシックプラン |
| Professional | Figma: $15 / FigJam: $8 | - デザインファイル・ボード数無制限 - ストレージ 100 GB(両ツール合算) - バージョン履歴 180 日 - チームライブラリ共有可 |
中規模チーム向け。プロジェクト数が増えても制限なし |
| Organization (Enterprise) | Figma: $45 / FigJam: $20 | - ストレージは カスタム(上限なし) - バージョン履歴無期限 - SSO、SCIM、自動プロビジョニング等の高度な管理機能 |
大企業・複数部門横断チーム向け。セキュリティとガバナンスが中心 |
無料プラン活用指標
- デザイン:2〜3 ファイルで MVP の UI 設計やスタイルガイドの試作が可能
- ブレインストーミング:最大 3 ボードでワークショップを実施し、成果物は PNG/PDF で共有
有料化のタイミング目安
- ファイル数・ボード数が上限に近づいたら Professional に移行
- ストレージが 80 GB 超える、またはバージョン履歴が必要になる場合は Organization を検討
要点:無料プランでもコア機能はフルで使えますが、チーム規模・資産量が増大した段階で有料プランへのステップアップが自然な流れです。
実務シーン別活用例と導入時のポイント
実際のプロダクト開発フローに合わせて 「いつ Figma、いつ FigJam を使うか」 を具体的に示します。また、他ツールとの連携方法や移行時の注意点も解説します。
デザインフェーズでの活用例
- UI キット作成:コンポーネントとスタイルを Figma のチームライブラリに格納し、全員が即座に再利用可能。
- 高忠実度モックアップ:Auto Layout とレスポンシブプレビューでマルチデバイス画面を同時設計。
- 開発引き渡し:Inspect パネルから CSS/Swift/Kotlin コードスニペットを取得し、Jira の課題に自動添付(公式プラグイン使用)。
アイディエーションフェーズでの活用例
- リモートワークショップ:FigJam のテンプレート「KJ 法」でアイデアをカード化し、リアルタイム投票機能で優先順位付け。
- 要件定義マッピング:フローチャートツールでユーザーフローと機能要件を可視化し、Figma のプロトタイプリンクを埋め込んでコンテキスト保持。
- 合意形成:ステッカー投票や感情エモジで意思決定の可視化を促進。
他ツールとの連携例(Slack・Jira・GitHub)
| 連携先 | 主な活用シナリオ | 設定ポイント |
|---|---|---|
| Slack | デザイン更新時に自動通知、FigJam ボードのコメントを即時取得 | Figma → Slack の公式 Bot、FigJam → Slack アプリで「#design-updates」チャンネルにリンク送信 |
| Jira | 課題カードに Figma ファイル URL を添付し、ステータス変更と同時にデザインレビューを促す | 「Figma for Jira」プラグインで双方向リンクを構築 |
| GitHub | デザインシステムの JSON エクスポートをリポジトリに自動コミットし、CI パイプラインでドキュメント生成 | GitHub Actions + Figma API を利用したスクリプト例を公式 Docs に掲載 |
導入時の注意点と段階的移行手順
- 権限設計
- Figma:閲覧・編集・管理者ロールをプロジェクトごとに設定し、外部ステークホルダーは「ビューア」だけ付与。
-
FigJam:ボード単位で「書き込み可」「コメントのみ」の権限を切り替え、重要なアイディエーション結果はオーナー限定削除に設定。
-
既存アセットのインポート
- Sketch / Adobe XD → Figma の直接インポートが可能(レイヤー構造とコンポーネントを保持)。
-
紙ベースや PowerPoint の要件定義資料は PNG に変換し、FigJam ボードにドラッグ&ドロップで貼り付け。
-
段階的運用
- ステージ 1(プロトタイピング):デザイン作業はすべて Figma で実施し、完成した画面を FigJam に埋め込んでレビュー会議に使用。
- ステージ 2(アイディエーション):要件定義やユーザーストーリーマッピングは FigJam のボード上で行い、成果物は PNG/PDF で Figma の「Documentation」ページにリンク。
要点:Figma がデザイン資産の中心、FigJam が発想・要件整理のフロントラインというハイブリッド運用が最も生産性を高めます。
まとめ
- ツールの位置付け:Figma は UI/UX デザインとプロトタイピングに特化、FigJam はブレインストーミング・要件定義を支援するホワイトボードです。
- 機能比較:ベクターデザイン・コンポーネント共有は Figma が得意、付箋・テンプレートでの発想支援は FigJam が優れています。
- コラボとコメント:細部レビューは Figma のスレッド化されたコメントが有効、自由な議論は FigJam のポストイット方式が適しています。
- エクスポート・プロトタイプ:Figma は多様なベクトル形式とインタラクティブリンクを提供し、FigJam は画像/PDF 出力に限定されます。
- 料金プラン:Free でも基本機能は利用可能。チーム規模やストレージが増える段階で Professional → Organization と段階的にアップグレードするのがコスパ最適です。
- 実務活用フロー:デザインフェーズは Figma、アイディエーション・要件定義は FigJam を使い分け、Slack・Jira・GitHub との連携で開発プロセス全体をシームレスに統合します。
これらのポイントを踏まえて、貴社のプロジェクト特性や組織構造に最適な ツール選択と導入計画 を策定してください。質問や具体的な移行シナリオが必要な場合は、公式サポートまたは認定パートナーへの相談をおすすめします。