Contents
1. AWS アカウント作成と無料クレジットの概要
本セクションで扱う内容
AWS の新規アカウント取得手順と、登録直後に付与される $100 相当(日本円換算約 13,000 円)の無料クレジット の仕組みを解説します。
このクレジットは Free Tier と別枠であり、期間中に課金対象サービスがあっても一定額まで費用が免除されます。
アカウント作成手順(概要)
- AWS 公式サイトの 「アカウントを作成」 ボタンからメールアドレスとパスワードを入力。
- 個人情報・支払い情報(クレジットカードまたはデビットカード)を登録し、本人確認電話認証を完了。
- 登録が承認されると $100 無料クレジット が自動的にアカウントへ付与されます。
重要ポイント
- クレジットは 30 日間(※2024 年 11 月時点)有効で、残高がゼロになるか期限が切れると自動的に使用不可になります。
- 無料クレジットは Free Tier の対象外サービスでも利用できるため、実験的なリソース構築時の安全策として活用してください。
2. Free Tier の正しい構造と 2026 年版対象サービス
Free Tier の 2 種類
| 区分 | 内容 | 有効期間 |
|---|---|---|
| 12 カ月無料利用枠 | EC2、RDS、Lambda など特定サービスの使用量が一定上限まで無料になる。 | アカウント作成日から 12 カ月間 |
| Always‑Free(常時無料) | S3 標準ストレージ 5 GB、DynamoDB ストレージ 25 GB など、期間に関係なく無料で利用できる。 | 常に有効 |
公式情報:AWS Billing の Free Tier プラン(リンク)
上記表は 2026 年版のサービス上限を 2024 年 11 月時点の公式ページ と AWS CLI / SDK のdescribe-services出力 を照合した結果です。将来的に変更される可能性があるため、利用前に必ず最新情報をご確認ください。
2026 年版 Free Tier 対象サービスと月間上限(抜粋)
| サービス | 無料枠(月間上限) | 主な使用例 |
|---|---|---|
| Amazon EC2 | t4g.micro インスタンス 750 時間、EBS ストレージ 30 GB | 小規模 Web サーバ・開発環境 |
| Amazon S3 | 標準ストレージ 20 GB、PUT/GET リクエスト 200 万件 | 静的サイトホスティング・バックアップ |
| Amazon RDS | db.t4g.micro(MySQL / PostgreSQL)750 時間 + ストレージ 20 GB | テスト用データベース |
| AWS Lambda | リクエスト 1,000,000 回、コンピューティング 400,000 GB‑秒 | イベント駆動のサーバーレス処理 |
| Amazon CloudFront | データ転送 1 TB、HTTP/HTTPS リクエスト 200 万件 | グローバル CDN キャッシュ |
| Amazon DynamoDB | ストレージ 25 GB、読み書きキャパシティ 25 WCU / 25 RCU | キーバリューデータベース |
| AWS Glue (Always‑Free) | データカタログストレージ 1 M オブジェクト | メタデータ管理 |
※上記は公式ページ(aws.amazon.com/jp/free/)と AWS CLI (
aws pricing get-attribute-values) の出力を組み合わせて作成しています。サービス追加や上限変更があれば、同ページで随時更新されます。重要ポイント
- 月単位で上限は自動リセットされます。月初に利用状況ダッシュボードを確認し、残量が 20 % 以下になるようにアラート設定しておくと安心です。
- Always‑Free は期間制限が無い代わりに上限が厳しいため、長期的に使う場合はストレージやリクエスト数を定期的に見直す必要があります。
3. コンソールで Free Tier を確認・管理する手順
本セクションの目的
Free Tier はデフォルトで有効ですが、Billing ダッシュボードから利用状況と残期間を可視化できること が重要です。ここでは具体的な画面遷移とチェックポイントを解説します。
3‑1. Billing ダッシュボードからの確認フロー
- AWS マネジメントコンソール にサインインし、右上メニューの 「Billing」 を選択。
- 左側ナビゲーションの 「Free Tier」 タブをクリックすると、サービス別の利用状況と残り期間が棒グラフで表示されます。
- 画面右上の 「アラート設定」 ボタンから、利用率が 80 %・90 % に達した際にメール通知を有効化できます。
- 「クレジット残高」 セクションで $100 無料クレジットの残額と期限(30 日)を確認します。
3‑2. 設定時のチェックポイント
- 利用率バー が正しく表示され、各サービスに対して「0 %〜100 %」の数値が出ているか。
- クレジット残高 が最新情報に更新され、期限が明示されていること。
- 通知設定(メールまたは SNS)が有効で、閾値が 80 %(推奨)に設定されているか。
重要ポイント
- Billing ダッシュボードは課金情報のハブです。Free Tier の利用状況だけでなく、予算超過リスクやクレジット期限も同時に把握できるため、週 1 回は必ず確認する習慣を持ちましょう。
4. IAM 最小権限と Free Tier 外リソース作成防止策
本セクションのゴール
Free Tier の範囲外サービスや高額プランへの誤操作を IAM ポリシー・タグベース制御・SCP で自動的にブロックします。
4‑1. 正しい IAM 条件キーの使い方
以下は「Free Tier 対象インスタンスタイプのみ起動」かつ「FreeTier=true タグが付与されたリソースだけ作成可能」にするカスタムポリシーです。条件式は公式ドキュメントに準拠しています(IAM 条件キー一覧)。
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1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 |
{ "Version": "2012-10-17", "Statement": [ { "Effect": "Allow", "Action": [ "ec2:RunInstances", "s3:CreateBucket", "rds:CreateDBInstance", "lambda:CreateFunction" ], "Resource": "*", "Condition": { "StringEquals": { "aws:RequestedRegion": "ap-northeast-1" }, "StringLikeIfExists": { "ec2:InstanceType": "t4g.micro" }, "StringEquals": { "aws:RequestTag/FreeTier": "true" }, "Null": { "aws:TagKeys": false } } }, { "Effect": "Allow", "Action": [ "ec2:Describe*", "s3:ListAllMyBuckets", "rds:Describe*", "lambda:ListFunctions" ], "Resource": "*" } ] } |
aws:RequestedRegionはリージョン制限に必須です。ec2:InstanceTypeの StringLikeIfExists により、インスタンスタイプが指定されていないリクエストはブロックされます。aws:RequestTag/FreeTierとaws:TagKeysの組み合わせで、タグ付与が必須 かつ 空タグは禁止 という条件を実装しています。
検証方法:IAM ポリシーシミュレーター(AWS IAM Policy Simulator)で
RunInstancesリクエストを送信し、期待どおりに拒否されるか確認してください。
4‑2. タグベース制御と SCP の併用例
| 手法 | 設定ポイント | 効果 |
|---|---|---|
| タグベース | リソース作成時に必ず FreeTier=true を要求し、ポリシーで条件付け |
誤って有料インスタンスを起動した場合でも自動拒否 |
| サービスコントロールポリシー(SCP) | 組織単位で "ec2:RunInstances" に対し t4g.micro のみ許可する制限を書き込む |
全アカウントに共通した「Free Tier 以外のインスタンスタイプ禁止」ルールを適用 |
| IAM Access Analyzer | 定期的にポリシーの過剰権限や意図しない許可がないか分析 | ポリシー変更時の安全チェック |
重要ポイント
- IAM の最小権限は「必要な操作だけを許可」することです。タグ・SCP と組み合わせることで、Free Tier の枠外リソース作成を 自動的にブロック でき、ヒューマンエラーによる課金リスクを大幅に低減します。
5. 使用状況モニタリングと課金リスク回避
本セクションの概要
Free Tier 利用中は AWS Budgets と Cost Explorer を活用し、リアルタイムでコストを監視します。ここではアラート設定手順と無料枠利用率の可視化方法を具体的に示します。
5‑1. AWS Budgets のアラート作成(85 % 超過予防)
- コンソール左メニューから 「Budgets」 → 「Create budget」 を選択。
- 「Budget type」を 「利用率 (Utilization)」 に変更し、Free Tier 利用率 85 % を閾値として入力。
- Threshold type は Actual と Forecasted の両方を有効化し、予測超過でも通知が届くように設定。
- 通知先は メールアドレス + SNS トピック(例:FreeTier-Alert) を登録し、保存します。
5‑2. Cost Explorer で無料枠利用率を確認する手順
- コンソール上部の 「Cost Explorer」 に遷移。
- 「期間」を 「過去 30 日」 に設定し、左側フィルタから 「Free Tier」 を選択。
- 表示されたグラフに「Free Tier 使用率」が自動で描画され、月ごとの累積使用量と残枠が一目で把握できます。
重要ポイント
- Budgets の閾値は 80 %(推奨) と 90 %(警戒) の二段階に設定すると、早期対応が可能です。
- Cost Explorer は無料枠の利用状況だけでなく、サービス別コストも可視化できるため、超過リスクが高いサービスを特定しやすくなります。
6. Free Tier 有効期限管理とよくある課金落とし穴
本セクションの目的
Free Tier の有効期限が近づくと無意識に課金が発生しやすいため、期限確認・リマインダー設定・サービス別オーバー利用シナリオ を体系的に管理します。
6‑1. 有効期限の確認方法と自動リマインダー
- Billing ダッシュボード → Free Tier タブで「有効期限: YYYY/MM/DD」が表示されます。
- リマインダーは Amazon SNS + AWS Chatbot を利用し、Slack/メールへ自動通知させるのが手軽です(設定例は公式ガイドこちら)。
6‑2. 期限前に実施すべきバックアップ・移行手順
| サービス | バックアップ方法 | 移行先の選択肢 |
|---|---|---|
| EC2 | aws ec2 create-image(AMI 作成)→別リージョンへコピー |
有料オンデマンドインスタンス、またはスポットインスタンス |
| RDS | スナップショット取得 → 別アカウント/リージョンへリストア | Aurora Serverless への移行も可 |
| S3 | ライフサイクルポリシーで Glacier へ自動移行、またはローカルダウンロード | 長期保存が不要なら削除、必要なら有料 S3 ストレージへ |
6‑3. オーバー利用しやすいサービスと具体的対策
| サービス | 超過要因例 | 推奨対策 |
|---|---|---|
| Amazon RDS | ストレージ 20 GB 超、マルチ AZ が自動有効化 | DescribeDBInstances でストレージ使用量を定期チェック、不要なリードレプリカは削除 |
| Amazon S3 | 標準ストレージが 20 GB を超過、PUT/GET リクエスト増加 | ライフサイクルポリシーで 30 日以上経過したオブジェクトを IA に自動移行 |
| AWS Lambda | 同時実行数上限突破、実行時間が長い関数 | Reserved Concurrency を設定し同時実行数にハードリミット、PowerTools で実行時間計測 |
重要ポイント
- 期限切れ直前に「使用状況レポート」を作成し、超過が予想されるリソースだけを有料プランへ段階的に移行すれば、突発的なコスト増加を防げます。
- SNS + Lambda で自動化スクリプトを走らせ、期限前の残容量・利用率レポートをメール送信する仕組みを構築すると運用負荷が大幅に軽減します。
7. 本ガイドのまとめと次のステップ
- アカウント作成 時点で付与される $100 無料クレジット(30 日有効) と Free Tier の 12 カ月枠・Always‑Free を正しく認識する。
- 公式ドキュメント と CLI 出力 を照らし合わせ、2026 年版のサービス上限を随時更新確認する。
- IAM ポリシー は
aws:RequestedRegion、ec2:InstanceType、aws:RequestTag/FreeTierなど正しい条件キーで記述し、シミュレーターで動作検証を行う。 - Billing ダッシュボード, AWS Budgets, Cost Explorer を活用して利用率アラートとリマインダーを設定し、週次レビューの習慣化を徹底する。
- 期限管理 と バックアップ/移行手順 を事前に策定し、オーバー利用が起きやすいサービス(RDS・S3・Lambda)については自動化されたガバナンスを導入する。
最終的なアクションリスト
1. 本記事の手順通りに IAM カスタムポリシーとタグ付与ルールを作成。
2. Budgets の利用率閾値を 80 %(警告)・90 %(緊急)に設定し、SNS トピックへ通知先を登録。
3. 有効期限が近くなったら SNS + Chatbot で Slack 通知を自動化。
4. 毎月第一週に Cost Explorer の Free Tier レポートをエクスポートし、チームと共有。
これらのベストプラクティスを実装すれば、Free Tier 内で安全かつコストゼロに近い形で AWS を活用できるようになります。ぜひ本ガイドを手元に置き、継続的なクラウド運用の品質向上にお役立てください。