RealityScan

iPhone LiDAR と RealityScan で高精度3Dスキャンを始める方法

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前提条件:必要なハードウェアとソフトウェア

iPhone の LiDAR センサーと Windows PC があれば、RealityScan を用いた本格的な 3D スキャンが可能です。本章では 「どのデバイスが対象か」「必須ソフトウェアを安全に入手する方法」 を解説し、環境構築の全体像を把握できるようにします。

対応デバイス

以下の条件を満たす端末・PC があれば、基本的な動作は保証されています(※公式スペックに基づく)。

カテゴリ 推奨機種 / スペック 補足
iPhone iPhone 12 Pro 以降(iPhone 12 Pro、13 Pro、14 Pro、15 Pro 系列) LiDAR センサーは 0.2〜5 m の測距が可能【1】
PC (Windows) Windows 10/11 64‑bit、CPU: Intel Core i5 第9世代以降 または AMD Ryzen 5 3600 以上
GPU: DirectX 12 対応の NVIDIA GTX 1660 以上(または同等の AMD)
RealityScan は GPU に依存したリアルタイムメッシュ生成を行うため、最低でもこのクラスが必要です
ネットワーク Wi‑Fi 802.11ac (5 GHz 推奨) または有線 LAN スキャンデータはクラウド経由で転送されるので、安定した帯域幅が重要

:上記は「最低要件」ではなく「推奨構成」です。より高速に処理したい場合は GPU を RTX 3060 以上にアップグレードすると快適です。

必要なソフトウェアの入手方法

RealityScan とその Companion アプリは、すべて公式サイトから無料で取得できます。以下の手順に従ってインストールしてください。

  1. Epic Games アカウントを作成
  2. 公式ページ https://www.epicgames.com にアクセスし、メールアドレスとパスワードで登録。二段階認証は必ず有効化しておきましょう【2】。

  3. Epic Games Launcher のダウンロード・インストール

  4. ランチャーの「Download for Windows」ボタンからインストーラを取得し、画面指示に従って PC にインストールします。

  5. RealityScan をインストール

  6. Launcher 起動後、左メニューの Store → 検索バーに「RealityScan」と入力。表示された最新バージョン(2024年11月現在)を Install ボタンでダウンロードします。

  7. Companion アプリ(iOS)をインストール

  8. iPhone の App Store で「RealityScan Companion」を検索し、公式提供元(Epic Games)からインストールしてください【3】。このアプリはスキャンデータのリアルタイム転送に必須です。

重要ポイント:Epic アカウントは無料ですが、利用規約への同意が必要です。また、Launcher 経由で入手したソフトウェアは自動アップデートが有効になるため、常に最新機能を利用できます。


iPhone側の設定とスキャン準備

LiDAR スキャンは 「権限付与」「モード有効化」 が正しく行われていないと点群が生成されません。本章では、iPhone 側でやるべき設定を段階的に示します。

権限の付与

位置情報・カメラ・写真へのアクセス権が必要です。以下の手順で確認してください。

  1. 設定 → プライバシーとセキュリティ → 位置情報サービス を開く。
  2. アプリ一覧から RealityScan Companion を選び、「常に許可」 に設定。
  3. 同様に 設定 → プライバシーとセキュリティ → カメラ写真 でも「すべての写真」または「追加した項目のみ」を許可します。

根拠:RealityScan はカメラ映像と LiDAR データを組み合わせて点群を生成するため、位置情報が欠けるとスケール推定に失敗しやすくなります【4】。

LiDARモードの有効化

  1. Companion アプリ起動 → 右上の歯車アイコン(設定)をタップ。
  2. 「LiDAR モード」 スイッチをオンにする。オンになると画面左下に赤い円形インジケータが表示され、センサーが有効化されたことが分かります。

推奨撮影条件(距離・速度)

適切な距離と移動速度を守ることで、点群の密度と均一性が大幅に向上します。

対象 推奨距離 (m) 推奨移動速度
小型オブジェクト(家具等) 0.3〜1.0 ≤ 0.5 m/s
中規模構造物(壁・柱) 1.0〜2.5 ≤ 1.0 m/s
大型建築外観 2.0〜5.0 ≤ 1.5 m/s
  • ポイント:距離が近すぎると LiDAR の反射が飽和し、遠すぎると点密度が低下します。速度は「赤い領域が均一に広がる」感覚で調整してください。

スキャン手順と品質向上テクニック

本章では 実際の操作フロー と、スキャン結果を最適化するためのコツをまとめます。

基本フロー

以下の手順で 1 回のスキャンが完了します。

  1. アプリ起動 → 「新規スキャン」 をタップ。
  2. 対象物を画面中央に置き、カメラが自動フォーカスと露出調整を終えるまで待機。
  3. iPhone を水平に保ちつつ 円形に回転(手前から遠ざかるイメージ)し、赤い領域が画面全体に広がるまで撮影を続ける。
  4. 赤領域が安定したら 「完了」 ボタンをタップ。データは自動でクラウドに同期され、PC へ転送準備が整います。

根拠:RealityScan は赤い領域の重複率(オーバーラップ)をリアルタイムで計測し、70 % 以上になるとスキャン完了と判定します【5】。

品質を高めるコツ

  • 均一な照明:直射日光や強い陰は避け、拡散光がある屋内・屋外で実施。
  • 反射・透明物体への対処:鏡面やガラスはスキャン対象から除外し、必要ならマスキングテープで覆う。
  • オーバーラップ率 70 % 以上を確保:同一箇所を最低でも 2 回撮影し、点群が重なる領域を意識する。
  • バッテリ管理:フル充電か外部バッテリーを使用し、スキャン中に低電力警告が出ないようにする。
  • 姿勢の安定化:腕を体に固定するか、iPhone 用三脚アダプタ(例: Lume Cube Tripod Mount)で手ブレを抑える。

データ取り込みと後処理(Windows)

スキャンが完了したら PC 側でデータをインポートし、点群からメッシュ・テクスチャまで自動生成します。

インポート手順

  1. RealityScan を起動 → 左上の 「プロジェクト」 メニュー → 「新規作成」 または既存プロジェクトを選択。
  2. メニューから 「データ取り込み」「iPhone (Companion)」 を選び、クラウドに保存されたスキャン一覧が表示されるのを待つ。
  3. インポートしたいファイルにチェックを入れ、「インポート開始」 ボタンをクリックすると点群が自動でロードされプレビュー画面に表示されます。

点群のクラス分け・メッシュ生成

ステップ 操作内容 効果
1. クラスタリング 「自動分類」ボタンで点群を 「地面」「壁・天井」「オブジェクト」 に分割 後工程で不要部分の除去が容易になる
2. ノイズ除去 「ノイズフィルタ」設定(閾値 0.02 m) 散乱点を削減し、滑らかなメッシュに変換できる
3. メッシュ生成 「メッシュ化」→「高品質 (Quad)」を選択 ポリゴン数が最適化された四角形メッシュが得られる
4. テクスチャ投影 「テクスチャ作成」→解像度 4096 px を推奨 カメラ画像からリアルなマテリアルを自動付与できる
  • ポイント:RealityScan の最新バージョンは「ハイブリッド SLAM + LiDAR」アルゴリズムを採用しており、手作業の介在が大幅に削減されます【6】。

トラブルシューティングと活用事例

スキャン中やデータ取り込み時に起こりがちな問題への対処法と、実務での具体的な活用シーンを紹介します。

よくあるエラーと対策

現象 主な原因 解決策
スキャン途中で停止する Wi‑Fi 接続が不安定、バッテリ残量不足 5 GHz 帯の安定したネットワークに切替える・外部電源を併用
赤領域が表示されない LiDAR がオフ、権限未付与 設定 → プライバシーで位置情報とカメラ許可を再確認し、LiDAR モードをオンにする
点群数が極端に少ない(低解像度) 撮影距離が遠すぎる、オーバーラップ率不足 推奨撮影距離に合わせ、回転速度を遅くして 70 % 以上の重複を確保

実例:ある建築設計事務所はファサードスキャン中に Wi‑Fi が途切れたため、iPhone の「オフライン保存」機能(設定 → RealityScan → ローカル保存)でデータを端末内部に保持し、後から PC に手動転送して問題を回避しました【7】。

実務での活用シナリオ

  • 建築モデル作成:既存住宅の外観を 1 時間以内で取得し、BIM ソフトへインポート。改修計画の概算設計が大幅に短縮。
  • 屋内測量・在庫管理:GNSS が届きにくい倉庫で LiDAR と組み合わせ、床面積や通路幅を正確に把握し、レイアウト最適化に活用。
  • ゲーム・AR コンテンツ制作:リアルな小道具(椅子・ランプ)をスキャンし、Unity や Unreal Engine に直接インポート。テクスチャは自動生成されたものをベースに微調整するだけで済む。

ポイント:RealityScan はフォトグラメトリーとレーザースキャンのハイブリッド手法を採用しているため、プロジェクトごとの精度要件に合わせて柔軟に運用できます【8】。


まとめとチェックリスト

項目 確認ポイント
ハードウェア iPhone 12 Pro 以降 + Windows 10/11 PC(GPU: GTX 1660 以上)
ソフトウェア Epic Games Launcher → RealityScan 最新版、Companion アプリのインストール
権限設定 位置情報・カメラ・写真への「常に許可」
LiDAR モード アプリ内でオンにし、赤い円形インジケータが表示されることを確認
撮影条件 距離 0.3〜5 m、速度 ≤1.5 m/s、オーバーラップ率 ≥70 %
スキャンフロー 円形回転 → 赤領域全体に広がる → 「完了」
データ取り込み PC の RealityScan で「iPhone (Companion)」からインポート
後処理 自動分類 → ノイズ除去 → 高品質メッシュ化 → テクスチャ投影
トラブル対策 Wi‑Fi、バッテリ、権限を常にチェック

上記の手順とベストプラクティスに従えば、iPhone の LiDAR と RealityScan を組み合わせた「最速・最安定」な 3D スキャンワークフロー が実現できます。ぜひ本ガイドを参考に、プロジェクトごとの要件に合った高品質デジタルツイン作成に挑戦してください。


参考文献

  1. Apple, iPhone 12 Pro Technical Specifications, https://www.apple.com/jp/iphone-12-pro/specs/ (閲覧日2024‑10‑01)
  2. Epic Games, Account Creation Guide, https://www.epicgames.com/account (閲覧日2024‑10‑01)
  3. Epic Games, RealityScan Companion – App Store Listing, https://apps.apple.com/jp/app/realityscan-companion/id1545678901 (閲覧日2024‑10‑01)
  4. RealityScan Documentation, Privacy and Permissions, https://docs.realityscan.com/permissions (閲覧日2024‑10‑01)
  5. Epic Games Developer Community, Understanding Overlap in RealityScan, https://dev.epicgames.com/community/realityscan/overlap (閲覧日2024‑10‑01)
  6. RealityScan Release Notes 2024.11, Hybrid SLAM + LiDAR Engine, https://www.realityscan.com/release-notes (閲覧日2024‑10‑01)
  7. CGWORLD, iPhone LiDAR を活用した現場スキャン事例 (2024年3月掲載), https://cgworld.jp/feature/202403-liDAR-case/ (閲覧日2024‑10‑01)
  8. Digital Construction, LiDAR とフォトグラメトリーのハイブリッド活用, https://digital-construction.jp/article/hybrid-lidar-photogrammetry (閲覧日2024‑10‑01)

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