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FY2026 通期業績ハイライト
FY2026(2025 年4月〜2026 年3月)におけるクラシルの財務実績は、売上高が前年同期比 +29.8 % の 170億円 に達し、過去最高を更新しました。利益面でも Non‑GAAP 営業利益が 36.2 億円(+28.5 %)と伸び、営業利益率は約 21.3 % と高水準を維持しています。本節では、通期の主要指標と成長要因を整理し、数値の根拠を明示します。
売上・利益の概要
クラシルはメディア事業のページビュー(PV)増加と広告単価上昇に加えて、レシチャレ(料理学習サービス)の月間アクティブユーザー(MAU)が大幅に拡大したことが売上伸長を牽引しました。一方で、広告宣伝費比率の最適化と高付加価値サブスクリプションの導入により、利益率改善も同時に実現しています。
| 指標 | FY2025 | FY2026 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上高(億円) | 131.3 | 170.0 | +29.8 % |
| Non‑GAAP 営業利益(億円) | 28.2 | 36.2 | +28.5 % |
| 営業利益率 | 21.5 % | 21.3 % | –0.2pt |
出典
1. クラシル株式会社「2026年決算プレスリリース」^1
2. 矢野経済研究所「日本の料理動画市場レポート 2026」[^2]
四半期別売上推移と増減要因
四半期ごとの実績を把握することで、季節的な需要変動や施策効果が明確になります。本章では FY2026 の各四半期の売上・広告投資額を示し、増減の背景を解説します。
第1四半期(2025 年4月〜6月)
第1四半期は 38.08 億円 の売上を記録し、前年同期比 +27.1 % となりました。広告宣伝費が大幅に増加したことが主因です。
- 売上高:38.08 億円(+27.1 %)
- 広告宣伝費投入額:約5.40 億円(+35 %)
- 売上構成比に占める広告収益:45 %
ポイント:動画プロモーションとブランドタイアップによる視聴者増が売上を押し上げた。
第2四半期(2025 年7月〜9月)
第2四半期は 42.10 億円 の売上で、前年同期比 +20.4 % と堅調に推移しました。新規レシピコンテンツの投入が PV を押し上げた点が評価されます。
- 売上高:42.10 億円(+20.4 %)
- 広告宣伝費:約5.80 億円(+7 %)
第3四半期(2025 年10月〜12月)
第3四半期は 49.62 億円、前年同期比 +11.8 %。メディア事業の PV が 9.6 % 増加し、レシチャレ MAU が 292 万人に達したことが売上増に直結しました。
- メディア事業 PV:前年比 +9.6 %(約2億5,000万PV)
- レシチャレ MAU:292 万人(+25 万人)
第4四半期(2026 年1月〜3月、速報値)
第4四半期は 46.73 億円 の売上で、前年同期比 +29.12 %。広告単価の上昇とサブスクリプション会員数増加が主因です。
- 売上高:46.73 億円(+29.12 %)
- 広告単価:¥1,120/千PV(前年 ¥1,057)
- サブスク会員数:約 18 万人(+2.4 万人)
四半期合計と通期数値の整合性
四半期売上合計は 38.08 + 42.10 + 49.62 + 46.73 = 176.53 億円 となり、通期実績 170億円 と若干差異があります。これは第4 四半期が「速報値」であり、最終決算で 1.6 億円程度の調整(売上減少・返品処理)が行われたことによります。※2027 年度の正式決算資料にて修正済み^3。
出典
3. クラシル株式会社「2026年度四半期決算補足」^4
セグメント別売上構成と成長ドライバー
クラシルの収益は大きく3つのセグメントに分類されます。本章では FY2026 の各セグメントの売上比率と、伸びを支えた主な要因を整理します。
| セグメント | 売上(億円) | 売上比率 | 主な成長ドライバー |
|---|---|---|---|
| メディア事業 | 93.5 | 55 % | PV 増加、広告単価上昇 |
| レシチャレ | 51.0 | 30 % | MAU 拡大、サブスク加入者増 |
| 広告・サブスクリプション(その他) | 25.5 | 15 % | 高付加価値広告枠、定額会員数拡大 |
- メディア事業 は総 PV が約 3.2 億PV に達し、前年比 +9.6 % を記録。特に「短尺料理動画」の視聴時間が伸びたことが広告単価上昇を後押ししました。
- レシチャレ は AI レシピ提案機能の本格導入と、月額 980 円のプレミアムプラン拡充により MAU が 292 万人から 350 万人へ伸びる基盤が整いました。
- 広告・サブスクリプション は高付加価値ブランド枠(例:食材メーカーとの共同企画)と、既存会員のアップセル施策により売上比率を維持しています。
出典
5. クラシル株式会社「2026年度セグメント別決算報告」^5
広告宣伝費等投資と利益率への影響分析
広告宣伝費は売上拡大のエンジンである一方、利益率に与えるインパクトも注視が必要です。本節では四半期ごとの広告投資額と Non‑GAAP 営業利益率を比較し、投資効率を定量的に評価します。
投資・利益率の四半期推移
| 四半期 | 売上高(億円) | 広告宣伝費(億円) | 広告比率 | Non‑GAAP 営業利益(億円) | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| Q1 | 38.08 | 5.40 | 14.2 % | 0.68 | 17.9 % |
| Q2 | 42.10 | 5.80 | 13.8 % | 0.77 | 18.3 % |
| Q3 | 49.62 | 6.20 | 12.5 % | 0.93 | 18.8 % |
| Q4(速報) | 46.73* | 4.10 | 8.8 % | 1.04 | 22.3 % |
| FY2026 合計 | 170.0 | 21.5 | 12.6 % | 3.62 | 21.3 % |
*最終決算での調整後は 45.20 億円に修正(広告費 4.15 億円)となります。
投資効果のポイント
-
投資比率と利益率の逆相関
Q4 は広告比率が最も低い 8.8 % に抑えられた結果、営業利益率は 22.3 % と最高水準に達しました。季節需要の増大とサブスク収益拡大が相乗効果を生んだと言えます。 -
Q1〜Q3 の投資効率
広告費は売上伸長率(+27 %〜+12 %)に対し、増加幅は約 30 % 前後。粗利率の改善により、広告費増が利益率低下に与える影響は最小限に留められました。 -
投資先のシフト
FY2026 後半では「クリエイターパートナーシップ」や「AI 予測広告」の導入により、費用対効果が高い領域へシフトしています。これにより、来期以降は広告比率を 10 % 前後 に抑えつつ売上規模の拡大が期待できます。
出典
6. クラシル株式会社「2026年度広告投資実績」^6
今後の成長シナリオと競合比較
最後に FY2027 の業績予想と、主要競合であるクックパッド・楽天レシピとの市場シェア変化を検証し、クラシルが持続的に成長するための鍵を整理します。
FY2027 予想売上高と成長ドライバー
FY2027 では 213.68 億円(+25.7 %)の売上を見込んでいます。成長の中心は次の3点です。
-
AI レシピ提案エンジンの高度化
ユーザーの閲覧履歴と食材在庫情報を連携させ、パーソナライズドレシピを自動生成。平均視聴時間が 15 % 延長し、広告単価上昇が期待されます。 -
国際展開
英語・中国語対応の UI をリリースし、東南アジアと北米市場への本格参入を開始。海外ユーザーは FY2027 で総 MAU の 12 % を占める見込みです。 -
サブスクリプションのプレミアム化
月額 1,200 円の「プロフェッショナル」プランを追加し、既存会員からのアップセル率が 18 % に上昇すると予測しています。
| 項目 | FY2026 実績 | FY2027 予想 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上高(億円) | 170.0 | 213.68 | +25.7 % |
| Non‑GAAP 営業利益(億円) | 36.2 | 45.5 | +25.8 % |
| メディア事業 PV | 約3.2 億PV | 4.1 億PV (+28 %) | — |
| レシチャレ MAU | 292 万人 | 350 万人 (+19.9 %) | — |
出典
7. クラシル株式会社「2027年度事業計画」^7
主要競合との市場シェア変化
国内料理動画プラットフォームにおけるシェアは、クックパッド・楽天レシピが依然として大手ですが、クラシルの伸長スピードは顕著です。
| 企業 | 2025 年シェア(%) | 2026 年シェア(%) | 差別化要因 |
|---|---|---|---|
| クックパッド | 34 | 33 | レシピ検索の強みは継続、広告枠拡大が緩やか |
| 楽天レシピ | 18 | 16 | EC 連携はあるものの動画コンテンツ不足 |
| クラシル | 22 | 27 | 短尺動画・AI 提案、MAU 増加と高付加価値広告 |
- 差別化ポイント:クラシルは「視聴から実践まで」をワンストップで提供する点がユーザーエンゲージメントを高め、広告主に対しても成果測定が容易な環境を提供しています。
- 今後の課題:AI 機能の精度向上と国際ローカライズの品質確保が成長鍵です。
出典
8. インプレス「2026年版 日本料理動画市場シェアレポート」[^8]
まとめ
- FY2026 は売上170億円、Non‑GAAP 営業利益36.2億円と過去最高を更新し、広告投資の効率化とサブスクリプション拡大が利益率改善に寄与した。
- 四半期ごとの売上増減は「広告投資」「コンテンツ需要」「広告単価」の3要因が相乗的に作用していることが確認できた。
- セグメント別ではメディア事業が全体の 55 % を占め、レシチャレの MAU 拡大が次期成長の基盤となる。
- FY2027 の売上予想は213.68億円(+25.7 %)で、AI レシピ提案や国際展開が主なドライバーと見込まれる。
- 競合比較ではシェアを 22 %→27 %へ伸ばし、短尺動画と AI 差別化が優位性の源泉である。
注記:本文中の全数値はクラシル株式会社が公表した決算資料および外部調査レポート(^1–[^8])に基づき、2026 年度末時点での最新情報を使用しています。
[^2]: 矢野経済研究所「日本の料理動画市場レポート 2026」(2026/04)
[^8]: インプレス「2026年版 日本料理動画市場シェアレポート」(2026/11)