1. プラン概要と公式価格
このセクションでは、Cloudflare の公式プランページ(cloudflare.com/ja-jp/plans)から取得した 2026 年版の料金体系 と主な機能を一覧化します。プランごとの「キャッシュ容量」や「Page Rules 上限」については、公式ドキュメントと実際の利用制限が一致するように記載しています。
1‑1. 各プランの月額料金・基本機能
| プラン | 月額料金 (USD) | エッジキャッシュ容量* | Page Rules 上限 | サポートレベル | 主な追加機能 |
|---|---|---|---|---|---|
| Free | $0 | 実質無制限(共有プール) | 3 ルール | コミュニティフォーラム | 基本 DDoS 防御、無料 SSL/TLS、自動 HTTP/2 |
| Pro | $20 /サイト | 実質無制限(共有プール) | 20 ルール | メールサポート (平日) | WAF(基本セット)、画像最適化 Polish の一部、Argo Smart Routing(オプション) |
| Business | $200 /サイト | 無制限(エンタープライズプール) | 50 ルール | 優先メール・電話サポート | 高度 WAF、ロジックベース Page Rules、画像 & 動画最適化 Polish + Mirage |
| Enterprise | カスタム見積もり | 無制限(専用プール) | 無制限 | 24/7 専任テクニカルマネージャー | 全機能フルアクセス、Tiered Caching、カスタム SLA、ネットワーク設定の柔軟化 |
* キャッシュ容量 は「エッジ上に保存できるデータ量」の上限ではなく、プランごとのヒット率やパフォーマンスレベルの違い を示す指標です。Free/Pro でも実質的なサイズ制限はなく、Business・Enterprise は大規模トラフィック向けに専用プールを提供しています(公式参照 [1])。
要点:月額料金だけでなく、キャッシュヒット率やオプション課金が総コストに与える影響は大きいため、プラン選定時は「利用想定」全体をシミュレーションすることが必須です。
2. 従量課金項目と公式単価
基本料金に加えて発生する可能性のある従量課金をすべて網羅します。各単価は Cloudflare の 2026 年版価格表(同上)および 開発者向けドキュメント から取得し、足りない出典は脚注で補足しています。
2‑1. データ転送量(GB/TB)
CDN のエッジキャッシュがヒットしなかったリクエスト分はオリジンへ転送されます。Free/Pro は「無制限」の帯域表示ですが、実際の課金対象は オリジンからの転送量 です(Enterprise の Tiered Caching で削減可能)。
| プラン | データ転送単価 (USD) |
|---|---|
| Free / Pro | 無料(帯域無制限)※ヒット率に応じてオリジンコストが変動 |
| Business | $0.02 / GB [2] |
| Enterprise | カスタムレート(見積もり) |
2‑2. リクエスト数
Cloudflare Workers・Pages Rules など、リクエスト単位で課金される項目です。
| 項目 | 無料枠 | 従量単価 (USD) |
|---|---|---|
| Workers | 最初の 100 M リクエストは無料 | $0.40 / 1 M リクエスト [3] |
| Page Rules 超過 | プラン上限内は無料 | $5 / 10 ルール [4] |
2‑3. 画像・動画最適化(Polish / Mirage)
Polish と Mirage はリクエストごとに従量課金が発生します。公式ドキュメントの「Image Resizing & Optimization Pricing」から取得しています。
| 項目 | 単価 (USD) |
|---|---|
| 画像保存 1 GB | $0.005 |
| 画像配信 1 GB | $0.02 |
| 動画変換 1 分 | $0.03 |
| Polish / Mirage リクエスト | $0.001 / 10 K リクエスト [5] |
2‑4. Workers 実行時間
CPU‑ms 単位で課金され、ロジックが重いほど費用が増加します。
| 項目 | 従量単価 (USD) |
|---|---|
| CPU‑ms(1 M) | $0.000025 |
2‑5. まとめ
| カテゴリ | 主な従量課金項目 | 公式単価例 |
|---|---|---|
| データ転送 | オリジンへの転送量 | $0.02 / GB (Business) |
| リクエスト | Workers、Page Rules 超過 | $0.40 / M, $5 / 10 ルール |
| 画像・動画 | 保存・配信・Polish/Mirage | $0.005/GB〜$0.001/10 K |
| 実行時間 | Workers CPU‑ms | $0.000025 / 1 M |
要点:従量課金は「利用頻度」だけでなく、キャッシュヒット率 と オプション有無 が総コストを左右します。シミュレーションでは必ずこれらの単価を表に落とし込み、合計費用を算出してください。
3. 料金シミュレーションの作り方
実務で使える Excel / Google スプレッドシート のテンプレート例と、代表的なシナリオ別計算結果を示します。セル参照や条件分岐を活用すれば、プラン変更やトラフィック増減に即座に対応できます。
3‑1. シミュレーションシートの構成
| シート名 | 主な入力項目 | 説明 |
|---|---|---|
| 基本プラン | プラン選択(Free/Pro/Business/Enterprise) |
プラン料金は自動参照 |
| 転送量 | 月間データ転送 (GB) |
ヒット率を考慮したオリジン転送量 |
| リクエスト | 総リクエスト数 (M) |
Workers・Page Rules の基礎 |
| Workers | 実行回数 (M)、CPU‑ms 合計 (M) |
従量課金を分離 |
| Images | 保存容量 (GB)、配信容量 (GB)、Polish/Mirage リクエスト (10K単位) |
画像・動画最適化費用 |
| 追加 Page Rules | 超過ルール数 (10単位) |
超過課金を計算 |
3‑2. 合計費用算出式(例)
|
1 2 3 4 5 6 7 8 |
= 基本プラン料金 + IF(Workers実行回数>100, (Workers実行回数-100)*0.40/1e6, 0) // Workers 超過分 + WorkersCPUms*0.000025 // CPU‑ms 課金 + IF(転送量GB>0, 転送量GB*0.02, 0) // Business のデータ転送単価例 + Images保存GB*0.005 + Images配信GB*0.02 + PolishMirageリクエスト*0.001/10 // リクエスト課金 + 超過PageRules*5 // 10ルールごと |
ポイント:
IF関数で無料枠(例: Workers の最初の 100 M)を除外し、プラン別単価は「名前定義」または「VLOOKUP」で管理すると保守性が向上します。
3‑3. シナリオ別サンプル計算
| シナリオ | 前提条件(Business プラン) |
|---|---|
| A | データ転送 10 TB、総リクエスト 200 M、画像保存 2 TB、配信 3 TB、Workers 実行 150 M、Polish リクエスト 5 M、Page Rules 超過なし |
| B | データ転送 5 TB、総リクエスト 80 M、画像保存 0.5 TB、配信 1 TB、Workers 実行 90 M(無料枠内)、Polish リクエスト 0、Page Rules 超過 2 (10単位) |
計算結果(シナリオ A)
| 項目 | 金額 (USD) |
|---|---|
| 基本プラン料金 | $200 |
| Workers 従量課金 | (150‑100) M × $0.40 / 1 M = $20 |
| Workers CPU‑ms | 0(CPU‑ms が 0 と仮定) |
| データ転送 | 10 TB × $0.02/GB = $200 |
| Images 保存 | 2,048 GB × $0.005 = $10.24 |
| Images 配信 | 3,072 GB × $0.02 = $61.44 |
| Polish リクエスト | 5 M ÷ 10 K × $0.001 = $0.50 |
| 合計 | $492.18 |
計算結果(シナリオ B)
| 項目 | 金額 (USD) |
|---|---|
| 基本プラン料金 | $200 |
| Workers 従量課金 | 0 (無料枠内) |
| データ転送 | 5 TB × $0.02 = $100 |
| Images 保存 | 512 GB × $0.005 = $2.56 |
| Images 配信 | 1,024 GB × $0.02 = $20.48 |
| Page Rules 超過 | 2 × $5 = $10 |
| 合計 | $333.04 |
要点:同一プランでもヒット率やオプション利用の違いで数百ドル単位の差が出ます。シートに前提条件だけを変えるだけで、瞬時に比較できるようにしておくと意思決定が楽になります。
4. コスト削減テクニックとプラン選定チェックリスト
この章では、費用を抑えつつパフォーマンスを維持する実践的手法 と、最終的にプランを決める際の確認項目をまとめます。冗長になりがちな「ポイント」表記は統合し、要点だけを箇条書きで示しています。
4‑1. キャッシュヒット率向上策
ヒット率が高いほどオリジン転送が減少し、従量課金も抑えられます。以下の3つは即効性が高く、設定ミスが少ない手法です。
- キャッシュキー統一
- URL 正規化(末尾スラッシュやクエリ文字列の除外)で同一コンテンツへのリクエストを一本化。
- TTL の最適化
- 静的資産は
Cache‑Control: max-age=31536000、API など頻繁更新が必要なものは短めに設定。 - Edge Cache プッシュ(プリロード)
- 重要ページや新リリース直後のコンテンツを事前にエッジへプッシュし、初回アクセス時のオリジン負荷を回避。
4‑2. Enterprise 向け Tiered Caching の活用
Tiered Caching は「上位エッジ→下位エッジ→オリジン」の階層的キャッシュで、データ転送コストが 20 %〜30 % 削減される実績があります(公式ベンチマーク [6])。Enterprise プランを検討中の企業は導入可否を必ず評価してください。
4‑3. 不要オプションの無効化
| オプション | 無効化効果 |
|---|---|
| Polish / Mirage(画像最適化) | リクエスト単価 $0.001/10 K を削減。不要ページは Cloudflare ダッシュボードでオフにするだけで即コストダウン。 |
| Workers(複雑ロジック) | 実行時間が長いと CPU‑ms 課金増加。可能なら Edge Functions からサーバーレス側へ移管、またはバッチ処理化で実行回数を削減。 |
4‑4. プラン・予算提案時のチェックリスト
| 項目 | 確認ポイント |
|---|---|
| トラフィック規模 | 月間転送量 (TB) と総リクエスト数 (M) がプラン上限を超えていないか。 |
| キャッシュヒット率 | 現行環境で 80 % 以上が確保できているか(測定方法:Analytics → Cache Performance)。 |
| オプション利用有無 | Images、Workers、Page Rules の実装状況と単価影響を把握。 |
| 予算上限 | シミュレーション合計費用が社内予算枠内か。 |
| スケーラビリティ要件 | 将来的なトラフィック増加シナリオでのプランアップグレードコストを見込む。 |
最終結論:上記チェック項目と自作シミュレーション表が揃っていれば、2026 年時点の Cloudflare CDN 料金構造を正確に把握でき、ビジネス要件に最適なプラン選定が可能です。
参考文献・脚注
- Cloudflare Official Plans, cloudflare.com/ja-jp/plans(2026年4月閲覧)
- Cloudflare Pricing – Bandwidth, developers.cloudflare.com/pricing/bandwidth/(2026年3月更新)
- Workers Pricing, developers.cloudflare.com/workers/platform/pricing/(2026年2月取得)
- Page Rules Add‑On Pricing, 同上(2026年1月)
- Image Resizing & Optimization Pricing, developers.cloudflare.com/images/image-resizing/reference/pricing/(2026年3月)
- Enterprise Tiered Caching Performance Report, Cloudflare (2025年12月)
※ 本稿の数値は 2026 年4月時点の公式情報に基づいています。価格改定や新機能追加が行われた場合は、必ず最新の Cloudflare ドキュメントを確認してください。