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Auth0 Free プランの概要
Auth0 の公式料金ページ(https://auth0.com/jp/pricing)に記載されている Free プランは、金銭的なコストが一切発生しないことを最大の特徴としています。スタートアップや PoC(概念実証)の段階で認証基盤を試したい開発者向けに設計されており、利用開始時点で課金が自動的に行われるリスクはありません。本セクションでは、Free プランの基本情報と「なぜ無料でも十分に活用できるか」のポイントを整理します。
- 料金:0 USD(月額・年額ともに無償)
- 対象ユーザー:開発・実証段階のプロジェクト、または小規模サービス
- 主なメリット:導入ハードルが低い、公式ドキュメントと同等のサポートが受けられる
MAU(Monthly Active Users)上限とその変遷
Free プランで許容される月間アクティブユーザー数(MAU)は、2024 年 10 月時点で 7,000 ユーザー が公式ドキュメント(Auth0 Pricing FAQ)に明記されています。過去には 5,000 MAU が上限でしたが、段階的な拡張を経て現在の数値に至っています。この情報は、プラン選定時に「ユーザー規模とコスト」のバランスを検討するうえで重要です。
| 時期 | Free プランの MAU 上限 |
|---|---|
| 2022 年以前 | 5,000 |
| 2023 年中頃 | 6,000(段階的に拡大) |
| 2024 年 10 月現在 | 7,000 |
※ 将来の上限変更は公式アナウンスがあるたびに料金ページを確認してください。
無料プランで利用できる主な機能と有料プランとの差分
Free プランでも実務に必要な認証機能はほぼ網羅されていますが、上位プランとの違いを正しく把握しておくことで、拡張時のスムーズな移行が可能になります。以下では各主要機能について概要と制限を示します。
Social Connections(外部 IdP)の利用
Auth0 の公式ブログ(Free プランでも無制限に Social Connections が使える)によれば、Google や Facebook などのソーシャル IdP は 接続数・ログイン回数ともに無制限 で利用できます。これにより、多様なユーザー属性への対応が簡単です。
Auth0 Actions の実行回数
Actions は認証フロー中にカスタムロジックを組み込めるサーバーレス機能です。公式ドキュメント(Auth0 Actions limits)では、Free プランの月間実行上限は 10,000 回 と定義されています。この枠内であれば、メール認証やロール付与などの高度な処理も実装可能です。
カスタムデータベース接続数
公式料金ページに記載されている通り、Free プランでは 最大 2 件 のカスタムデータベース接続が許可されています。外部 DB(例:MongoDB、PostgreSQL)との連携を必要とする場合は、この上限内で設計してください。
MFA(多要素認証)の提供範囲
Free プランでは SMS と TOTP(Google Authenticator 等) が利用可能です。有料プランに比べて Adaptive MFA やプッシュ通知は未サポートですが、基本的な二段階認証としては十分機能します。
カスタムドメインとエンタープライズ SSO
Free プランは Auth0 が提供するデフォルトドメイン(*.auth0.com)のみ使用でき、カスタムドメインやフルサポートのエンタープライズ SSO(SAML, OIDC)は Essentials 以上で利用可能です。
MAU 以外の主要制約事項
Free プランは MAU のみならず、以下のようなリソース上限が設けられています。実装時にこれらを意識しないと、予期せぬ機能停止につながります。
API レートリミット
公式ポリシー(Rate Limits)では 秒間 10 リクエスト が Free プランの上限となっています。大量トラフィックが見込まれる場合は、Essentials 以上でレートリミット緩和を検討してください。
ログ保持期間
認証ログは 最大 7 日間 保存されます。この期間内であればダッシュボードから検索・エクスポートが可能です。監査要件や長期分析が必要な場合は有料プランにアップグレードすると、30 日以上の保持が選択できます。
メール送信上限
パスワードリセットやメール検証コードの配信は 月間 2,000 通 が上限です(公式ドキュメント参照)。上限を超えるとメール配信が自動的に停止し、ユーザーエクスペリエンスが低下します。
カスタムドメインの非利用
Free プランでは独自ドメイン設定ができないため、ブランド統一感のある URL を求める場合は有料プランへの移行が必須です。
制限超過時の挙動とアップグレード手順
Free プランで設定した上限を超えると、Auth0 は自動的に課金処理を開始しませんが 該当機能を一時停止 します。管理コンソールには「プランをアップグレードしてください」という通知が表示され、ユーザーは以下の手順で有料プランへ移行できます。
- ダッシュボード → Billing(課金) にアクセス
- 現在の利用状況と推奨プラン(Essentials / Developer / Enterprise)の提示を確認
- クレジットカード情報または請求書発行先を登録し、プラン変更を確定
このプロセスは UI で完結するため、開発者が手動で設定を調整する必要はありません。
有料プランの概要と比較表
有料プランは主に Essentials, Developer, Enterprise の 3 階層に分かれます。各プランの特徴と最低料金(USD)を下表にまとめました。価格は公式ページ(2024 年 10 月時点)に基づき、為替変動やオプション追加分は除外しています。
| プラン | 月額(USD)* | MAU 上限 | 主な追加機能 |
|---|---|---|---|
| Essentials | $23 以上 | 50,000 | カスタムドメイン、30 日ログ保持、拡張 MFA、メール上限無制限に近い |
| Developer | $49 以上 | 100,000 | 高度な Actions(実行回数無制限)、高速 API レートリミット、フル SAML/WS‑Fed 対応 |
| Enterprise | カスタム見積もり | 無制限(顧客要件に合わせ調整) | 専用サポート、SOC2 / ISO 認証、プライベートクラウドオプション、完全カスタマイズ可能なレートリミット |
* 表示は 最低構成 の料金です。実際の請求額は追加 MAU、メール送信量、サポートレベル等に応じて変動します。
アップグレード判断シナリオと実務での活用例
以下に、Free プラン利用中に直面しやすい課題と推奨されるアップグレードパスを示します。各シナリオは「問題点 → 影響範囲 → 推奨プラン」の形で整理しています。
| シナリオ | Free プランでの課題 | 推奨アクション |
|---|---|---|
| MAU が 7,000 を超える | 認証が自動停止し、ユーザー体験が阻害される | Essentials(50k MAU)へ移行 |
| Actions 実行回数が月間 9,000 回を超える見込み | 上限に近づき、将来的に機能停止リスク | Developer にアップグレードし実行回数無制限化 |
| エンタープライズ向け SSO(SAML/AD)を本格導入したい | 接続数・カスタマイズが制限的 | Enterprise でフルサポートと専任アカウントマネージャー取得 |
| メール送信量が月間 2,500 通に達する | メール配信が停止し、パスワードリセットができなくなる | Essentials 以上でメール上限拡張(実質無制限) |
主要競合サービスとの比較
認証基盤は複数のベンダーが提供しており、要件に応じて最適な選択が必要です。ここでは Firebase Authentication と Okta の無料・有料プランを、Auth0 Free プランと対比させました。
| 項目 | Auth0 Free | Firebase Authentication(Spark) | Okta(Starter) |
|---|---|---|---|
| 無料 MAU 上限 | 7,000 | 10,000 | 1,000 (有料プランのみ) |
| カスタムドメイン | ×(利用不可) | ○(カスタムドメインは有料 Blaze で対応) | ○(Starter 以上で可) |
| ソーシャル IdP 接続数 | 無制限 | 無制限 | 無制限 |
| MFA 種類 | SMS・TOTP | SMS・メールリンク | SMS・Push・U2F 等多彩 |
| ログ保持期間 | 最大 7 日 | デフォルト 30 日(拡張可能) | プランに応じて可変 |
| 公式料金ページ | https://auth0.com/jp/pricing | https://firebase.google.com/products/auth | https://www.okta.com/pricing/ |
※ 各サービスの最新情報は公式サイトで随時確認してください。
まとめ
- Auth0 Free プラン は無償・MAU 上限 7,000 ユーザー、Social Connections 無制限、Actions 月間 10,000 回実行可能と、開発初期段階で十分に機能します。
- 非 MAU 制約 としては秒間 10 リクエストのレートリミット、ログ保持 7 日、メール送信月間 2,000 通、カスタムドメイン未提供があります。これらを超えると自動的に機能が停止し、管理画面でアップグレード案内が表示されます。
- 有料プラン(Essentials / Developer / Enterprise)は MAU の拡張だけでなく、レートリミット緩和、カスタムドメイン、長期ログ保持、エンタープライズ向け SSO などを提供し、ビジネス成長に合わせた段階的な移行が可能です。
- アップグレード判断 は「ユーザー規模」「認証フローの複雑さ」「監査・コンプライアンス要件」の3点を軸に検討し、シナリオ別に最適プランを選択してください。
- 競合サービス(Firebase Authentication, Okta)と比較した際、Auth0 は 柔軟なカスタマイズ性 と 豊富なエンタープライズ機能 が強みです。自社の技術スタックや将来的なスケール要件に合わせて、最適な認証基盤を選定しましょう。
本稿の情報は 2024 年 10 月時点の公式資料に基づいています。最新の料金・機能は各ベンダーの公式ページをご確認ください。