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前提条件と環境別の違い(Cloud vs Server/Data Center)
Jira と Confluence を連携させる前に、導入しているデプロイ形態を正確に把握することが成功の鍵です。ここでは Cloud、Server、Data Center のそれぞれで必要となるネットワーク要件・バージョン互換性・ライセンス形態を整理し、実装前に確認すべきポイントを示します。
ネットワーク要件
両製品が相互に通信できる環境は、連携の根幹となります。以下の点を必ずチェックしてください。
-
Cloud 同士
インターネット経由でhttps://が利用できれば追加設定は不要です。ただし、社内プロキシや Web Application Firewall が HTTPS のヘッダーを書き換える場合は例外的に許可リストが必要になることがあります。 -
Server / Data Center 間
ファイアウォールで相互に443(HTTPS)ポートを開放し、TLS 1.2 以上の暗号化が有効になっていることを確認します。また、ロードバランサーやリバースプロキシを経由する場合は ホストヘッダー が正しく転送されるよう設定してください。
サポート対象バージョン
| 環境 | 最低推奨バージョン | 備考 |
|---|---|---|
| Jira Cloud / Confluence Cloud | 常に最新(自動アップデート) | Atlassian が提供する全機能が利用可能 |
| Jira Server / Confluence Server | 8.13 以上 | 2024 年 2 月以降はサポート終了。新規導入は非推奨で、既存環境は保守期限に注意が必要です |
| Jira Data Center / Confluence Data Center | 同上 | クラスタ構成時は同一データセンター内のネットワーク遅延を 100 ms 未満に抑えることが推奨されます |
重要:Server 系列はサポート期限切れになるとセキュリティパッチが提供されません。移行計画が未策定の場合は、早急に Cloud もしくは Data Center へのアップグレードを検討してください。
ライセンス形態
| 製品 | ライセンスモデル | 主な特徴 |
|---|---|---|
| Jira Software | ユーザー単位のサブスクリプション(Cloud)または年間保守料付き perpetual(Server/Data Center) | Cloud は常に最新機能、Server はバージョンロックが可能 |
| Confluence | 同上 | Data Center ではノード数分のライセンスが必要です |
| Application Links | 全エディションで標準提供 | Data Center の場合は負荷テストと冗長構成の検証を推奨 |
ポイント:ライセンス形態に応じて管理コンソールへのアクセス権限が変わるため、導入前に「誰が何を購入できるか」を社内で合意しておくとトラブル防止につながります。
管理者権限と必要なライセンス情報の確認
連携設定は サイト管理者(Site Admin) または システム管理者(System Admin) 権限が必須です。本節では、両製品で権限を確認する手順と、最低限必要なライセンス・アドオンについて具体的に解説します。
権限の確認手順
| 製品 | 確認画面へのアクセスパス |
|---|---|
| Jira Cloud | 管理コンソール → ユーザー管理 → 「サイト管理者」タブで自分のアカウントが一覧にあるかチェック |
| Confluence Server / Data Center | Administration → ユーザーとセキュリティ → グローバル権限 で「Confluence Administrator」にチェックが入っていることを確認 |
ポイント:権限はプロダクトごとに別々に設定されます。Cloud と Server を横断して作業する場合は、両方の画面で必ず確認してください。
必要なライセンス
| 製品 | 推奨プラン | 備考 |
|---|---|---|
| Jira Software | Standard 以上(Cloud)または Data Center/Server の 8.13 以降 | アプリケーションリンク自体は無料で利用可能ですが、課題タイプやボード機能を使用するには Software ライセンスが必要 |
| Confluence | Standard 以上(Cloud)または同等の Server/Data Center バージョン | Data Center の場合はノード数分のライセンス取得が必須 |
| アドオン(任意) | 「Atlassian OAuth Provider」や「Crowd」など | OAuth 2.0 を利用したい場合、公式アドオンで機能拡張できます |
注意:Server 系列は 2024 年 2 月のサポート終了が近いため、長期運用を前提とするなら Cloud または Data Center のライセンスへ切り替えることを推奨します。
アプリケーションリンク作成手順
Jira と Confluence のデータ連携は Application Links(アプリケーションリンク)を介して実現されます。ここでは Cloud 同士、Server/Data Center それぞれの画面構成に合わせた具体的な設定フローと、最新の認証方式について詳述します。
URL 入力と接続先の指定
- Jira の管理コンソール → 製品リンク / Application Links を開く。
- 「新規リンク作成」ボタンをクリックし、Confluence のベース URL(例:
https://your-domain.atlassian.net/wiki)を入力する。 - 「次へ」を押すと自動的に名前やアイコンが取得されるので、必要に応じて編集して 保存 します。
ポイント:URL は必ず
https://で始め、末尾のスラッシュは付けないようにしてください。プロトコルが一致しないと SSL ハンドシェイクが失敗します。
認証方式の選択と設定
| 認証方式 | 推奨対象 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| OAuth 2.0 (3LO) | Cloud(新規インスタンス) | Atlassian Access で有効化可能。アクセストークンの有効期限は最大 90 日で、リフレッシュが自動的に行われます |
| OAuth 1.0a | Server / Data Center および一部旧 Cloud | キーとシークレットを手動で共有する従来方式。プラグインやマクロの互換性が高いが、将来的に非推奨になる可能性があります |
| パーソナルアクセストークン (PAT) | テスト環境・スクリプト実行時 | id.atlassian.com で作成し、ヘッダー Authorization: Bearer <token> を付与 |
Cloud 環境での OAuth 2.0 設定手順(推奨)
- Jira 管理コンソール → Security > OAuth 2.0 (3LO) クライアント に移動。
- 「クライアント作成」ボタンをクリックし、名前とリダイレクト URI(例:
https://your-domain.atlassian.net/wiki/plugins/servlet/oauth/redirect)を入力。 - 作成された Client ID と Client Secret をメモし、Confluence 側の Application Links 画面で「OAuth 2.0」を選択して貼り付ける。
Server / Data Center での OAuth 1.0a 設定手順(従来方式)
- Application Links の認証方式画面で OAuth 1.0a を選択。
- 「消費者キー」と「共有シークレット」が自動生成されるので、両方の製品に同一内容を入力して保存する。
注意:2024 年 10 月以降、Atlassian は新規 Cloud インスタンスで OAuth 1.0a の発行を制限しています。既存環境でも将来的な互換性確保のため、可能な限り OAuth 2.0 への移行計画を立てましょう。
接続テストとエラー時の対処
| テスト結果 | 推奨アクション |
|---|---|
| 成功(ステータスが「接続済み」) | 次の設定フェーズへ進む |
| 401 Unauthorized | キー・シークレットまたは Client ID/Secret が一致しているか確認。Cloud では API トークンが別途必要になる場合があります |
| 403 Forbidden | 両製品で管理者権限が付与されているか、IP 制限が設定されていないかチェック |
| 404 Not Found | 入力した URL にタイプミスがないか、Confluence が外部からのリクエストをブロックしていないか確認 |
トラブルシューティングのコツ:ブラウザのキャッシュと保存された認証情報をクリアし、再度「OAuth 認証」画面からやり直すと解決するケースが多く見られます。
ユーザー・グループの一元管理と Directory Sync の詳細手順
Jira にユーザーを集約し、Confluence 側で参照させることで権限管理が大幅に簡素化されます。本節では Directory Sync(ディレクトリ同期)の基本概念から、Crowd や外部 LDAP/Active Directory との連携手順までを網羅します。
Directory Sync の概要と Cloud と Server の違い
-
Cloud 環境
Atlassian Organization が提供する統合ディレクトリが自動的に有効化され、ユーザーはシングルサインオン(SSO)だけで両製品にアクセスできます。手動での Directory Sync 設定は不要です。 -
Server / Data Center 環境
外部ディレクトリとの連携が必須です。代表的な選択肢として Atlassian Crowd、Microsoft Active Directory、OpenLDAP、Azure AD があります。以下に一般的な構成フローを示します。
Directory Sync の詳細手順(Server/Data Center 向け)
- 外部ディレクトリの準備
- LDAP/AD サーバーで「ユーザー属性」「グループ属性」を標準スキーマに合わせて設定。必須属性は
uid(またはsAMAccountName)とmail、グループはcnとmemberです。 -
必要に応じて TLS/SSL を有効化し、通信を暗号化します。
-
Atlassian Crowd の導入(任意)
- Crowd をインストールし、外部ディレクトリを Directory として登録。Crowd が LDAP/AD からユーザー情報を取得し、Jira と Confluence に対して SSO プロバイダーとして機能します。
-
Crowd の管理コンソールで「Application」→「Add Application」から Jira と Confluence を追加し、Shared Secret を保存。
-
Jira 側のディレクトリ設定
- 管理画面 → ユーザー管理 > 外部ディレクトリ に移動。
-
「新規ディレクトリ」ボタンをクリックし、タイプに LDAP、Active Directory、または Crowd を選択。接続情報(ホスト名、ポート、バインド DN、パスワード)を入力してテスト接続を実行します。
-
Confluence 側のディレクトリ設定
-
同様に管理画面 → ユーザー管理 > 外部ディレクトリ で Jira と同一ディレクトリ情報を登録。Crowd を利用する場合は「Application Link」経由で認証情報を共有します。
-
グループマッピングの定義
-
ディレクトリ側で作成したグループ名(例:
jira-developers)が Confluence のスペース権限に自動的に反映されます。必要に応じて「グループマッピング」画面で手動マッピングを追加し、名前の統一感を保ちます。 -
同期テストとスケジュール設定
- 各製品のディレクトリページで「今すぐ同期」を実行し、ユーザー・グループが正しく取り込まれたことを確認。
- 定期的な自動同期は 15 分間隔 がデフォルトですが、組織ポリシーに合わせて変更可能です(例:30 分または 1 時間)。
ポイント:Crowd を介すれば、LDAP/AD の認証情報を一元管理できるため、将来的なディレクトリ追加や統合が容易になります。
ユーザー・グループのマッピング例
| Jira グループ | Confluence スペース権限 |
|---|---|
jira-software-users |
view + add(ページ作成) |
jira-admins |
admin(スペース管理全般) |
jira-readonly |
view のみ |
ベストプラクティス:最小権限の原則に従い、不要な管理者ロールは外す。定期的にマッピング表をレビューし、退職者や異動者が残っていないか確認します。
{jira} マクロと課題作成ハイライト機能の実装
Confluence に Jira 課題情報を埋め込むことで、プロジェクトの可視性が向上します。本節では {jira} マクロの詳細パラメータと、テキスト選択から課題作成画面へ遷移させるハイライト機能の設定手順を解説します。
{jira} マクロの基本構文
| パラメータ | 例 | 説明 |
|---|---|---|
key |
PROJ-123 |
単一課題を表示 |
query |
project = PROJ AND status = "In Progress" |
JQL に基づく一覧表示 |
columns |
summary,assignee,status |
表示列をカンマ区切りで指定 |
maxResults |
20 |
取得件数上限(デフォルトは 50) |
導入文:以下の手順でマクロをページに埋め込むと、リアルタイムで課題情報が表示されます。
- Confluence の編集モードで「+」 → 「その他のマクロ」 →
{jira}を選択。 - 必要なパラメータ(例:
queryとcolumns)を入力し、プレビューで結果を確認。 - 保存すると、ページ閲覧時に Jira の課題一覧が自動的に更新されます。
課題作成ハイライト機能の有効化
| 手順 | 操作内容 |
|---|---|
| 1 | Confluence ページで任意の文字列(例:バグ報告)を選択 |
| 2 | ツールバーに表示される 「Jira 課題作成」 アイコン(虫眼鏡マーク)をクリック |
| 3 | ポップアップが開き、プロジェクト・課題タイプ・要約が自動入力された状態で新規課題作成画面へ遷移 |
ポイント:この機能は「Jira Issue Collector」ではなく、標準マクロの一部として提供されています。利用するには Confluence の 編集権限 と Jira での 課題作成権限 が必要です。
権限・アクセス制御のベストプラクティスとトラブルシューティング
連携後に最も起こりやすい問題は、権限不整合 と 認証エラー です。ここではチェックリスト形式で安全な運用を支えるポイントと、代表的な障害の対処法をまとめます。
プロジェクト権限とスペース権限の整合性チェックリスト
| チェック項目 | 推奨設定 |
|---|---|
課題閲覧権限 (Browse Projects) |
必要グループだけに付与し、管理者以外は最小権限で運用 |
スペース閲覧権限 (View) |
Jira の同一グループが Confluence でも View を持つことを確認 |
マクロ使用権限 (Use macros) |
全ユーザーに付与しても安全だが、機密マクロは限定的に設定 |
課題作成権限 (Create Issues) |
ハイライトから課題作成できるよう、対象グループに Create を付与 |
導入文:以下の手順でチェックリストを実行すれば、権限ミスマッチによる表示エラーを未然に防げます。
- Jira の「プロジェクト権限スキーマ」から対象グループ一覧を取得。
- Confluence のスペース管理画面で同一グループが
ViewとAdd権限を持つか確認。 - 必要に応じて 最小権限の原則 に沿って余分な権限を削除。
代表的な接続エラーと対処法
| エラーメッセージ | 主な原因 | 解決策 |
|---|---|---|
| 401 Unauthorized | OAuth キー/シークレット不一致、または Cloud の API トークン未設定 | キー・シークレットを再生成し、Cloud では id.atlassian.com で作成した API Token を認証ヘッダーに追加 |
| 403 Forbidden | ユーザーがアプリケーションリンクに対してアクセス権なし | 両製品の管理者ロール(Site Admin / System Admin)を再確認し、必要なら権限を付与 |
| 404 Not Found (課題未表示) | JQL の記述ミス、または課題キーが存在しない | Atlassian の公式 JQL ヘルパーでクエリを検証し、正しいプロジェクトキーとステータスを使用 |
| 500 Internal Server Error (同期失敗) | 外部ディレクトリの接続タイムアウトまたは SSL 証明書エラー | LDAP/AD の接続設定を再確認し、TLS 証明書が有効かつ信頼された CA で発行されていることを確認 |
トラブルシューティングのヒント:ログ取得は必ず
DEBUGレベルに切り替えてから実施すると、原因特定が格段に早くなります。
サポート問い合わせ手順(Jira/Confluence 両方)
- 診断情報取得
- 管理画面 → 「システム」→「診断情報」から
atlassian-application-links.logとcatalina.outをダウンロード。 - 再現手順の記録
- エラーが出たページ URL、使用した JQL、スクリーンショットを添付し、問題が発生した具体的な操作手順を書き留める。
- サポートチケット作成
- Atlassian ポータル(
https://id.atlassian.com/login)から「Technical Support」へ進み、上記資料を添付して送信する。
ポイント:Server 系列は 2024 年 2 月のサポート終了に伴い、公式サポートが受けられなくなる点に注意してください。Cloud または Data Center に移行済みであれば、上記手順で通常通り対応可能です。
実装後のチェックリストと次のアクション
連携設定が完了したら、運用開始前に必ず以下の項目を確認してください。これらを体系的に実施することで、トラブル発生率を大幅に低減できます。
リンク動作確認
| 項目 | 確認方法 |
|---|---|
{jira} マクロが課題情報を正しく表示 |
Confluence ページでマクロをプレビューし、最新のステータス・コメントが反映されているかチェック |
| Jira から「View in Confluence」リンクが機能するか | 任意の課題画面でリンクをクリックし、対象スペースへ遷移できることを確認 |
ユーザー同期状況
- Jira のユーザー一覧に全員が表示されているか。
- Confluence のスペース権限と Jira のグループが一致しているか。
導入文:この段階で不整合が残っていると、後日権限エラーが頻発しますので、必ず目視で確認してください。
通知設定
- 課題更新時のメール通知が Confluence に届くか(必要なら「Watch」設定)。
- コメントやステータス変更がリアルタイムで埋め込みページに反映されるか。
権限レビュー
- プロジェクト権限とスペース権限のマッピング表を作成し、四半期ごとに見直す体制を整える。
- 退職者や異動者が残っていないか、定期的にディレクトリ同期ログを確認する。
ドキュメント化
- 手順書・トラブルシューティングガイドを社内 Wiki に保存し、新規メンバー向けの オンボーディング資料 として活用。
- 変更履歴(OAuth 認証方式の更新やサポート期限)を追記し、常に最新情報が共有できるようにする。
最終ポイント:上記チェックリストをすべてクリアしたら、本番環境での利用開始が可能です。以後は埋め込みマクロや課題作成ハイライト機能を活用し、プロジェクト情報の一元管理とチーム全体の生産性向上を実感してください。