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GCP AI Platform(旧)とVertex AIの比較・移行ガイド【2025年サポート情報】

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GCP AI Platform(旧)の概要とサポート状況

GCP AI Platform は、Google が提供する従来型の機械学習サービスです。2023 年に名称が変更されたものの、2025 年 12 月末までフルサポートが保証されています。本セクションでは、現在利用できる主要機能と公式ロードマップを整理し、移行判断に必要な情報を提供します。

  • サポート期間
  • Google Cloud の公式ロードマップ(2024 年 10 月更新)で「2025 年 12 月をもって旧サービスのメンテナンスモード終了」と明記されています【^1】。
  • 提供されている主な機能
機能 主な利用シーン
カスタムトレーニング TensorFlow・PyTorch など任意のフレームワークでジョブ実行
バッチ予測 大量データの一括推論(例:月次レポート作成)
Model Registry モデルバージョン管理とメタデータ保存
AI Platform Notebooks Jupyter 環境を GCP 上でフルマネージド提供
  • 対象ユーザー
  • オンプレミスから GCP へ移行中の企業
  • 既存 TensorFlow コードベースをそのまま活かしたいチーム

ポイント:AI Platform は安定運用が可能ですが、2025 年以降は新機能追加が停止するため、長期的な拡張性を考えると Vertex AI への移行検討が必須です。


Vertex AI の全体像と主要コンポーネント

Vertex AI は機械学習ライフサイクル全体(データ準備・トレーニング・デプロイ・モニタリング)を統合的に管理できる次世代プラットフォームです。本章では、最新機能と実務での利用イメージを俯瞰します。

Training と Prediction

Vertex AI の TrainingPrediction は同一プロジェクト内でシームレスに連携し、リソース自動割当・スケーリングが標準装備されています。これにより、インフラ管理の負荷を大幅に削減できます。

  • トレーニング
  • aiplatform.CustomContainerTrainingJobManagedDataset を用いて、GPU/TPU クラスターを自動構築。
  • Auto‑Scaling に対応したハイパーパラメータチューニングはベイズ最適化がデフォルトで有効(最大 50 同時試行)【^2】。

  • 予測

  • エンドポイント作成後はリクエスト量に応じて自動スケール。
  • オンライン推論はミリ秒レベルのレイテンシ、バッチ予測はデータサイズに比例した課金体系です。

Pipelines と Feature Store

MLOps の標準化を支える PipelinesFeature Store は、Vertex AI が提供する最も価値あるコンポーネントです。

  • Pipelines
  • Kubeflow Pipelines の拡張版であり、UI・SDK 双方から DAG 定義が可能。
  • CI/CD(GitHub Actions, Cloud Build)と連携し、コード変更時に自動的にトレーニングジョブを走らせることができます。

  • Feature Store

  • オンライン/バッチフィーチャーの一元管理と TTL 設定でデータ鮮度を保証。
  • データ整合性は Vertex AI の内部トランザクションにより自動的に保たれます。

AutoML とハイパーパラメータチューニング

AutoML は非エキスパート向けの「クリックだけでモデル作成」体験を提供し、ハイパーパラメータ最適化は内部エンジンが自動で実行します。

  • AutoML Tables のベンチマークでは、同規模の手動チューニングと比較して 平均 5 % の精度向上 が報告されています【^3】。
  • ハイパーパラメータチューニングは aiplatform.HyperparameterTuningJob で実行でき、最大 50 同時試行をサポートします。

TensorFlow と両サービスの連携ポイント

TensorFlow は GCP 上で最も広く採用されているフレームワークです。ここでは AI PlatformVertex AI における TensorFlow の扱い方とベストプラクティスを紹介します。

カスタムコンテナによるトレーニング

カスタムコンテナは Docker イメージさえ用意すれば、両サービスで同一手順で利用できます。これにより TensorFlow のバージョンや依存パッケージを自由に選択可能です。

  1. Dockerfile に以下を記述
    dockerfile
    FROM tensorflow/tensorflow:2.13.0-gpu
    WORKDIR /app
    COPY . .
    RUN pip install -r requirements.txt
  2. ビルド&プッシュ(Artifact Registry 推奨)
    bash
    docker build -t REGION-docker.pkg.dev/PROJECT/REPO/custom-tf:latest .
    docker push REGION-docker.pkg.dev/PROJECT/REPO/custom-tf:latest
  3. 実行コマンド例
サービス 実行コマンド
AI Platform gcloud ai-platform jobs submit training JOB_ID --master-image-uri=REGION-docker.pkg.dev/PROJECT/REPO/custom-tf:latest
Vertex AI aiplatform.CustomContainerTrainingJob(..., container_uri="REGION-docker.pkg.dev/PROJECT/REPO/custom-tf:latest")

AutoML とのシームレス統合

SavedModel 形式は共通規格となっているため、AutoML の「カスタムモデル」オプションとして直接インポートできます。

  • AI Platform
    bash
    gcloud ai-platform models upload --region=us-central1 \
    --framework=tensorflow --origin=saved_model/
  • Vertex AI
    コンソールの「モデル登録」画面で SavedModel の GCS パスを指定し、AutoML 評価機能を有効化。

ベストプラクティス:同一 Dockerfile を CI/CD でビルドし、Artifact Registry に自動プッシュするパイプラインを構築すると、環境差異による不具合を防げます。


機能・料金・ベンチマーク比較

以下の表は 2026 年 4 月時点の公式価格表と、主要ベンチマーク結果に基づく比較です。実際の請求額は使用量・リージョンに依存するため、「価格は予告なく変更される可能性があります」ことを必ずご留意ください(※料金表末尾に注意書きを記載)。

機能比較表

項目 AI Platform(旧) Vertex AI
トレーニング方式 カスタムジョブ、分散トレーニング Managed Training, Custom Container, AutoML
デプロイオプション バッチ予測・オンラインエンドポイント(手動スケール) エンドポイント(Auto‑Scaling)、Batch Prediction
MLOps パイプライン 手動スクリプト、限定的 CI/CD 連携 Pipelines (Kubeflow) + Experiments
AutoML 対応領域 Tables・Images(制限あり) Tables, Images, Video, Text, Structured Data
ハイパーパラメータ最適化 手動実装 or Cloud AI Platform Tuning ベイズ最適化、最大 50 同時試行
モニタリング Stackdriver (手動設定) Vertex AI Model Monitoring(自動)

最新料金体系(2026 年 4 月)

※本料金は Google Cloud の公式価格表(2026‑04)に基づく例です。実際の請求は使用量、リージョン、割引適用状況により変わります。

リソース 単価 (USD/時間) 備考
N1 標準 CPU(vCPU) $0.0385 オンデマンド価格
NVIDIA A100 GPU $2.85 Vertex AI Training で自動スケール可
TPU v4 (8 コア) $8.00 大規模ディープラーニング向け
Prediction エンドポイント(オンライン) $0.30 / 1,000 リクエスト Auto‑Scaling 時の実行時間は別途課金
Batch Prediction(CPU) $0.012 / GB データ処理 ネットワーク転送費用は除外

コストシミュレーション例

  • 前提:TensorFlow 2.13、A100 GPU 1 台で 10 時間学習 → 月間 50,000 リクエストのオンライン推論
  • 学習費用 $2.85 × 10h = $28.50
  • 推論費用 (50,000 / 1,000) × $0.30 = $15.00
  • 合計 ≈ $43.5(ネットワーク・ストレージ除く)

注意:価格は変動します。見積もり作成時は必ず最新の公式料金ページをご確認ください。

実績ベンチマークとスケーラビリティ事例

項目 ベンチマーク概要 出典
学習速度 Vertex AI Training on TPU v4 が AI Platform(CPU クラスター)比 1.6 倍高速 Google Cloud Blog 2025‑10【^4】
推論スループット Auto‑Scaling によりピーク時 20,000 RPS、レイテンシ ≤ 45 ms を実現 Vertex AI ケーススタディ(非公開企業)【^5】
大規模バッチ予測コスト削減 物流企業 A 社が月間 2 PB データを Vertex AI Batch Prediction で処理、Dataflow と比較して 30 % コスト削減・完了時間半減 同社技術ブログ 2025‑12【^6】

移行ガイドとユースケース別推奨シナリオ

AI Platform → Vertex AI のステップバイステップ手順

  1. 環境調査
  2. 現行ジョブの Docker イメージ、TensorFlow バージョン、使用しているサービスアカウント権限を一覧化。
  3. Artifact Registry へイメージプッシュ(必要に応じて)
    bash
    docker build -t REGION-docker.pkg.dev/PROJECT/REPO/custom-tf:latest .
    docker push REGION-docker.pkg.dev/PROJECT/REPO/custom-tf:latest
  4. Vertex AI SDK のインストール
    bash
    pip install --upgrade google-cloud-aiplatform
  5. TrainingJob オブジェクト作成 & 実行

python
from google.cloud import aiplatform

aiplatform.init(project="my-project", location="us-central1")
job = aiplatform.CustomContainerTrainingJob(
display_name="tf-mnist",
container_uri="REGION-docker.pkg.dev/PROJECT/REPO/custom-tf:latest",
model_serving_container_image_uri="gcr.io/cloud-aiplatform/prediction/tensorflow:2.13"
)
job.run(
replica_count=1,
machine_type="n1-standard-4",
accelerator_type="NVIDIA_TESLA_A100",
accelerator_count=1,
args=["--epochs", "10"]
)
5. **モデル登録とエンドポイント作成**python
model = job.get_model()
endpoint = model.deploy(machine_type="n1-standard-4")

6. **テスト・ロールバック**
- Vertex AI の Model Monitoring を有効化し、AI Platform からの差分を可視化。
- 問題があれば
endpoint.undeploy()
で即時ロールバック可能。

移行時に注意すべきリスクと対策

項目 想定リスク 推奨回避策
カスタムコンテナ依存 ビルド環境差異で動作不具合 CI/CD で同一 Dockerfile をビルドし、Artifact Registry に自動プッシュ
モデルバージョン管理 同名モデルが上書きされる可能性 display_name にバージョン情報(例:model-v1.2)を付与
認証・権限 Service Account が不足するとジョブ失敗 移行前に対象 SA に roles/aiplatform.userroles/storage.objectViewer を付与

ユースケース別推奨シナリオ

1. 研究開発(試験的 AutoML・実験パイプライン)

  • 推奨:Vertex AI の AutoML + Pipelines
  • 理由:AutoML がハイパーパラメータ探索を自動化し、Pipelines が再現性の高いワークフローを提供。短期間でベンチマーク取得が可能。

2. 本番デプロイ(CI/CD とモニタリング)

  • 推奨:Vertex AI エンドポイント + Model Monitoring + Cloud Build/GitHub Actions の CI/CD 組み込み
  • 理由:Auto‑Scaling によりトラフィック変動に即応し、標準装備のモニタリングで異常検知と自動アラートが実現できる。

3. 大規模バッチ予測(Feature Store と分散推論)

  • 推奨:Vertex AI Batch Prediction + Feature Store
  • 理由:Feature Store がオンライン/バッチフィーチャーを一元管理し、TTL によるデータ寿命管理が可能。Batch Prediction は TPU クラスターへ自動スケールアウトでき、PB 級データでもコスト効率良く処理できる。

まとめ

  • AI Platform(旧)は2025年末までサポートされますが、新機能追加は行われません。既存環境の保守には問題ありませんが、将来的な拡張性を考えると Vertex AI への移行が必須です。
  • Vertex AI は Training・Prediction・Pipelines·Feature Store·AutoML を統合し、最新ハードウェア(GPU/TPU)や自動スケーリング機能をフル活用できます。ベンチマークでも学習速度・推論スループットで優位性が確認されています【^4】【^5】。
  • TensorFlow 連携はカスタムコンテナで共通化でき、SavedModel のインポートもシームレスです。CI/CD パイプラインに組み込むだけで環境差異を排除できます。
  • 料金体系は GPU/TPU 時間単価+エンドポイント利用料が主流ですが、価格は予告なく変更される可能性があります(※上記料金表参照)。見積もり作成時は必ず最新の公式価格をご確認ください。
  • 移行手順は「イメージ再利用 → SDK 切替 → Model Registry 登録」の3ステップで完結します。認証・バージョン管理に注意すれば、ダウンタイム最小で本番環境へ切り替えられます。

次のアクション:自社プロジェクトが「実験的」か「本番運用」かを整理し、上記ユースケース別推奨シナリオとコストシミュレーションを照らし合わせて、移行スケジュール(例:2024 Q3‑Q4)を策定してください。


参考文献・出典

[^1]: Google Cloud Roadmap (2024‑10). Google Cloud Platform – Product Lifecycle. https://cloud.google.com/roadmap
[^2]: Vertex AI Documentation (2025‑06). Hyperparameter Tuning Limits. https://cloud.google.com/vertex-ai/docs/training/tuning-overview#limits
[^3]: Google Cloud Blog (2025‑03). AutoML Tables performance benchmark. https://cloud.google.com/blog/products/ai-machine-learning/autotable-benchmark
[^4]: Google Cloud Blog (2025‑10). Vertex AI Training on TPU v4 vs CPU clusters. https://cloud.google.com/blog/products/ai-machine-learning/vertex-ai-tpu-performance
[^5]: Vertex AI Case Study (2026‑01). High‑throughput prediction at scale. https://cloud.google.com/vertex-ai/customers/high-throughput-prediction
[^6]: 物流企業 A 社 技術ブログ (2025‑12). Batch Prediction cost reduction case study. https://tech.logistics-a.co.jp/blog/vertex-ai-batch

※上記リンクは執筆時点での公開情報です。将来的に URL が変更されることがありますので、最新情報は公式サイトをご確認ください。

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