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ハードウェア受領チェックと基本接続
このセクションでは サーバー到着後に行う外観検査・付属品確認・電源・ネットワーク配線の手順を解説します。
なぜ重要か → 欠品や誤配線は iDRAC へのアクセス障害、RAID 作成失敗、最終的な OS デプロイまでの遅延につながります。
1. 外観・付属品の確認
- 本体に傷やへこみがないか目視で点検
- 同梱「付属品リスト」と照らし合わせて、以下がすべて揃っていることを確認
- 電源ケーブル(C13 → C14)
- 管理用 LAN ケーブル(RJ‑45)
- iDRAC LCD ラベル(IP アドレスや MAC アドレスのヒントが記載される場合あり)
- ハードディスク/SSD の搬入ケース
- ユーザーガイドと Quick Start ガイド
2. 電源接続手順
- 電源ユニットに AC ケーブルを差し込み、100‑240 V のコンセントへ接続
- サーバ背面の電源スイッチを ON にする(LED が点灯すれば正常)
3. ネットワーク配線手順
- iDRAC 用 RJ‑45 ポートに管理 LAN ケーブルを差し込む
- 冗長化が必要な場合は、バックアップ NIC(ポート 2)にも同様に接続しておくと、後の設定で「Team」構成が容易になる
ポイント:iDRAC の初期 IP はモデルごとに異なることがあります。ラベルや出荷時シートを必ず確認し、事前に社内ネットワーク担当者へ情報共有してください。
iDRAC の初期アクセスとネットワーク設定
このセクションでは iDRAC に初めてログインする際の注意点、デフォルト情報の取得方法、そして推奨される静的 IPv4 設定手順を示します。
重要性 → 正しい IP と認証情報が確保できなければ、Lifecycle Controller 以降のすべての操作がリモートで行えません。
デフォルト情報の取得方法(機種差異に留意)
- ラベル確認:サーバ背面の iDRAC ラベルに
IP: xxx.xxx.xxx.xxxと記載されていることが多い - 出荷時シート:同梱の「iDRAC 設定シート」や Quick Start ガイドにデフォルトユーザーとパスワードが明示される(例:
root / calvin) - 実機確認:LCD が搭載されている場合は
Ctrl‑Eでネットワーク情報を表示できる
注意:モデルやファームウェアバージョンによっては、デフォルトユーザーが
admin、パスワードがランダム生成された文字列になることがあります。必ず実機で確認し、社内ポリシーに合わせて変更してください。
静的 IPv4 と DNS の設定手順
- ブラウザで取得した IP(例:
https://192.168.0.120)へアクセスし、証明書警告は「例外として続行」 - iDRAC Settings → Network → IPv4 Settings を開く
- 「IPv4 Configuration」を Static に変更し、以下を入力
| 項目 | 例(社内 VLAN) |
|---|---|
| IP アドレス | 10.0.5.20 |
| サブネットマスク | 255.255.255.0 |
| ゲートウェイ | 10.0.5.1 |
- DNS Settings タブで
- Primary DNS:
10.0.0.53(社内 DNS) -
Secondary DNS:
8.8.8.8(外部バックアップ) -
「Apply」→「Confirm」で保存し、ステータスが OK になることを確認
公式参照:Dell Support KB Configure iDRAC Network Settings
Lifecycle Controller 起動とファームウェア更新
このセクションでは POST 画面から Lifecycle Controller (LC) に入り、BIOS・iDRAC・PERC などの最新ファームウェアを適用する手順を示します。
目的 → 最新のファームウェアは TPM/Secure Boot のバグ修正や新しい OS との互換性向上に不可欠です。
LC 起動手順(F10)
- サーバー電源投入後、POST 表示中に左下が点滅する F10 キーを押す
- 「Lifecycle Controller」メニューが表示されたら Enter
ファームウェア更新の実行方法
| 手順 | 操作内容 |
|---|---|
| 1 | メイン画面 → Platform Update を選択 |
| 2 | 「Connect to Dell Online Repository」を選ぶか、事前にダウンロードしたイメージを USB/DVD で指定 |
| 3 | 更新対象コンポーネント(BIOS、iDRAC 9、PERC H750 等)にチェックを入れ Update をクリック |
| 4 | 完了後サーバーが自動再起動するので、再度 F10 → LC に入り設定へ進む |
ポイント:オフライン環境で作業する場合は Dell Repository Manager で必要なファームウェアをまとめたカタログを作成し、USB スティックに保存して使用します。
BIOS/UEFI 設定・TPM・Secure Boot の有効化
このセクションでは BIOS メニューから TPM 2.0、Secure Boot、および UEFI 起動モードを有効にする具体的手順と、設定が見当たらない場合の対処法を解説します。
重要性 → Windows Server(2022 以降)や Linux の FIPS/PCI‑DSS 準拠要件では TPM と Secure Boot が必須です。
BIOS へのアクセスと基本画面
- 電源投入時に F2 キーを押して「System Setup」へ入る
- メニューは機種ごとにレイアウトが異なるため、左側の Security, Boot, Device Settings を順に確認
TPM 2.0 の有効化手順(PERC H750 搭載機の場合)
- Security → TPM Configuration を選択
- 「TPM State」→ Enable、Clear TPM は No に設定(既存キーを保持)
- 変更後に Save & Exit し、再起動
注意:一部モデルでは「TPM Device」自体が Disabled 状態になることがあります。その場合は「Device Settings → TPM Device」から有効化してください。
UEFI 起動モードと Secure Boot の設定
- Boot Settings → Boot Mode を UEFI Only に変更
- 同メニュー内の Secure Boot を Enabled にし、キーはデフォルトの Microsoft Windows Production CA(または社内 PKI)を使用
参考:Dell Support KB Enable UEFI and Secure Boot
RAID 構成の設計指針と PERC H750 操作例
このセクションでは RAID の基本概念、モデル固有オプション(キャッシュポリシーや書き込み方式)を踏まえた構築手順を示します。
目的 → データ保護レベルとパフォーマンス要件に合わせて最適な仮想ディスクを作成し、OS インストール前に確実に初期化しておくことです。
設計上のポイント
| 項目 | 推奨設定例 |
|---|---|
| RAID レベル | RAID1(ミラー): 小規模環境・高可用性 RAID5: コストと容量のバランス RAID10: 高パフォーマンスかつ冗長 |
| キャッシュポリシー | Write‑Back + Battery/Capacitor Backed Cache(電源障害時もデータ保持) |
| ストライプサイズ | OS 用ディスクは 64 KB、データベース用は 128 KB が一般的 |
モデル固有注意点:PERC H750 は NVMe ディスクを RAID0/1/5 のみサポートし、RAID10 は未対応です。NVMe を混在させる場合は「Mixed‑Mode」設定が必要になることがあります。
PERC H750 で RAID 仮想ディスク作成手順
- System Setup (F2) → Device Settings → PERC H750 Configuration に入る
- 「Create New VD(Virtual Disk)」を選択し、以下を入力
| 項目 | 設定例 |
|---|---|
| RAID Level | RAID5 |
| Physical Disks | 3 台以上の同一容量 SSD (例:2 TB) |
| Stripe Size | 128 KB |
| Cache Policy | Write‑Back |
| VD Name | VD_OS |
| Size | 必要容量に合わせて自動計算(例:5 TB) |
- 「Apply」→「Fast Init」を実行し、仮想ディスクを即座に使用可能状態にする
注意:RAID の作成後は必ず Consistency Check を手動で走らせ、エラーが無いことを確認してください(LC → Diagnostics → PERC → Consistency Check)。
OS デプロイメント(Windows Server 2022 推奨)と初期設定
Windows Server 2025 は執筆時点では正式リリースされておらず、製品名の使用は誤解を招く恐れがあります。ここでは現在サポートが確定している Windows Server 2022 を例に説明します。
このセクションでは Lifecycle Controller の OS Deployment 機能を利用した Windows Server 2022 の自動インストール手順と、インストール後に行う基本的な設定項目をまとめます。
重要性 → 手作業を最小化することで構成のブレを防ぎ、複数台展開時の時間短縮が可能です。
OS Deployment の実施手順
- LC 起動後 OS Deployment → Deploy OS を選択
- 「Installation Media」欄で ISO Image を指定し、ネットワーク共有パス(例:
\\fileserver\isos\WinSrv2022.iso)を入力 - 「Target Server」セクションで UEFI Boot, TPM 2.0 Enabled にチェック
- 必要に応じて「Pre‑OS Configuration」で以下を設定
- ネットワークドライバ(Intel X710 等)
- カスタム回答ファイル(
autounattend.xml)のパス - 「Deploy」ボタンでインストール開始。進行状況は LC 画面にリアルタイム表示されます
公式参照:Dell Support KB Using Lifecycle Controller to Deploy Windows Server
インストール後の初期構成
| 項目 | 手順概要 |
|---|---|
| ネットワーク設定 | Server Manager → Local Server → Ethernet → IPv4 に社内静的 IP(例:10.0.5.30/24)と DNS を入力 |
| 管理者パスワード変更 | 初回サインイン時に表示される Administrator の自動生成パスワードを、ポリシーに沿った強固なもの(12 文字以上・大小英数字・記号)へ変更 |
| Windows Update | Settings → Update & Security → 「Check for updates」→ すべての重要更新プログラムを適用し再起動 |
| 機能有効化 | Server Manager → Add Roles and Features → BitLocker と Hyper‑V(必要に応じて) をインストール |
| ドメイン参加 | System Properties の「Computer Name」タブから AD ドメインへ参加し、組織の GPO が適用されることを確認 |
運用開始後の保守・セキュリティ強化策
この章では iDRAC の認証情報変更、二要素認証(MFA)導入、BitLocker によるディスク暗号化、定期的なファームウェア更新と Dell SupportAssist の活用方法をまとめます。
目的 → 本番稼働後に生じやすい「デフォルト設定のまま放置」リスクを排除し、長期安定運用を実現します。
iDRAC 認証情報と MFA 設定
- iDRAC Web UI に
rootでログイン(IP は先ほど設定した社内 IP) - iDRAC Settings → User Authentication → Users タブで
rootのパスワードをランダム生成ツールで作成し、12 文字以上の複雑な文字列に変更(例:D3llR0ck$2026!)- 必要に応じて新規管理者アカウント
admin2を作り Administrator ロール付与 - 同画面左下の Multi‑Factor Authentication (MFA) を Enable にし、指示に従ってスマートフォンの認証アプリ(Duo, Authy 等)とペアリング
参考:Dell Support KB Configure iDRAC MFA
BitLocker によるディスク暗号化
| 手順 | 内容 |
|---|---|
| 1 | Server Manager → File and Storage Services → Volumes で対象ドライブを右クリックし Turn on BitLocker を選択 |
| 2 | 「Encryption method」=AES‑256、キー保護は TPM only を指定 |
| 3 | 暗号化開始後に再起動し、暗号化ステータスが 100 % になるまで待機 |
定期的なファームウェア更新と SupportAssist
- Lifecycle Controller → Platform Update を月1回実行し、BIOS・iDRAC・PERC の最新版を適用
- Dell SupportAssist Enterprise エージェントをサーバーにインストール(Dell ポータルからダウンロード)
- 設定画面で「Automatic Diagnostics」および「Proactive Alerts」を有効化し、ハードウェア障害予測レポートをメールで受信
公式リンク:Dell SupportAssist Enterprise – Download & Install
まとめとチェックリスト
| フェーズ | 主な作業項目 |
|---|---|
| 受領・配線 | 外観検査、付属品確認、電源オン、iDRAC LAN 接続 |
| iDRAC 設定 | デフォルト IP/認証情報の実機確認 → 静的 IPv4/DNS の設定 |
| ファームウェア更新 | LC 起動 → Platform Update(BIOS・iDRAC・PERC) |
| BIOS/UEFI | TPM 2.0 有効化、Secure Boot と UEFI Only 設定 |
| RAID 構築 | PERC H750 で RAID5/10 等の仮想ディスク作成 → Consistency Check |
| OS デプロイ | LC の OS Deployment で Windows Server 2022 ISO を自動インストール |
| 初期設定 | 静的 IP、管理者パスワード変更、Windows Update、BitLocker 有効化 |
| 保守・セキュリティ | iDRAC パスワード+MFA、定期ファームウェア更新、SupportAssist の導入 |
このチェックリストを順に実施すれば、Dell PowerEdge サーバーの初期セットアップから本番運用開始までを 安全・確実・標準化 されたプロセスで完了できます。
※ 本稿は執筆時点(2026 年 6 月)における情報を元に作成しています。Dell の製品仕様やサポートポリシーは随時更新されますので、最新の公式ドキュメントをご参照ください。