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Jenkins の最新 LTS 導入ガイド(2026 年 6 月時点)
このガイドでは、Jenkins LTS 2.462 系列 を Ubuntu と Windows にインストールし、パイプラインをすぐに走らせるまでの一連の手順をまとめます。
Java のバージョン要件やプラグインの互換性情報は公式ドキュメントと照らし合わせた最新情報ですので、導入前に必ず確認してください。
1. 前提条件と環境チェック
Jenkins 本体だけでなく、プラグインやビルドエージェントが正しく動作するためには以下の点を満たす必要があります。
- OS:Ubuntu 22.04 LTS(他ディストリビューションでも同様の手順)/Windows Server 2022
- Java:JDK 11、17、または21 のいずれかがインストール済みであること(LTS では JDK 17 が推奨)。公式は「JDK 11 以上」をサポートしています。
- ネットワーク:Jenkins のパッケージリポジトリとプラグイン更新サーバへ外部アクセスが可能であること
注記:本記事のバージョン情報は 2026 年 6 月時点の公式リリースに基づきます。将来的な変更があれば Jenkins のリリースノートをご確認ください。
2. Java のインストールとバージョン確認
2.1 JDK の入手先とインストール手順
OpenJDK と AdoptOpenJDK(現在は Eclipse Adoptium)が提供するパッケージを利用します。Ubuntu では apt、Windows では MSI インストーラが公式に用意されています。
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# Ubuntu 22.04 の例(JDK 17 をインストール) sudo apt update sudo apt install -y openjdk-17-jdk |
2.2 正しくインストールされたかの確認方法
端末で次のコマンドを実行し、java -version の出力が 11、17、または 21 のいずれかであることを確かめます。
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$ java -version openjdk version "17.0.12" 2024-09-14 OpenJDK Runtime Environment (build 17.0.12+7) OpenJDK 64-Bit Server VM (build 17.0.12+7, mixed mode, sharing) |
ポイント:JAVA_HOME が設定されていない場合は、以下を /etc/profile.d/jdk.sh に追記して再読み込みします。
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export JAVA_HOME=$(dirname $(dirname $(readlink -f $(which java)))) export PATH=$JAVA_HOME/bin:$PATH |
3. Jenkins のインストール(Ubuntu)
3.1 リポジトリキーと APT ソースの追加(apt‑key 非推奨に対応)
2024 年以降、apt-key は非推奨となったため、signed‑by オプション付きのキーファイルでリポジトリを登録します。
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# 1. キーを取得して /usr/share/keyrings に保存 curl -fsSL https://pkg.jenkins.io/debian-stable/jenkins.io-2023.key \ | sudo gpg --dearmor -o /usr/share/keyrings/jenkins-keyring.gpg # 2. APT ソースリストを作成(signed-by オプション使用) echo "deb [signed-by=/usr/share/keyrings/jenkins-keyring.gpg] https://pkg.jenkins.io/debian-stable binary/" \ | sudo tee /etc/apt/sources.list.d/jenkins.list > /dev/null |
3.2 Jenkins 本体のインストールと起動
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sudo apt update sudo apt install -y jenkins # 起動・自動起動設定 sudo systemctl enable --now jenkins |
3.3 インストール後の確認
ブラウザで http://<サーバIP>:8080 にアクセスし、初回セットアップ画面が表示されたら成功です。管理者パスワードは以下で取得できます。
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sudo cat /var/lib/jenkins/secrets/initialAdminPassword |
4. Windows へのインストール手順
- Jenkins の公式サイト(https://www.jenkins.io/download/)から Windows MSI をダウンロード。
- ダウンロードしたファイルを実行し、ウィザードに従ってインストール先とポート番号(デフォルト 8080)を設定。
- インストーラがサービスとして Jenkins を登録するので、完了後は
services.mscで Jenkins が「開始」状態になっていることを確認。
ヒント:Windows 環境ではファイアウォールの例外規則が自動で追加されません。手動でポート 8080(または設定したポート)への inbound ルールを許可してください。
5. 必要プラグインとバージョン管理
Jenkins のプラグインは互換性が頻繁に変わります。2026 年 6 月現在の最新安定版 を以下に示します。実際の導入時は 「Manage Jenkins」→「Plugins」→「Updates」 で最新版を確認してください。
| プラグイン | 推奨バージョン(2026/06) | 主な機能 |
|---|---|---|
| Pipeline | 2.16 (latest) | 宣言型・スクリプト型パイプラインの基盤 |
| Blue Ocean | 1.27 (latest) | ビジュアル UI とステージ別ログ |
| Git Plugin | 5.0.0 (latest) | Git リポジトリのクローン、ブランチ検出 |
| Credentials Plugin | 2.6.0 (latest) | 秘密情報(SSH キー・トークン)の安全管理 |
プラグイン更新時の注意点
- 依存関係:プラグインは相互に依存していることが多いため、個別にバージョンを固定せず 全体を一括でアップデート する方が安全です。
- ステージング環境の活用:本番環境へ反映する前に、テストサーバーでプラグイン更新を検証し、互換性エラー(例:
MissingContextVariableException)が出ないか確認します。
6. パイプラインジョブの作成手順
6.1 ジョブ作成画面の概要
Jenkins のトップページ左側メニューから 「New Item」 を選択し、以下の流れで設定します。
- 名前入力:任意のジョブ名(例:
sample-pipeline) - タイプ選択:Pipeline をチェック → OK
6.2 SCM 設定と Jenkinsfile の参照
ジョブ設定画面で 「Pipeline」 セクションを開き、次の項目を入力します。
- Definition:
Pipeline script from SCM - SCM:
Gitを選択 - Repository URL:リポジトリの SSH または HTTPS アドレス(例:
git@github.com:org/repo.git) - Credentials:後述する「SSH キー」または「PAT」の Credential を選択
ポイント:Git のブランチ指定は
*/mainなどの Branch Specifier に記入し、必要に応じて Additional Behaviours → Clean before checkout を有効化するとビルド毎にクリーンな作業ディレクトリが保証されます。
7. SCM 認証情報(Credentials)の詳細設定
7.1 SSH キーを用いた安全な接続
手順概要
- 鍵ペアの生成
bash
ssh-keygen -t ed25519 -C "jenkins@example.com" -f ~/.ssh/jenkins_ed25519 - パーミッション設定(必須)
bash
chmod 600 ~/.ssh/jenkins_ed25519 - 公開鍵の登録:GitHub/GitLab の「SSH and GPG keys」ページに
id_ed25519.pubを貼り付け。 - Jenkins に秘密鍵を保存
- 「Credentials」→「System」→「Global credentials (unrestricted)」で Add Credentials をクリック
- Kind:
SSH Username with private key - Username:
git(Git のデフォルトユーザー) - Private Key:
Enter directlyに秘密鍵内容を貼り付け、ID と Description を設定
スコープの選択肢
- Global:全ジョブで共通利用。最もシンプルだが、不要なジョブまでアクセス可能になるリスクあり。
- Folder:特定フォルダー配下のジョブだけに限定でき、権限管理が細かくなる。
7.2 HTTPS + Personal Access Token(PAT)の利用例
- GitHub の Settings → Developer settings → Personal access tokens で
repo権限付きトークンを作成。 - Jenkins に Username with password タイプの Credential を追加し、ユーザー名は GitHub アカウント、パスワード欄にトークンを貼り付ける。
重要ポイント:PAT は有効期限が設定できるので、定期的にローテーションする運用ポリシーを策定してください。
8. 宣言型 Jenkinsfile の書き方と VSCode 環境構築
8.1 基本構文サンプル
以下は Build → Test → Deploy を実装した最小構成の例です。environment ブロックで変数を一元管理し、when { branch 'main' } によってデプロイ対象ブランチを限定しています。
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pipeline { agent any environment { APP_NAME = 'my-app' DOCKER_REGISTRY = credentials('docker-registry-id') // Credential の参照例 } stages { stage('Build') { steps { echo "Building ${env.APP_NAME}" sh './gradlew clean assemble' } } stage('Test') { steps { echo 'Running unit tests' sh './gradlew test' } } stage('Deploy') { when { branch 'main' } steps { echo "Deploying ${env.APP_NAME} to production" sh "./deploy.sh ${env.APP_NAME}" } } } post { always { archiveArtifacts artifacts: '**/build/libs/*.jar', fingerprint: true } failure { mail to: 'dev-team@example.com', subject: "Build failed: ${env.JOB_NAME}", body: "See ${env.BUILD_URL}" } } } |
8.2 VSCode 用プラグインと設定手順
- 拡張機能のインストール
- Marketplace で「Jenkins Pipeline Linter Connector」を検索し、インストール。
- ローカル Jenkins の URL 設定(
settings.jsonまたは UI)
json
"jenkins.pipeline.linter.url": "http://localhost:8080" - 認証情報の登録:Jenkins が Basic 認証を要求する場合、
settings.jsonにuserとapiTokenを記載(API Token はユーザー設定から取得)。 - ファイル拡張子とシンタックスハイライト:
.jenkinsfileまたはJenkinsfileを開くと自動で Groovy ハイライトが適用され、保存時にリント結果がステータスバーに表示されます。
ベストプラクティス:CI での lint 実行を忘れないよう、
stage('Lint')にpipeline-linter-cliを組み込むと安全です。
9. トラブルシューティングとベストプラクティス
9.1 よくあるエラーと対処法
| エラーメッセージ | 原因例 | 推奨解決策 |
|---|---|---|
org.jenkinsci.plugins.workflow.steps.MissingContextVariableException |
agent any が利用できないノードで実行 |
少なくとも 1 台のエージェント(built-in)が オンライン か確認 |
Failed to fetch origin (Git) |
Credential 不一致、SSH キー権限不足 | SSH 接続テスト (ssh -T git@github.com) と Jenkins の Credential を再確認 |
ClassNotFoundException: org.jenkinsci.plugins.workflow.cps.CpsScript |
プラグインバージョン不整合 | Manage Plugins → Updates で全プラグインを最新にし、必要なら Restart Jenkins |
Permission denied (publickey) |
秘密鍵ファイルのパーミッションが緩い | chmod 600 ~/.ssh/jenkins_ed25519 を実行し、所有者が jenkins ユーザーであることを確認 |
9.2 運用上のベストプラクティス
- Credential の最小権限化:SSH キーはリードオンリーに限定し、PAT は必要なスコープだけ付与。
- ジョブの粒度分割:大規模ビルドはマイクロパイプラインへ切り出し、共通処理は [Shared Library] で管理。
- 定期的なプラグイン監査:毎月第1週に Manage Plugins → Updates を確認し、ステージング環境で互換性テストを実施。
- ログの永続化:
/var/log/jenkinsと Jenkins のビルトインローテーション設定を合わせ、少なくとも 30 日分は保持。 - バックアップ戦略:Jenkins ホーム (
/var/lib/jenkins) とcredentials.xmlを日次スナップショットで保存し、復元手順をドキュメント化。
10. まとめ
- Java 17(または 11/21)と Jenkins LTS 2.462 系列 が現在の推奨構成です。
- Ubuntu のインストールは
signed-byオプションを使った APT リポジトリ設定で、Windows は公式 MSI を利用します。 - 必須プラグイン(Pipeline・Blue Ocean・Git・Credentials)は 最新バージョン に保ち、互換性問題を防ぐために一括更新とステージングテストを実施してください。
- ジョブ作成は New Item → Pipeline の流れで開始し、SCM 設定時には SSH 鍵のパーミッションや Credential スコープを正しく設定します。
- 宣言型 Jenkinsfile は
pipeline { … }で記述し、VSCode の公式拡張でリアルタイムリントと補完を活用するとミスが減ります。 - トラブルは プラグインバージョン不整合 と 認証情報の誤設定 が多いため、エラーログと Credential の権限・パーミッションを最優先で確認してください。
- 上記ベストプラクティス(最小権限、ジョブ分割、定期的なアップデート、バックアップ)を守ることで、Jenkins 環境の安定稼働と継続的改善が実現します。
この手順に沿って環境構築すれば、CI/CD 未経験者でも 安全かつスピーディに Jenkins パイプライン を本番レベルで運用できるようになります。 Happy CI/CD!