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1. Blender の設定フォルダと重要ファイルの基礎知識
Blender は起動時にユーザーごとの config フォルダ を参照し、ここに保存された startup.blend と userpref.blend がデフォルトシーンや UI 設定を保持します。これらの場所と役割を正しく把握しておくことが、設定引き継ぎの第一歩です。
1‑1. Windows の config フォルダ位置
Windows では以下のパスに config が作成されます(<バージョン> はインストールした Blender のメジャーバージョン)。
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%APPDATA%\Blender Foundation\Blender\<バージョン>\config 例) C:\Users\YourName\AppData\Roaming\Blender Foundation\Blender\3.6\config |
1‑2. macOS の config フォルダ位置
macOS の場合はユーザーディレクトリ下の Library に格納されます。
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~/Library/Application Support/Blender/<バージョン>/config 例) /Users/YourName/Library/Application Support/Blender/4.5/config |
1‑3. Linux の config フォルダ位置
Linux 系 OS では XDG 標準に従い、ホームディレクトリ配下の .config に保存されます。
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~/.config/blender/<バージョン>/config 例) /home/yourname/.config/blender/3.6/config |
1‑4. startup.blend と userpref.blend の役割
- startup.blend
- 新規シーンを作成したときに自動的に読み込まれるテンプレートです。レイアウト、レンダリング設定、デフォルトオブジェクトなどが保存されています。
- userpref.blend
- UI のテーマ・ショートカット・入力設定など、ユーザー固有の環境情報を保持します。
これらを旧バージョンから新バージョンへコピーすれば、ほぼ同一の作業環境が再現できます。
2. 安全なバックアップと事前準備
設定を書き換える前に 現在の config フォルダ全体を確実にバックアップ しておくことは必須です。万が一インポートに失敗した場合でも、元の状態へ復元できるようにします。
2‑1. ZIP 圧縮でのバックアップ手順
- 対象 OS のファイルマネージャで config フォルダを右クリック。
- 「送る」→「圧縮 (ZIP) フォルダー」を選択(またはターミナルで
zip -r backup_config.zip <path>を実行)。 - 作成した ZIP ファイルを外付けディスク、USB メモリ、もしくは信頼できるクラウドストレージに保存。
ポイント:バックアップは少なくとも 2 箇所に保管し、物理的な障害や同期エラーに備えてください。
2‑2. バージョン管理としての Git とクラウド同期
- Git を利用した履歴管理
-
configフォルダをローカルリポジトリ化し、変更ごとにコミットすれば過去の状態へ容易に戻せます。例:bash
cd <config_folder>
git init
git add .
git commit -m "Backup before 4.5 upgrade" -
クラウド同期サービス
- Dropbox、OneDrive、Google Drive のいずれかに
config_backup/を作成し、フォルダを自動同期させます。複数マシンで同一設定を共有できるほか、変更があった際に即座にバックアップが取られる利点があります。
※ 公式 Blender マニュアル(Blender Manual – Preferences)でも、設定ファイルの手動コピーを推奨しています。
3. 新バージョンへの設定インポート実践手順
新しい Blender をインストールしたら、まず空の config フォルダが自動生成されることを確認します。その上で 手動コピー と 公式インストーラ内蔵インポート機能 のいずれかを選択してください。
3‑1. 手動コピーによる移行
- 新バージョン(例: 4.5)をインストールし、一度起動して空の
configが作成されたことを確認。 - バックアップした ZIP を解凍し、
startup.blendとuserpref.blendを新しいconfigフォルダへ上書きコピー。 - 必要に応じて
scripts/addons/ディレクトリ全体も同様にコピーし、アドオンを復元する。
メリット:不要な旧設定を除外できるため、クリーンな環境構築が可能です。
3‑2. インストーラー内蔵インポート機能の利用方法
Blender 4.0 系以降の公式インストーラには 「設定とアドオンをインポートする」 オプションが追加されています(公式リリースノート参照)。手順は以下の通りです。
- インストーラー起動時に画面下部の “Import Settings and Add‑ons” にチェックを入れる。
- 「参照」ボタンで旧バージョンの
configフォルダ(例:C:\Users\...\Blender Foundation\Blender\3.6\config)を指定。 - インストールが完了すると、起動時に自動的に設定とアドオンがインポートされます。
注意点:メジャーバージョン差が大きい場合は、一部アドオンの互換性チェックが別途必要です。
4. アドオンの移行とメジャーバージョン差への対応策
Blender の API がバージョンごとに変更されるため、アドオンが動作しなくなるリスク を事前に把握しておくことが重要です。
4‑1. 非対応リスクの確認方法
- Blender の公式リリースノートや各アドオンの GitHub リポジトリの Releases ページで、対象バージョンへの対応状況を確認。
- 特に Python API が大幅に変更された 4.0 系以降は、
bpy.typesやbpy.propsの呼び出し方法が変わっていることが多いです。
4‑2. 最新版取得・代替アドオンの検証手順
- アドオン名で公式 Blender Market または GitHub を検索し、2026 年時点の最新版 をダウンロード。
Edit → Preferences → Add‑onsからインストールし、有効化した直後に System Console(Window → Toggle System Console)を開いてエラーメッセージが出ていないか確認。- エラーが出た場合は、作者が提供する migration guide を参照し、コードの API 呼び出し部分を書き換える。
- 同等機能を持つ代替アドオン(例:
Node Wranglerの代わりに公式ビルトインノードツール)を検討し、プロジェクトへの影響度を評価する。
5. 移行後の検証・トラブルシューティングとプロファイル運用
設定やアドオンが正しく移行できたかは、チェックリストに沿って確認 すると安心です。また、プロジェクトごとに環境を切り替える方法も併せて紹介します。
5‑1. 設定・アドオン動作確認チェックリスト
| 項目 | 確認手順 | 合格基準 |
|---|---|---|
| プリファレンス | Edit → Preferences を開き、テーマ・ショートカットが旧バージョンと同一か確認 |
設定が一致している |
| アドオン有効化 | アドオン一覧で「Enabled」マークをチェック | 必要なアドオンがすべて有効 |
| シーンロードテスト | 旧バージョンで作成した .blend ファイルを開く |
エラーなし、レンダリング結果が同等 |
| コンソールエラーチェック | Window → Toggle System Console を表示し起動ログを見る |
「Error」行が出ていない |
5‑2. キャッシュクリアやユーザーディレクトリ再作成による対処法
- キャッシュ削除:
<config_folder>/cache(Windows の場合は.../cache)を手動で削除すると、古いデータが残っているときに有効です。 - ディレクトリ再作成:設定が反映されない場合、一度
configフォルダの名前を変更(例:config_old)し、Blender を起動して新規生成させます。その後、バックアップから必要なファイルだけを戻す「クリーンインポート」手順が安全です。
5‑3. カスタム config ディレクトリとポータブル版の活用例
- 作業別にフォルダを作成(例:
D:\BlenderProfiles\Work、D:\BlenderProfiles\Study)。 - Blender のショートカットプロパティに以下のオプションを付加。
blender.exe --config-directory "D:\BlenderProfiles\Work"
- 公式サイトから配布されている ZIP 版(ポータブル版) を任意の場所に展開し、同フォルダ内に
configディレクトリを配置すれば、インストール不要でプロファイル切替が可能です。
この手法はクライアントごとに設定を分離できるため、誤操作や環境汚染のリスクを大幅に低減します。
6. まとめ
- 設定フォルダ位置(OS 別)と
startup.blend/userpref.blendの役割を把握すれば、移行作業はシンプルになる。 - バックアップは必ず ZIP 圧縮か Git/クラウド同期で取得し、複数箇所に保管しておくことが安全策の基本です。
- 新バージョンへのインポートは 手動コピー と 公式インストーラのインポート機能 のどちらでも対応可能だが、後者はミスが少なくおすすめです(ただしメジャーバージョン差には注意)。
- アドオンは 公式リリースノートや GitHub で互換性を確認し、必要に応じて最新版取得・代替アドオンのテストを行う。
- 移行後は チェックリスト に沿って設定とアドオンを検証し、問題があればキャッシュ削除や config 再生成で対処します。
- 複数プロジェクトやチーム環境では カスタム config ディレクトリ や ポータブル版 を活用すると、設定の切替が簡単になります。
これらの手順を踏めば、Blender のバージョンアップ時に「設定が消えた」「アドオンが動かない」といったトラブルを未然に防ぎ、スムーズに作業環境を引き継げます。是非本ガイドを参考に、次回のアップデートへ備えてください。