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Steam Deck のファームウェアと UEFI 設定の概要
Steam Deck は Valve が提供する最新ファームウェアに UEFI (BIOS) が組み込まれ、起動モードや Secure Boot の有無をユーザーが直接変更できます。これらの設定はカスタム OS を導入する際の「最初のハードル」となるため、正確に把握しておくことが安全かつスムーズなインストールにつながります。本セクションでは UEFI へのアクセス手順と、現在のデフォルト状態について公式情報をもとに整理します。
UEFI へのアクセス手順
Steam Deck の電源ボタンと 音量+ ボタン を同時に長押しすると、UEFI 設定画面が表示されます。ここで確認すべき主な項目は次の通りです。
- 起動モード:
UEFIが選択されていることを確認 - Secure Boot の状態:Valve の公式ファームウェア情報(2024‑12 版)によると、デフォルトは 無効 (Disabled) です。開発者モードで有効化できる点に注意してください
- ファームウェアバージョン:画面上部に表示され、最新バージョンは Valve のリリースノート(公式ページ)で確認できます
設定を変更した場合は必ず「保存して終了」し、再起動後に反映されているか確かめましょう。
Deck Recovery Utility によるフルバックアップ
カスタム OS のインストール前にシステム全体のイメージを取得すれば、万が一のトラブルでも数クリックで元の SteamOS に復帰できます。ここでは公式ツールの利用手順と、バックアップ容量の目安について根拠を示しながら説明します。
フルバックアップの実施手順
- Deck Recovery Utility を Valve のサポートページ(Steam Support)からダウンロードし、PC にインストール
- USB スティックまたは外付け SSD を NTFS でフォーマットし、PC に接続
- ユーティリティを起動し Create Backup Image を選択
- 「バックアップ対象」で Full System を指定し Next → 保存先に外部ドライブを選択 → Start Backup
バックアップ容量の根拠と推奨サイズ
Steam Deck の内部ストレージは 64 GB、256 GB、512 GB とモデルが分かれますが、フルバックアップに含まれるのは以下の領域です。
| 項目 | 容量の目安 |
|---|---|
| OS パーティション (SteamOS) | 約 15 GB |
| ユーザーデータ(ゲーム・設定) | 使用状況に応じて変動 |
| リカバリ領域 & EFI パーティション | 約 1 GB |
実際のバックアップサイズは 使用中の容量 + 10 % 程度のオーバーヘッド が一般的です。したがって、64 GB モデルでも 30 GB 前後、256 GB/512 GB モデルでは 70 GB〜120 GB 程度になることがあります。安全側に倒すなら、内部ストレージ容量の 1.5 倍以上 の空きがある外部ドライブを用意すると安心です。
バックアップ保存先の注意点
- 高速 SSD(USB 3.2 以降) を推奨:書き込み速度が速く、バックアップ完了までの時間が大幅に短縮されます
- ファイル名は日付を含めて管理例:
DeckBackup_20260529.img - 復元時も同ツールの Restore Backup Image を選択し、指示通りに進めるだけで完了します
公式ページに復元手順が詳しく掲載されているので、事前に目を通しておきましょう。
開発者モードと Secure Boot の取り扱い
開発者モードを有効化すると USB 起動やカスタムブートローダーのインストールが可能になります。一方で Secure Boot は署名済みブートローダー以外では起動が阻止されるため、導入する OS に合わせて設定を調整します。
開発者モード有効化手順
- SteamOS の 設定 → システム → 開発者モード を選択
- スイッチを ON にし、再起動のダイアログが表示されたら同意
有効化後は Developer Options が UEFI 画面に現れ、USB 起動やカーネルパラメータ変更が可能になります。
Secure Boot のデフォルトと無効化手順
- デフォルト状態:Valve の公式ファームウェアリリースノート(2024‑12)では「Secure Boot は出荷時に無効 (Disabled)」と明記されています
- 無効化の方法:UEFI 画面で
Secure Boot → Disabledに設定し、保存して再起動
Secure Boot を維持したい場合
署名済みブートローダー(例: rEFInd の公式署名版)を使用すれば Secure Boot をオンにしたままでもカスタム OS が起動できます。ただし、署名の更新が必要になるケースもあるため、定期的に Valve と rEFInd のリリース情報をチェックしてください。
カスタム OS インストール前の準備:ブートメディア作成
OS イメージ取得から USB 作成、起動までの手順をまとめます。特に Windows 11 (ARM) 用イメージは通常の x86/64 ISO とは異なる点があるため、適切なツール選択が重要です。
OS イメージの取得とハッシュ検証
| OS | ダウンロード元 | ハッシュ検証例 |
|---|---|---|
| Arch Linux | https://archlinux.org/download/ | sha256sum archlinux-*.iso |
| Ubuntu 22.04 LTS | https://releases.ubuntu.com/22.04/ | sha256sum ubuntu-*-desktop-amd64.iso |
| Windows 11 (ARM) | Microsoft の公式サイト(Windows Insider Program) | PowerShell: Get-FileHash -Algorithm SHA256 .\Win11_Arm64.iso |
取得した ISO は必ず公式が提示する SHA‑256 ハッシュと照合し、改ざんや破損がないことを確認してください。
Windows 11 (ARM) 用ブート USB 作成の推奨ツール
- Rufus(バージョン 4.3 以降)は ARM イメージにも対応していますが、
Partition scheme: GPT,Target system: UEFI (non‑CSM)を選択し、Create a bootable disk using ISO Imageのみを有効にしてください。 - WOA USB‑Creator(Microsoft が提供)は Windows 11 ARM 用に特化した公式ツールで、イメージの書き込みと必要なパーティション構成を自動的に行います。Windows PC が利用できない場合は、Linux 上で
woa-creatorスクリプト(GitHub:woa-creator/woa-creator)も選択肢となります。
macOS / Linux 環境での汎用ブート USB 作成
| ツール | 主な特徴 |
|---|---|
| balenaEtcher | GUI がシンプルで初心者向け、クロスプラットフォーム対応 |
| dd(Linux) | コマンドラインのみで柔軟に書き込みが可能。例: sudo dd if=archlinux.iso of=/dev/sdX bs=4M status=progress && sync |
いずれの場合も パーティションスキームは GPT、ターゲットは UEFI に統一してください。
rEFInd ブートローダーの公式インストール手順
マルチブート環境を構築したい場合は、Valve の公式ドキュメントと rEFInd プロジェクトのサイトを併せて参照することが安全です。外部ブログに依存しない手順を以下に示します。
参考情報
- rEFInd 公式サイト: https://www.rodsbooks.com/refind/
- Valve の開発者向けガイド(UEFI カスタマイズ): https://support.steamdeck.com/developer
インストール手順(Linux 環境)
- rEFInd パッケージの取得
bash
wget https://downloads.sourceforge.net/project/refind/0.14.0/refind-bin-0.14.0.zip
unzip refind-bin-0.14.0.zip
cd refind-bin-0.14.0 - EFI システムパーティションへコピー(管理者権限が必要)
bash
sudo mkdir -p /boot/efi/EFI/refind
sudo cp -r refind/* /boot/efi/EFI/refind/ - ブートエントリの登録(
efibootmgrがインストールされている前提)
bash
sudo efibootmgr -c -d /dev/mmcblk0 -p 1 -L "rEFInd" -l \\EFI\\refind\\refind_x64.efi - 設定ファイルの調整(
/boot/efi/EFI/refind/refind.conf) - カスタム OS のエントリを追加する例:
conf
menuentry "Arch Linux" {
loader \EFI\arch\vmlinuz-linux
initrd \EFI\arch\initramfs-linux.img
options "root=PARTUUID=xxxxxxxx-xxxx-xxxx-xxxx-xxxxxxxxxxxx rw"
} - UEFI 再起動し、
Boot ManagerからrEFIndが表示されれば完了です。
公式スクリプト(install_refind.sh)も提供されていますが、手順を自分で確認することで不測の事態に備えることができます。
カスタム OS のインストールとデバイス固有設定
OS を実際に導入した後は、EFI パーティションや swap のサイズ設定、そして Steam Deck 用ドライバーの導入が必要です。以下では代表的なディストリビューション(Arch Linux と Ubuntu)を例に、推奨パーティション構成とインストールコマンドを示します。
推奨パーティション構成
| パーティション | サイズ目安 | ファイルシステム | マウントポイント |
|---|---|---|---|
| EFI System Partition (ESP) | 200 MB | FAT32 | /boot/efi |
| Root (/) | 残り全容量の約 90% | ext4 または btrfs | / |
| Swap | RAM が 16 GB 以下の場合 2 GB、もしくはスワップファイルで代用可 | - | - |
Arch Linux のインストール例
|
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 |
# パーティション作成(cgdisk 等を使用) sudo cgdisk /dev/mmcblk0 # ファイルシステム作成 mkfs.fat -F32 /dev/mmcblk0p1 # ESP mkfs.ext4 /dev/mmcblk0p2 # Root # マウント mount /dev/mmcblk0p2 /mnt mkdir -p /mnt/boot/efi mount /dev/mmcblk0p1 /mnt/boot/efi # ベースシステムインストール pacstrap /mnt base linux linux-firmware vim nano # fstab 生成 genfstab -U /mnt >> /mnt/etc/fstab # chroot へ移行 arch-chroot /mnt |
Deck 固有ドライバーの追加
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1 2 3 4 5 |
pacman -S amd-ucode mesa vulkan-radeon \ bluez-utils networkmanager \ xorg-server xf86-input-libinput systemctl enable NetworkManager |
Ubuntu のインストール例(Ubiquity GUI 使用)
- USB から起動し、
Install Ubuntuを選択 - 「ディスクの使用方法」で 「他の場所に手動でパーティション設定」 を選び、上記と同様のサイズで ESP と
/パーティションを作成 - インストール完了後、端末で追加ドライバーをインストール
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sudo apt update sudo apt install linux-firmware amd64-microcode \ mesa-vulkan-drivers bluez network-manager |
Steam クライアントと Proton の導入
- Arch:
sudo pacman -S steam - Ubuntu:
snap install steam --classicまたは公式.debパッケージを使用
Steam 設定 → Steam Play → Enable Proton をオンにすれば、ほとんどの Windows ゲームがプレイ可能です。
トラブル時のリカバリー手順
万が一 OS が起動しない、またはブートローダーが破損した場合でも、公式ツールとバックアップがあれば迅速に復旧できます。
- Deck Recovery Utility を再度起動し、
Restore Backup Image→ バックアップファイルを選択 → 復元開始 - 復元が成功しない場合は、Valve が提供する リカバリーイメージ(.img) をダウンロードし、同ユーティリティの
Flash Recovery Imageでクリーンインストール
公式サポートページに手順が詳述されているので、実行前に必ず確認してください。
- リカバリーイメージ取得: https://help.steampowered.com/ja/faqs/view/65B4-2AA3-5F37-4227
まとめ
Steam Deck のカスタム OS 化は、以下の流れを踏めば安全に行えます。
- UEFI にアクセスし、Secure Boot が無効であることを確認(デフォルトは Disabled)
- Deck Recovery Utility でフルバックアップを取得し、容量は内部ストレージの約 1.5 倍以上の空きが必要
- 開発者モードを有効化し、必要に応じて Secure Boot を無効化または署名ブートローダーで維持
- 公式イメージとハッシュ検証を行い、Windows 11 (ARM) の場合は Rufus(最新版)か WOA‑USB‑Creator を使用して USB を作成
- rEFInd を公式手順でインストールし、マルチブート環境を構築
- OS をインストール後、Deck 用ドライバーと Steam クライアント・Proton を導入
万が一の際は、取得したバックアップイメージまたは Valve のリカバリーイメージで即座に元の状態へ復帰できます。公式ツールと正確な情報を活用し、安心してデバイスの可能性を広げてください。