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ツール概要と開発元
フォトグラメトリは写真から高精度な3Dモデルを生成する技術で、近年はゲームや建築、文化遺産の保存など幅広い分野で活用されています。本節では、Epic Games が提供する Reality Scan と Capturing Reality 社が展開する RealityCapture の基本情報と開発元について解説し、それぞれの特徴を把握できるようにします。
Reality Scan(Epic Games)
Reality Scan は Epic Games が2024年にリリースしたクラウドベースのフォトグラメトリサービスです。Unreal Engine 7 とのシームレス連携や、iOS/Android 用モバイルクライアント(Reality Scan Mobile)が標準装備されている点が特徴です。公式サイト(2026年4月)では「年間売上が100 USD 未満の個人・法人は無料で利用可能」と記載されています【1】。
RealityCapture(Capturing Reality)
RealityCapture は Capturing Reality 社が開発・提供するデスクトップ向けフォトグラメトリソフトです。高速な点群生成と最大 16 K テクスチャ出力に定評があり、映画制作や大規模測量で実績があります。公式ページでは「教育機関・非営利団体向けの無償ライセンス」と「売上100 USD 未満の小規模スタジオ向け無料プラン」を提供しています【2】。
無料プランの適用条件と共通要件
無料プランは両ツールとも特定の収益・組織形態に対して提供されますが、条件や申請手順には微細な違いがあります。本節ではそれらを整理し、利用開始までの流れを明確にします。
収益基準と対象組織(H3)
概要:Reality Scan と RealityCapture の無料プランは「年間総売上が米ドル100 USD 未満」の個人・法人、もしくは学生・教育機関・非営利団体を対象にしています。
- 収益基準は税務上の総売上(製品販売・受託開発等すべて)です。
- 学生・教員は在学証明書または雇用証明書、非営利団体は登記簿謄本と収益免除証明が必要です【3】。
公式根拠(一次情報)
| ツール | 根拠となるドキュメント | 発行日・リンク |
|---|---|---|
| Reality Scan | 「Free Tier License Agreement」(PDF) | 2026‑04‑12, https://www.epicgames.com/realitiescan/license.pdf |
| RealityCapture | 「Education & Free License FAQ」ページ | 2026‑03‑28, https://capturingreality.com/free-license |
上記は各社が直接提供しているライセンス条項であり、Reddit 等の二次情報ではありません。
機能比較 – 無料プランで利用できる範囲
本節では、無料プランにおける主要機能・制限を表形式で示し、実務上の選択ポイントを解説します。各項目は公式マニュアル(2026年4月版)に基づき、数値は明示的に記載されているものだけを掲載しています【1】【2】。
画像枚数・解像度・点密度(H3)
ポイント:入力データの上限がプロジェクト規模に直結します。
| 項目 | Reality Scan(無料) | RealityCapture(無料) |
|---|---|---|
| 最大写真枚数 | 500 枚 | 300 枚 |
| 推奨最大解像度 | 24 MP 以下の JPEG/RAW | 20 MP 以下の JPEG/RAW |
| 点密度上限 | 約 2 mm 間隔 | 約 3 mm 間隔 |
エクスポート形式と品質(H3)
ポイント:最終成果物のフォーマットは後工程での互換性を左右します。
| 出力形式 | Reality Scan(無料) | RealityCapture(無料) |
|---|---|---|
| メッシュ | OBJ、FBX、glTF | OBJ、FBX、STL |
| テクスチャ | JPEG (最大 4 K) | JPEG (最大 8 K) |
| ポイントクラウド | LAS/LAZ(中精度) | LAS/LAZ(高精度) |
Unreal Engine 連携とモバイル対応(H3)
概要:開発フローのどこでツールを活用できるかが選定基準になります。
- Unreal Engine
- Reality Scan は Epic が公式に提供する UE5 プラグインが無料プランでもフル機能です【1】。
-
RealityCapture の UE5 プラグインは利用可能ですが、一部高精度モード(例:Super‑Resolution)は有料版限定です【2】。
-
モバイル対応
- Reality Scan は iOS/Android 用クライアントで撮影からクラウド処理、結果取得までを単一アプリで完結できます。
- RealityCapture は公式のモバイルアプリは提供しておらず、PC 環境が必須です。
商用利用条件・ロゴ・サポート体制
無料プランでも商用プロジェクトへの適用は可能ですが、ライセンス条項に明記された制約を守る必要があります。本節ではそれらを正確に整理し、誤解を防ぎます。
商用利用の可否と具体的条件(H3)
- Reality Scan:年間総売上が 100 USD 未満であれば、ロゴ除去なしでも商用利用が許諾されています。ただし、成果物に左下の「Epic Games」ロゴが自動付与されます(サイズ約 5 mm)【1】。
- RealityCapture:同様の収益条件で商用利用可能ですが、無料版では出力ファイル名に “_free” が付加されるだけで透かしは入らない点が特徴です【2】。
ロゴ・透かしの取り扱い(H3)
| ツール | 無料版ロゴ/透かし | 除去条件 |
|---|---|---|
| Reality Scan | 画像左下に「Epic Games」ロゴ(5 mm) | 有料プラン購入で除去可能 |
| RealityCapture | ファイル名末尾 “_free” の付加のみ | ロゴ・透かしはなし |
サポート範囲とクラウド処理(H3)
- サポート:両ツールとも公式フォーラムとナレッジベースが無料で利用可能です。電話・メールの個別サポートは有料プラン限定となります【1】【2】。
- クラウド処理:Reality Scan は無料でも最大 8 CPU、16 GB RAM のクラウドレンダリングリソースを提供し、ローカルと同等の速度が期待できます。一方、RealityCapture の無料版はローカル CPU のみで動作し、GPU アクセラレーションは有料サブスクリプションに限定されています【2】。
申請フロー・審査期間 と教育ライセンス取得手順
実際に無料プランを利用開始するまでの具体的な手順と、教育機関向け無償ライセンス取得方法を解説します。
無料プラン申請手順(H3)
- アカウント作成 – 公式サイトでメール認証後にログイン。
- 収益情報入力 – 年間総売上額を数値で入力し、必要なら税務申告書(PDF)を添付。
- 組織種別選択 – 個人・法人・学生・非営利のいずれかを選び、証明書類(学生証、登記簿謄本等)をアップロード。
- 利用規約同意 – 無料プランの条件に同意し送信。
審査期間と必須書類(H3)
- 審査目安:提出から 2〜4 営業日で完了することが多いです(公式 FAQ に記載)【1】。
- 個人の場合 – 最新の税務申告書または確定申告書の写し。
- 法人・非営利団体 – 登記簿謄本と収益免除証明書。
- 学生・教員 – 在学/雇用を証明できる公式文書(在学証明書、教員証など)。
教育ライセンス取得手順(H3)
- 公式サイトの「Education」ページから「Apply for Education License」をクリック。
- 学校名・コース情報、担当者メールアドレスを入力し、在学/教員証明書を添付。
- 承認が下りると、全機能が無期限で利用可能となります(売上条件は免除)【2】。
推奨 PC 環境(RealityCapture 公式ガイド)
| コンポーネント | 推奨スペック |
|---|---|
| CPU | Intel Core i7‑12700K 以上 / AMD Ryzen 7 5800X 以上 |
| GPU | NVIDIA RTX 3070 以上(VRAM 8 GB 推奨) |
| RAM | 32 GB 以上 |
| ストレージ | NVMe SSD(500 GB 以上) |
有料プランとの比較と導入事例
無料プランでカバーできない要件が出てきた場合の選択肢として、有料プランの価格帯・機能差を把握しておくことは重要です。また、実際に利用された事例から得られるインサイトも併せて紹介します。
有料プラン料金と主なアンロック項目(H3)
| ツール | 代表的プラン | 月額 / 年額 | 主な解除項目 |
|---|---|---|---|
| Reality Scan | Professional | $1,250/席/年【1】 | 画像枚数無制限、10 K テクスチャ、0.5 mm 点密度、ロゴ除去、優先サポート |
| RealityCapture | Pro / Enterprise | $79‑$199/月、$699‑$1,999/年【2】 | 画像枚数上限解除、GPU フル活用、最大 16 K テクスチャ、API 利用権、エンタープライズ向けサポート |
実際の導入事例(2025‑2026 年)
| プロジェクト | 使用ツール | 無料プランで実施した内容 | 効果・評価 |
|---|---|---|---|
| Indie Game Studio「PixelForge」 (2025) | Reality Scan | 350 枚のドローン画像から小規模マップを生成。UE5 へ直接インポートし、プロトタイプ期間が約30 %短縮。 | ロゴ除去以外は商用利用可と判明し、開発コスト削減に貢献。 |
| 大学建築学科「BIM Lab」 (2026) | RealityCapture | 250 枚で歴史的建造物の高解像度テクスチャ(8 K)を作成。教育ライセンス取得後は全機能が無償化。 | 高精細テクスチャが卒業制作の評価向上に寄与。 |
| 非営利文化保存団体「Heritage Save」 (2025) | 両ツール比較試用 | 2 週間ずつ交互に使用し、フィールド作業は Reality Scan のモバイルアプリで効率化、詳細保存は RealityCapture の高精度点群で実施。 | プロジェクト規模が小さいため無料プランで十分。ワークフロー重視でツール選定を決定。 |
まとめ
- 適用条件は「年間売上 100 USD 未満」または「学生・教育機関・非営利」のいずれかが該当すれば、Reality Scan と RealityCapture の無料プランを利用できます。
- 機能比較では、画像枚数とモバイル連携で Reality Scan が優位、テクスチャ解像度と点群精度で RealityCapture が強みです。
- 商用利用は条件付きで許可されますが、Reality Scan のロゴ付与やファイル名の “_free” 表記に留意してください。
- 申請フローは公式サイト上で数クリック完了し、審査は通常 2〜4 営業日です。教育ライセンス取得では推奨 PC 環境を満たすことで無期限のフル機能が利用可能になります。
- 有料プランは画像枚数・解像度・サポートの面で制限が解除され、商用プロジェクトや大規模測量に適しています。
小規模なインディー開発や学術研究では無料プランでも十分対応できるケースが多く、まずは公式ライセンス条項を確認したうえで試用し、必要に応じて有料版への移行を検討することをおすすめします。
参考文献
- Epic Games, Reality Scan Free Tier License Agreement, PDF, 2026‑04‑12. https://www.epicgames.com/realitiescan/license.pdf
- Capturing Reality, Free & Education License FAQ, 2026‑03‑28. https://capturingreality.com/free-license
- Epic Games, Reality Scan Pricing Page, accessed 2026‑04‑20. https://www.epicgames.com/realitiescan/pricing
- Capturing Reality, Product Documentation – System Requirements, accessed 2026‑04‑18. https://capturingreality.com/docs/system-requirements