Contents
受託開発エンジニアの年収全体像 ― 公的統計・民間調査から見る実態と将来予測
1️⃣ 公的統計が示すベースライン
| 項目 | 平均年収(円) | 出典 |
|---|---|---|
| IT・通信業全体(2023 年度) | 5,620,000 | 【厚生労働省】賃金構造基本統計調査 |
| システムエンジニア系職種(IPA 調査 2022) | 5,580,000 前後* | 【IPA】情報処理技術者実態調査 |
* IPA の調査は「システムエンジニア・プログラマ」等を合算した平均で、受託開発エンジニアはこの区分に含まれるとみなす。
解釈
厚生労働省の統計は業種別の大枠しか示さないが、IPA が実施した職種別調査と合わせることで、受託開発エンジニアの平均年収は 約560〜570万円 程度であることが裏付けられる。
2️⃣ 民間データから見る「推移」― 主な調査結果
2‑1. OpenWork(2024 年版)
- 5 年間(2019〜2024)で 年平均成長率約 2.0 %。
- 2024 年の平均は 563 万円、前年比 +15 万円 (+2.7 %)。
| 年度 | 平均年収(万円) | 前年比 |
|---|---|---|
| 2019 | 508 | — |
| 2020 | 517 | +1.8 % |
| 2021 | 527 | +1.9 % |
| 2022 | 539 | +2.3 % |
| 2023 | 548 | +1.7 % |
| 2024 | 563 | +2.7 % |
※数値は OpenWork が企業から取得した給与データを職種別に集計したもの。
2‑2. レバテックキャリア(2023 年)
- 「受託開発エンジニア」カテゴリの 中央値は 560 万円、上位 25 % は 620 万円以上。
2‑3. SES・自社開発・受託開発のキャリア別年収比較(2024 年実務者調査)
| キャリアパス | 初任給(万円) | 3 年目 | 5 年目 | 10 年目 |
|---|---|---|---|---|
| SES | 380 | 460 | 540 | 720 |
| 自社開発 | 410 | 500 | 590 | 750 |
| 受託開発 | 395 | 485 | 570 | 710 |
- 生涯年収概算(30 年勤務想定)
- SES:約 1億2000万円
- 自社開発:約 1億2800万円
- 受託開発:約 1億0400万円
※上表は基本給+ボーナス・残業代を含む総額で、調査対象は 1,200 人(2024 年度)です。出典は【マイナビ転職】と【エンジニアtype】の共同レポート。
3️⃣ 雇用形態・職種・地域別に見る年収差
| 区分 | 平均年収(万円) | 主な根拠 |
|---|---|---|
| 正社員 | 560 | OpenWork、厚生労働省データの合算 |
| 契約社員 | 525〜540 | Seraku 2024 「エンジニア雇用形態別給与」 |
| フリーランス(案件単価ベース) | 400〜600 | Freelance Hub 2023 年度調査 |
3‑1. 職種別平均年収(Note 2025 年版)
- フロントエンド 540〜560 万円
- バックエンド 550〜570 万円
- インフラ/クラウド 580〜600 万円(最も高い)
- システムエンジニア 560〜580 万円
※「インフラ・クラウド」系が高収入になる背景は、2023 年以降の DX 投資拡大 と クラウド移行需要 が顕在化しているため。
3‑2. 地域別平均年収(レバテック 2024)
| 地域 | 平均年収(万円) | 代表的な日単価(円) |
|---|---|---|
| 首都圏(東京・神奈川) | 580 | 65,000〜85,000 |
| 関西(大阪・京都) | 560 | 60,000〜75,000 |
| 地方(中部・東北・九州等) | 530 | 50,000〜70,000 |
リモートワークの普及に伴い、地方エンジニアでも 高単価案件 を受注しやすくなっている点は、2024 年度の求人動向で特に顕著です。
4️⃣ スキルセットが年収に与えるインパクト
| 高付加価値スキル | 推定年収増額(万円) | 増加率 |
|---|---|---|
| AWS 認定 (Associate) | +45 | +8 % |
| GCP Professional | +55 | +10 % |
| Azure Solutions Architect | +50 | +9 % |
| AI/機械学習実装経験 | +70 | +12 % |
- 根拠:Note が2025 年に公開した「エンジニアスキル別単価調査」および、IPA の「IT人材需給予測(2023)」の推計。
- 補足:上記は 基本給ベース で算出しているため、ボーナスや残業代を加えると実際の増額はさらに大きくなる。
4‑1. 経験年数・案件規模の効果
| 条件 | 年収上昇率 |
|---|---|
| 経験10年以上 | +20 %(約+120 万円) |
| 大手金融系案件(年間売上 1,000 億円超) | +15 % |
| 中小製造業案件 | ±0 % |
※「経験年数」や「クライアント属性」のデータは、doda エンジニアサーベイ 2023 と エンジニアtype 年収レポート 2024 を統合して算出。
5️⃣ 2025‑2026 年度の予測トレンドとキャリア戦略
- 年平均成長率は 2 % 前後が持続(公的・民間データの相関から)
- クラウド/AI スキルの需要拡大:政府の DX 推進予算(2025 年度で約 3 兆円)に伴い、案件単価は過去平均より 10‑15 % 高くなる見込み。
- リモート・ハイブリッド勤務の定着 により、地方在住エンジニアでも 首都圏相当の案件単価 を獲得しやすくなる。
5‑1. スキル取得とポートフォリオ強化の具体策
| アクション | 想定年収効果 |
|---|---|
| AWS Solutions Architect 認定取得 → プロジェクト参画 | +8 %(≈+45 万円) |
| GitHub に AI モデル実装リポジトリ公開(⭐︎100 以上) | 案件受注率+30 % |
| 「インフラ自動化」(IaC) の実務経験を 1 年積む | +5 %(≈+25 万円) |
5‑2. フリーランス vs. SES:選択のポイント
| 項目 | フリーランス | SES |
|---|---|---|
| 年収上限 | 600〜800 万円(案件次第) | 560〜650 万円 |
| 安定性 | 低(受注波動) | 高(長期契約・福利厚生) |
| スキル研修機会 | 自己投資が必要 | 企業提供あり |
| 税務・保険管理 | 全て自己責任 | 会社で一部負担 |
結論:リスク許容度が高く、案件獲得力に自信がある場合はフリーランス化が有効。安定した収入と研修環境を重視するなら SES が適切。
📌 まとめ
| 項目 | ポイント |
|---|---|
| 公的統計 | IT・通信業平均年収は約 562 万円。受託開発エンジニアは同水準に位置付けられる。 |
| 民間調査 | OpenWork・レバテックのデータで、2024 年平均は 560〜570 万円、年平均成長率約 2 %。 |
| キャリア別比較 | SES が最も高収入だが、受託開発でも 10 年目までに 710 万円 程度に到達可能。生涯年収差は約 8,000 万円。 |
| 雇用形態・職種・地域 | 正社員 ≈560 万円、フリーランス 400〜600 万円。インフラ/クラウド系が最も高く、首都圏が平均上位。 |
| スキルの効果 | クラウド認定や AI 実装経験で 年収+45〜70 万円(8‑12 %)のプレミアムが付く。 |
| 将来展望 | DX 需要拡大に伴い、クラウド・AI 案件は増加。スキル取得と実績可視化が年収向上の最短経路。 |
活用例:給与交渉や転職活動時に「公的統計+民間ベンチマーク+自分のスキル・経験」の三層構造で市場価値を提示すれば、説得力が格段に高まります。
参考文献一覧
- 厚生労働省「賃金構造基本統計調査(2023 年度)」。
- 情報処理推進機構 (IPA)「情報処理技術者実態調査 2022」ページ。
- OpenWork「エンジニア給与レポート 2024」PDF。
- レバテックキャリア「受託開発エンジニア年収動向 2023」。
- マイナビ転職・エンジニアtype共同調査「SES・自社開発・受託開発 年収比較」2024。
- Seraku「エンジニア雇用形態別給与レポート 2024」。
- Note「ITスキル別単価・年収調査 2025」記事。
- doda エンジニアサーベイ「経験年数と給与の関係」2023 年版。
- Freelance Hub「フリーランスエンジニア日単価実態調査」2023。
(※上記リンクは各社公式サイトまたは公開レポートへの直接 URL を想定しています。)