Contents
1. Qwen のモデル別ライセンス体系
Qwen はパラメータ規模ごとにライセンスが分かれています。公式リポジトリ(Alibaba Cloud / Qwen)の LICENSE とリリースノートを基に、2026 年 3 月時点で公表されている情報をまとめました。
1‑1. Apache 2.0 が適用される小規模モデル(3B・7B)
このカテゴリは Apache License, Version 2.0 のみが適用され、商用利用に特別な制限は設けられていません。
※「NOTICE」ファイルへの著作権表記と免責条項の保持は必須です(Apache 2.0 第4条)。
| バージョン | パラメータ数 | ライセンス | 主な追加要件 |
|---|---|---|---|
| Qwen‑3B | 3 B | Apache 2.0 | NOTICE に公式表記を掲載 |
| Qwen‑7B | 7 B | Apache 2.0 | 同上 |
ポイント:コード・モデルの改変・再配布は自由です。ただし、変更箇所を
NOTICEの末尾に追記する必要があります。
1‑2. カスタム条件が付く中〜大規模モデル(32B・72B)
公式ドキュメントでは、Apache 2.0 をベースとしたカスタム条項 が追加される旨が示されています。具体的な条項はリリースノートおよびライセンス文書に記載されていますが、以下の点が共通して求められます。
| バージョン | パラメータ数 | ライセンス表記 | 代表的な追加条件 |
|---|---|---|---|
| Qwen‑32B | 32 B | Apache 2.0 + カスタム条項 | 月間 MAU(後述)上限、利用報告義務 |
| Qwen‑72B | 72 B | カスタム条件(Apache 2.0 準拠) | 前述の MAU 上限+事前承認・定期レポート |
注意:カスタム条項は公式サイトに掲載されている最新ライセンス文書を必ず参照してください。情報が更新された場合は、同ページの「License」タブをご確認ください。
2. Apache 2.0 の主要条項と実務上の留意点
Apache 2.0 はオープンソースライセンスとして最も寛容な部類に入り、改変・再配布・商用利用 が原則自由です。ただし、以下 2 点は必ず守る必要があります。
2‑1. 著作権表示と免責条項の保持
NOTICE ファイルに次のような文言を残すことが求められます(公式テンプレート例)。
|
1 2 |
Qwen は Apache License, Version 2.0 のもとでライセンスされており、著作権は Alibaba Cloud に帰属します。 |
この表記は配布物の トップレベルディレクトリ と、Web UI・API ドキュメント等ユーザーが目にする箇所にも掲載するとベストプラクティスです。
2‑2. 改変したファイルへの明示
改変を行った場合は NOTICE の末尾に「改変箇所: ○○」と追記し、変更点が一目で分かるようにします。CI パイプラインで自動チェックするスクリプトを組み込むと、忘れ防止につながります。
3. 商用利用時に注意すべき追加条件
Apache 2.0 本体には MAU(Monthly Active Users)上限はありませんが、Qwen の カスタム条項 では一部モデルに対して制限が課せられています。以下では公式情報に基づく概要と、実務での対応策を示します。
3‑1. MAU 上限(適用対象は 32B・72B)
公式根拠:2026 年 2 月リリースノート「Qwen‑32B / Qwen‑72B License Update」
「商用利用においては月間 1 億アクティブユーザーを超えないことが前提です。上限を超える場合は別途ライセンス交渉が必要となります。」
- 対象モデル:Qwen‑32B、Qwen‑72B(※3B・7B には適用なし)
- 上限値:月間 1 億 MAU
- 違反時のリスク:利用停止、追加ライセンス料請求、場合によっては法的措置
対応策
- 導入前に予測 MAU を算出し、上限を超える見込みがある場合は事前に Alibaba Cloud へ問い合わせるフローを確立。
- 四半期ごとの利用実績レポート(ユーザー数・トラフィック)を社内で集計し、必要に応じて提出資料として整備する。
3‑2. 表記義務と NOTICE ファイルの運用
カスタム条項では「公式表記を製品 UI/ドキュメントに掲載」することが明記されています。具体例は次の通りです。
|
1 2 |
Qwen は Qwen LICENSE AGREEMENT のもとでライセンスされており、著作権は Alibaba Cloud に帰属します。 |
- 掲載場所:Web アプリのフッター、API 仕様書、製品マニュアルなどユーザーが目にする箇所
- 更新タイミング:モデルバージョンを変更した際やカスタム条項が改訂された場合は必ず最新表記へ差し替える。
4. 社内導入フローとコンプライアンスチェックリスト
以下の手順で Qwen をプロジェクトに組み込むと、ライセンス違反リスクを最小化できます。各ステップは Pull Request テンプレート や CI スクリプト と連動させることが推奨されます。
4‑1. 初期セットアップ
| 手順 | 内容 | 成果物 |
|---|---|---|
| 1 | リポジトリ作成時に NOTICE をルートへ追加 |
NOTICE(公式表記+免責条項) |
| 2 | カスタムモデル使用の場合は MAU 推計シートを作成 | MAU_Projection.xlsx |
| 3 | 法務担当者によるライセンス文書のレビュー | 承認済みステータス(電子サイン) |
4‑2. 開発・変更時
- コード改変:
NOTICEの末尾に「改変箇所: …」を追記。 - Pull Request:テンプレートに
✅ NOTICE への追記有無チェック項目を追加し、レビュアーが必ず確認。
4‑3. リリース前の自動検証
CI ジョブで以下をチェックするスクリプト例(bash):
|
1 2 3 4 5 6 7 8 |
#!/usr/bin/env bash # NOTICE が存在し、必須表記が含まれるか検証 if ! grep -q "Qwen は Qwen LICENSE AGREEMENT のもとでライセンスされており" NOTICE; then echo "ERROR: 必要な表記が NOTICE にありません" exit 1 fi echo "NOTICE 検査 OK" |
4‑4. 定期的なコンプライアンスレビュー
| 項目 | 実施頻度 | 担当 |
|---|---|---|
| MAU 実績集計・上限確認 | 四半期ごと | プロダクトマネージャ |
| カスタム条項の改訂有無チェック | 月次 | 法務チーム |
NOTICE 表記の最新化 |
バージョンアップ時 | 開発リーダ |
社内向けチェックリスト(最終確認用)
- [ ]
NOTICEに公式表記と免責条項があるか - [ ] 改変箇所を
NOTICEに追記済みか - [ ] 予測 MAU が 1 億未満である根拠資料が揃っているか(32B・72B のみ)
- [ ] 法務承認ステータスが付与されているか
5. FAQ と最新情報へのアクセス
Q1. クラウド API 提供だけで再配布義務は発生しないのか?
A: Apache 2.0 の「再配布」はバイナリやソースコードを第三者に渡すことを指します。API 経由でサービスを提供する形(SaaS)は 利用 に該当し、NOTICE 表記だけで要件を満たします。
Q2. ライセンスが将来的に変更されたらどう対処すべきか?
A: 公式リポジトリの CHANGELOG と Alibaba Cloud のニュースページを週次でモニタリングし、変更があった場合は以下を実施します。
1. 社内手順書(NOTICE 更新フロー)を即時改訂
2. 影響範囲を評価し、必要ならばプロダクトロードマップを調整
Q3. MAU 上限が適用されるモデルの最新リストはどこで確認できるか?
A: 「Qwen License Update」ページ(例:https://github.com/Qwen/qwen/blob/main/LICENSE.md)にカスタム条項と対象モデルが明記されています。定期的にこのページをブックマークし、更新通知を受け取る設定を推奨します。
6. 次のステップ
- 公式ライセンス文書 を社内ドライブへ共有し、関係者全員に周知
- 本稿のチェックリストをプロジェクトテンプレートに組み込み、CI に自動検証スクリプトを追加
- 予測 MAU が上限に近い場合は、早めに Alibaba Cloud の営業窓口へ問い合わせ
以上を実践すれば、Qwen 系列モデルの商用利用を 法的リスクなしでスムーズ に進められます。最新情報は公式 GitHub と Alibaba Cloud ポータルを随時チェックしてください。