Contents
- 1 Azure AI Builder の概要と Power Platform における位置付け
- 2 ライセンスと料金 – 最新情報へのリンク
- 3 環境構築手順(Azure Portal と Power Platform 管理センター)
- 4 主な AI モデルと作成フロー(公式ベース)
- 5 Azure OpenAI (GPT) と Prompt Builder の連携
- 6 作成したモデルの Power Apps・Power Automate・Power Virtual Agents への組み込み手順
- 7 Tatsujin 社の活用事例 ― 信憑性に関する注意点
- 8 ベストプラクティスまとめ & トラブルシューティング
- 9 まとめ
Azure AI Builder の概要と Power Platform における位置付け
1. 本稿の目的
- AI Builder が提供する機能 と **Power Platform(Power Apps・Power Automate・Power Virtual Agents)との統合ポイントを公式情報に基づいて整理する。
- ライセンス要件、環境構築手順、主要モデルの作成フロー、OpenAI 連携方法 を実装者がすぐに利用できる形で示す。
2. AI Builder の位置付け(公式抜粋)
「AI Builder は Power Platform に組み込まれたノーコード AI ソリューションであり、事前構築モデル と カスタムモデル を通じてアプリやフローにインテリジェンスを追加できる」
— Microsoft Learn – AI Builder の概要【https://learn.microsoft.com/ja-jp/ai-builder/overview】
この記述から分かるように、AI Builder は Azure AI サービス(例:Azure AI Vision、Azure OpenAI) とシームレスに連携しつつ、Power Platform の UI だけでモデルの作成・デプロイが可能です。
ライセンスと料金 – 最新情報へのリンク
| 項目 | 現行プラン(2026‑04 時点) | 含まれる AI Builder クレジット* | 参照先 |
|---|---|---|---|
| Power Apps / Power Automate Per User | ユーザー単位で月額課金 | 標準で 1,000 クレジット(※プランや地域により変動) | 【Microsoft 料金ページ】https://learn.microsoft.com/ja-jp/power-platform/admin/pricing |
| Power Apps Per App | アプリ単位で月額課金 | AI Builder は別途 AI Builder Capacity(1,000 クレジット/$10)を購入して利用 | 同上 |
| スタンドアロン AI Builder | キャパシティのみのサブスクリプション | 1,000 クレジット/月(必要に応じて追加購入可) | 同上 |
| Azure OpenAI (GPT‑4 等) | 従量課金制 | クレジットとは別枠。利用には Azure サブスクリプションと承認プロセスが必須 | 【Azure OpenAI 料金】https://learn.microsoft.com/ja-jp/azure/cognitive-services/openai/pricing |
* クレジット数は Microsoft の公開情報に基づきますが、地域や特定プランの変更に伴い増減することがあります。 最新の数字は必ず上記料金ページで確認してください。
Azure 無料アカウントに関する正しい認識
- Azure 無料アカウント($200 クレジット、30 日間) は Azure の各種サービスを試すためのものですが、Azure OpenAI Service への利用権限は自動付与されません。
- 利用開始には Azure ポータルで「OpenAI」リソースを作成し、Microsoft に対して使用承認(Access Request)を行う必要があります。承認が下りた後にキーとエンドポイントが取得できます。
公式ドキュメント: “Azure OpenAI は別途承認が必要です。”【https://learn.microsoft.com/ja-jp/azure/cognitive-services/openai/overview】
環境構築手順(Azure Portal と Power Platform 管理センター)
1. Azure 側の準備
- Azure ポータルにサインイン → 「リソースの作成」→「AI Builder 用キャパシティ」または「Power Platform 環境」を検索。
- 必要なリージョンと SKU(例:
AIBuilderCapacity_Standard)を選択し、課金対象サブスクリプション を指定して作成。 - Azure OpenAI リソースが必要な場合は、ポータルで「OpenAI」→「新規作成」→承認リクエストを送信(承認まで数営業日かかることがあります)。
2. Power Platform 側の設定
| 手順 | 操作内容 | 補足 |
|---|---|---|
| ① | Power Platform 管理センターにアクセスし、左メニュー → 「環境」 → 「新しい環境」 | 環境名・リージョン・タイプ(Production / Sandbox)を入力 |
| ② | 作成した環境が一覧に表示されたら、対象環境の「設定」→「AI Builder」へ遷移 | ここで Azure 側で作成した AI Builder キャパシティを 有効化 |
| ③ | Power Apps / Power Automate のデザイナー画面左側に AI Builder タブが表示されることを確認 | UI が変わっている場合は公式ドキュメントの最新スクリーンショットでチェック |
手順や UI は随時更新されます。最新情報は「Power Platform 管理センター – AI Builder」ヘルプページをご参照ください。
主な AI モデルと作成フロー(公式ベース)
Microsoft が提供する 7 種類の標準モデル と、カスタムモデル の共通プロセスを以下にまとめます。
1. 標準モデル一覧(抜粋)
| モデル名 | 用途例 | 参考ドキュメント |
|---|---|---|
| フォーム処理 (OCR) | 請求書・領収書からテキスト抽出 | https://learn.microsoft.com/ja-jp/ai-builder/form-processing-overview |
| テキスト分類 | メールやチャットのカテゴリ分け | https://learn.microsoft.com/ja-jp/ai-builder/text-classification-overview |
| 感情分析 | 顧客レビューのポジティブ/ネガティブ判定 | 同上 |
| 予測 (Predict) | 売上・在庫需要の数値予測 | 同上 |
| オブジェクト検出 | 商品画像から対象物を矩形で抽出 | 同上 |
2. カスタムモデル作成の標準フロー(5 ステップ)
- データ準備 – Dataverse、Azure Blob、CSV/Excel のいずれかに格納。
- ラベル付与 – UI 上で「カテゴリ」「バウンディングボックス」等を手動設定(最低 200 件推奨)。
- 学習実行 – 「モデルの作成」ボタン → 数分〜数時間で自動学習。
- 評価 – 精度・再現率などメトリクスがダッシュボードに表示され、閾値未達の場合はデータ追加で再学習。
- 公開 – 「モデルを公開」すると Power Apps/Automate のコネクタから即利用可能。
上記手順は Microsoft Learn – AI Builder のドキュメント にも同様に掲載されています【https://learn.microsoft.com/ja-jp/ai-builder/create-custom-model】
OCR(フォーム処理)具体例
| フェーズ | 操作詳細 |
|---|---|
| データアップロード | 請求書 PDF を Dataverse の Invoice テーブルにインポート。PDF → 画像変換は Azure Function で自動化可能。 |
| ラベル付与 | UI で「請求先」「金額」領域を手動で矩形指定(10 件サンプルで開始)。 |
| 学習開始 | 「モデルの作成」をクリック → バックエンドで Azure AI Vision OCR が自動構成。 |
| 評価 | 精度 95 % 超えであれば 公開、未達の場合は追加画像(最低 300 件)で再学習。 |
| 公開・利用 | Power Automate の「AI Builder – フォーム処理」アクションにテーブル ID を設定し、フロー実行時に自動 OCR が走る。 |
Azure OpenAI (GPT) と Prompt Builder の連携
1. 前提条件と認証フロー
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| リソース | Azure Portal で「Azure OpenAI」リソースを作成(承認済み) |
| キー管理 | キーは Azure Key Vault に格納し、Power Platform 側では Managed Identity 経由で参照 |
| 接続設定 | Power Apps の「データ」→「新しい接続」→「Azure OpenAI」からエンドポイントとシークレットを入力 |
Azure 無料アカウントだけでは上記リソースは取得できません。別途承認が必要です(前述参照)。
2. Prompt Builder のベストプラクティス(公式ガイド)
「Prompt Builder では ‘システム指示’ と ‘few‑shot 例示’ を組み合わせることで、モデルの出力品質を安定させられる」
— Microsoft Learn – Prompt Builder【https://learn.microsoft.com/ja-jp/power-platform/prompt-builder-overview】
| 要素 | 設計指針 |
|---|---|
| 目的(System Prompt) | You are a business analyst. Summarize the following sales report in bullet points. のように役割とタスクを最初に明示 |
| 入力形式 | 固定ラベル Report: <テキスト> を付与し、パーサブルな構造にする |
| 期待出力例 | 2‑3 件の具体的なアウトプット(箇条書き・表形式)を few‑shot として提示 |
| トークン上限 | GPT‑4 は最大 8,000 トークン。長文は要点抽出や分割送信で対応 |
3. 実装手順(Power Automate + Prompt Builder)
- Power Automate のフロー作成画面 → 「新しいステップ」→「Prompt Builder」を検索して追加。
- 接続情報 に Azure OpenAI のエンドポイントと Key Vault から取得したシークレットを設定。
- プロンプトテンプレート に上記ベストプラクティスで作成したテキストを書き込み、
Testボタンでサンプル入力を検証。 - 結果が期待通りなら「保存」→「フローの公開」。以後は任意のトリガー(例:SharePoint へのファイル追加)で自動呼び出し可能。
詳細な画面キャプチャは Microsoft Learn – Prompt Builder のチュートリアル に掲載されています。
作成したモデルの Power Apps・Power Automate・Power Virtual Agents への組み込み手順
1. Power Apps(キャンバスアプリ)への埋め込み
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① 左ペイン「AI Builder」→「モデル一覧」から対象モデルを選択 ② キャンバス画面に「テキスト分類」コントロールをドラッグ ③ データカードの `OnSelect` に以下を記述 Set(prediction, AIModel.Predict(TextInput.Text)); ④ ラベルに prediction の結果 (`prediction.Class`) を表示 |
- 注意点:Dataverse テーブルへの書き込み権限が必要です。ロールベースアクセス制御(RBAC)で「AI Builder 作成者」以上の権限を付与してください。
2. Power Automate のフロー例
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| トリガー | 「When a new email arrives (V3)」 |
| アクション1 | 「AI Builder – 感情分析」へメール本文を渡す |
| 条件分岐 | Sentiment = Negative → Teams に通知、Positive → 自動返信 |
| アクション2 | 必要に応じて Dataverse に結果保存 |
3. Power Virtual Agents でのスキル追加
- ボット作成画面 → 「スキル」→「AI Builder スキルを追加」
- 使用したいモデル(例:オブジェクト検出)を選択し、画像アップロードノードに紐付ける
- 検出結果(
DetectedObjects配列)を変数へ格納し、後続の対話ステップで{{detectedObject}}として参照
Tatsujin 社の活用事例 ― 信憑性に関する注意点
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 概要 | 請求書 OCR + Power Automate による仕訳自動化 |
| 導入効果 | 入力工数 5 分 → 30 秒、月間処理件数 800 件 → 2,400 件、エラー率 3 % → <1 % |
| 出典 | 外部サイト(https://app-tatsujin.com/azure-ai-builder-use-cases-guide/)に掲載。Microsoft の公式事例ではなく、情報は企業が自社でまとめたものです。実装前に 公式ドキュメントの手順と照合 し、必要に応じて Microsoft サポートへ確認してください。 |
本稿では上記情報を「外部報告」として扱い、公式ソースではないこと を明示しています。
ベストプラクティスまとめ & トラブルシューティング
A. データ品質と学習効果の最大化
- サンプル数:クラスごとに最低 200 件(合計 1,000 件以上が望ましい)
- バランス:各カテゴリの件数差は 10 % 以内に抑える
- 画像前処理:解像度 ≥ 300 dpi、文字が水平になるよう自動回転(Azure Computer Vision の
deskew機能活用)
B. セキュリティ・コンプライアンス
| 項目 | 推奨設定 |
|---|---|
| ロールベースアクセス | 「AI Builder 管理者」ロールを限定的に付与し、他ユーザーは「作成者」または「閲覧者」に留める |
| キー管理 | Azure Key Vault に保存し、Power Platform からは Managed Identity のみで参照 |
| データ保持 | GDPR・CCPA などの地域規制に合わせ、Dataverse の保持ポリシーを設定(例:90 日) |
C. コスト管理
- キャパシティモニタリング:Power Platform 管理センター → 「予算アラート」→閾値 80 % 設定でメール通知
- 不要モデルの削除:使用しなくなったカスタムモデルは「非公開」→「削除」し、クレジット消費を防止
D. よくあるエラーと対処法(FAQ)
| エラーメッセージ | 原因例 | 解決策 |
|---|---|---|
| AI Builder capacity exceeded | 月間クレジット上限に達した | 追加キャパシティ購入、または未使用モデルを削除 |
| Training failed: Invalid file format | CSV が UTF‑8 でない、画像が非対応形式(TIFF 等) | ファイルエンコーディングを UTF‑8 に統一、画像は JPEG/PNG のみ利用 |
| Prompt Builder connection error | Azure OpenAI エンドポイント・キー不一致 | Key Vault のシークレットを再取得し、Managed Identity が正しく割り当てられているか確認 |
| Model evaluation score too low | ラベル付与が偏っている、サンプル数不足 | データセットを拡充し、クラスバランスを調整して再学習 |
| Access denied to Dataverse table | ユーザーに「AI Builder 作成者」権限が無い | 管理センターで対象ユーザーに適切ロールを付与 |
上記対策でも解決しない場合は、Microsoft サポート(サブスクリプション ID とエラーログ添付) へチケットを提出してください。
まとめ
- AI Builder は公式に保証されたノーコード AI プラットフォーム であり、Power Apps・Automate・Virtual Agents とシームレスに統合できる。
- ライセンスは プランごとにクレジット数が変動 するため、最新の Microsoft 料金ページを必ず確認し、必要ならキャパシティ追加購入を検討すること。
- Azure OpenAI の利用には別途承認が必要 であり、無料アカウントだけでは自動的に権限は付与されない点に注意。
- 外部事例(Tatsujin 社など)は 情報の信憑性を確認したうえで参考に する。公式ドキュメントと照らし合わせることで実装リスクを低減できる。
- データ品質、セキュリティ設定、コストモニタリングを徹底すれば、スケーラブルかつガバナンス遵守の AI ソリューション を構築可能です。