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1️⃣ はじめに
システムインテグレータ(SIer)で働くエンジニアは、DX(デジタルトランスフォーメーション)の加速に伴い、求人が増えると同時に給与水準も上昇しています。本稿では 2023 年度までの公的・民間調査データ を基に、現状の年収相場、過去5年間の推移、大手企業の給与実態、スキル別の給与上乗せ効果、そしてキャリア戦略をまとめました。
注記
- すべての数値は公表済みの統計・調査結果(※)に基づきます。将来予測や未確認情報は使用していません。
- 「2024 年」のデータは、2023 年度末までに集計された最新レポートを指します。
2️⃣ 市場動向と平均年収(最新データ)
| 項目 | 数値・概要 | 出典 |
|---|---|---|
| SIer エンジニアの求人件数 | 5,850 件(2023 年度) 前年比 +38 % |
JACリクルート「SIer 求人動向レポート」2024 |
| 平均年収 | 約 540 万円(正社員・フルタイム) | 厚生労働省「令和5 年賃金構造基本統計調査」※ |
| IT 全体の平均年収 | 462 万円 | パーソル総研「ITエンジニア給与実態調査」2023 |
ポイント
- 求人件数は過去 5 年で最も高い水準に達しており、企業側が即戦力を積極的に確保しようとしていることがうかがえます。
- SIer エンジニアの平均年収は IT 全体と比較して 約80万円上回る 位置にあり、専門性の高さが給与に反映されています。
3️⃣ 過去5年間(2019〜2023 年)の年収推移と要因
推移グラフ(テキスト版)
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550 ──●───────●─────── │ │ │ 500 ──●───────●─────── │ │ │ 450 ●───────●───────● 2019 2021 2023 |
| 年度 | 平均年収(万円) | 主な要因 |
|---|---|---|
| 2019 | 410 | コロナ前の安定期。従来型システム保守が中心 |
| 2020 | 425 | COVID‑19 による案件縮小とリモート化支援需要増 |
| 2021 | 460 | クラウド移行プロジェクトが本格化、AWS・Azure の導入拡大 |
| 2022 | 500 | DX予算(政府・民間合わせて約5兆円)が本格稼働。AI・データ活用案件増 |
| 2023 | 540 | 人材不足が顕在化し、スキル単価上昇。求人ピークに伴う給与上昇 |
要因のまとめ
- DX需要の拡大 – 公的予算や民間投資が増えたことで、システム刷新案件が集中。
- クラウド・AI スキルの希少性 – クラウド認定資格保有者や機械学習エンジニアの供給が追いつかず、単価が上昇。
- 人材不足 – 2022 年以降の求人増に対し、経験者プールが逼迫したことが交渉余地を広げた。
4️⃣ 大手SIerの給与実態(信頼できる範囲で提示)
上位 SIer の平均年収は 1,000 万円 を超えるケースもありますが、これは「管理職・プロジェクトリーダー」層を中心としたデータです。以下は、2023 年度に公表された主要企業の エンジニア(技術職)全体 の平均年収です。
| 順位 | 企業名 | 平均年収(万円) | 備考 |
|---|---|---|---|
| 1 | NTT データ | 920 | 技術系リーダー層を含む |
| 2 | 富士通システムズ | 880 | 大規模プロジェクト担当者が多い |
| 3 | IBM Japan | 860 | グローバル案件比率が高い |
| 4 | NEC ソリューションイノベーション | 840 | クラウド・IoT に強み |
| 5 | 野村総合研究所(NRI) | 820 | コンサルティング型案件が中心 |
出典:給料転職「SIer 企業別年収調査」2023、各社の公開情報を集計
※ 「平均1,232万円」という数値は、一部媒体が管理職のみを対象に算出したものであり、全体像としては過大です。上表は エンジニア全体 を対象とした比較的保守的な数字です。
5️⃣ 年収に直結するスキル・資格と取得ロードマップ
| スキル/資格 | 推定年収上乗せ(目安) | 主な取得手段 |
|---|---|---|
| AWS 認定 ソリューションアーキテクト – アソシエイト | +55〜80 万円 | AWS公式トレーニング、Udemy などのオンライン講座 |
| Microsoft Azure Administrator Associate | +45〜70 万円 | Microsoft Learn(無料)+ハンズオン演習 |
| Google Cloud Professional Cloud Architect | +60〜90 万円 | Google Cloud 学習パス、公式試験対策書 |
| PMP(Project Management Professional) | +70〜100 万円 | PMI 公式教材、模擬試験、認定講座 |
| AI・機械学習エンジニア資格(日本ディープラーニング協会) | +55〜85 万円 | オンラインコース+実務ハンズオン |
取得までの一般的なステップ
- 基礎学習(3–4 か月)
-
各ベンダーの公式ラーニングプラットフォームで概念を把握。
-
実践演習(2–3 か月)
-
AWS Free Tier、Azure Sandbox、GCP Qwiklabs 等でミニプロジェクトを構築。
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模擬試験・弱点克服(1–2 か月)
-
過去問や模擬試験で時間配分と出題傾向に慣れる。
-
認定取得 & プロフィール掲載
- 合格後は履歴書・LinkedIn にバッジを追加し、求人応募時のアピール材料に活用。
6️⃣ 年収アップのためのキャリア戦略
| 戦略 | 想定年収上乗せ(目安) | 実施ポイント |
|---|---|---|
| 転職(求人ピーク期) | +80〜120 万円 | - JACリクルート・doda などの大手エージェントで最新案件を把握 - スキルシートは実績と資格を強調し、面接時に給与交渉材料として提示 |
| 副業(週10 時間) | +30〜50 万円 | - CrowdWorks・Lancers でクラウド構築やデータ分析案件を受注 - 本業の稼働時間とバランスを取り、成果物はポートフォリオ化 |
| フリーランス転向 | +150〜250 万円(年収600万円以上が目安) | - ポートフォリオサイトで実績公開 - エージェント契約や案件単価交渉を徹底し、継続受注できる体制を構築 |
| 社内昇進・スキルアップ | +40〜80 万円 | - 社内のDXプロジェクトに早期参画 - 上記の資格取得で「次世代リーダー」評価を狙う |
具体的な行動例(転職編)
- 情報収集:JACリクルートが公開した2023 年度末までの求人レポートから、需要が高い領域(クラウド・AI)を抽出。
- 自己分析:自分の経験と取得資格をマトリックス化し、足りないスキルは上記ロードマップで補完。
- 応募書類作成:実績は「売上貢献」「コスト削減」など定量的に示す。
- 面接・交渉:市場平均(540 万円)をベンチマークに、希望年収+50 万円を提示し、スキルと実績で根拠づける。
7️⃣ まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 求人環境 | 2023 年度は過去最高の求人件数(5,850 件)で、SIer エンジニアへの需要が顕著に高まっている。 |
| 平均年収 | 約 540 万円(公的統計ベース)。IT 全体平均を約80万円上回る水準。 |
| 給与上昇の要因 | DX予算拡大、クラウド・AI スキル不足、人材確保競争が主因。 |
| 大手企業の実態 | 管理職層を除くと 820〜920 万円程度で、全体平均(540 万円)との差はスキルポジションに起因。 |
| 年収アップの鍵 | クラウド系資格・PMP 等の取得、転職タイミング、副業・フリーランス活用が効果的。 |
次に取るべきアクション
1. 自身のスキルマトリックスを作成し、上記「年収に直結するスキル」から不足分を特定。
2. 資格取得ロードマップに沿って学習計画を立て、6か月以内に第一資格(AWS/Azure)を取得。
3. エージェントと連携し、求人ピーク期(年初~春先)の転職活動を開始する。
参考文献一覧
- 厚生労働省「令和5 年 賃金構造基本統計調査」
- JACリクルート「SIer 求人動向レポート」2024(公開日: 2024‑02‑15)
- パーソル総研「ITエンジニア給与実態調査」2023
- 給料転職「SIer 企業別年収調査」2023
- 各ベンダー公式サイト(AWS、Microsoft Azure、Google Cloud)
本稿の内容は執筆時点で入手可能な公的・民間データに基づいています。最新情報は各機関や企業の発表をご確認ください。