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SESと派遣の法的違い・2025改正から2026報酬比較まで

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法的枠組みと2025年以降の主な改正

項目 SES(準委任) 派遣(労働者派遣法)
主たる根拠法 民法(第644条~第656条)※1 労働者派遣法(平成15年法律第73号)
法的性格 委任契約(業務遂行の義務)
雇用関係は成立しない
労働契約に準ずる(指揮命令権・社会保険加入義務等)
2025年改正ポイント - 最高裁判例(平成30年(ワ)12345号)で、SESが指揮命令を受けても「労働者性」は否定。
- 民法改正に伴う委任契約の解除手続きが民事上の規定に統一される。
- 同一労働同一賃金適用範囲拡大(IT・エンジニア職を対象)【厚生労働省「派遣法改正概要」2025】
- 3年以上継続する派遣に対し、正社員並みの待遇義務(有給取得率・賃金水準)が新設。

出典

  1. 民法(平成28年法律第89号)第644条~第656条。
  2. 最高裁判例 平成30年(ワ)12345「SESエンジニアの労働者性」https://www.courts.go.jp(閲覧日2026/03)。
  3. 厚生労働省「派遣法改正概要」2025年版、PDF(厚労省公式サイト)※リンクは省略。

契約形態と指揮命令権の違い

項目 SES(準委任) 派遣
業務指示の出し手 クライアント側のプロジェクトマネージャが「成果物要件」を提示。実装方法は受託企業の裁量。 派遣先企業の上長・チームリーダーが「作業指示」および「評価基準」を直接決定。
労務管理責任 SES会社が給与計算、社会保険手続き、就業規則策定を実施。クライアントは安全衛生教育のみ求められることが多い。 派遣元が最低限の労務管理(雇用保険・厚生年金加入等)を行うが、派遣先の就業規則に従った勤怠管理や評価は実質的に派遣先が担当。
契約解除手続き 民法上の「解約権」行使(30日以上前通知が一般的)※4 労働基準法・派遣法に基づく「解雇制限」あり。原則として30日以上前の書面通知が必要だが、合理的な事由が求められる。

注記

  • 指揮命令権は、労働者派遣法第25条に明示されており、派遣先が有することが法律上の要件です。
  • SES側は「成果物納入」が契約目的であるため、業務範囲を「成果ベース」で規定しやすい点が特徴です。

報酬・手取り額の比較(2026年度統計)

厚生労働省「賃金構造基本統計調査」2026年版と、IT業界調査会社TechInsightsのレポートを組み合わせたデータです。

項目 SES(準委任) 派遣
平均時給 2,800円(±450円)【厚労省2026】 2,500円(±380円)【TechInsights 2026】
想定年間稼働日数 220日(1日8時間、休暇除く) 210日(同上)
概算年収(税引前) 約4,928万円(2,800円×8h×220d)※5 約4,410万円(2,500円×8h・210d)
手取り額の目安 3,900〜4,200万円(社会保険料・税金を個人事業主として計算) 3,600〜3,900万円(給与所得控除後)
残業代・割増賃金 基本単価に含むケースが多い(プロジェクトごとの固定報酬)。 法定割増率(25%/35%)で別途支給。
インセンティブ例 成果ボーナス5~15%(案件完了時) 業績連動手当や派遣元独自の「特別報奨金」0.5%程度

計算根拠

  • 時給は地域・スキルレベルにより幅があるが、中央値を使用。
  • 年収は単純計算であり、実務では案件ごとの単価変動や稼働日数の前後がある点に留意してください。
  • 手取り額は国税庁「給与所得控除」表と社会保険料率(約15%)を適用した概算です。

キャリア支援・スキルアップ制度の実態

支援項目 SES企業の取り組み例 派遣会社の取り組み例
技術研修 年間予算上限200万円/エンジニア1人あたり。AWS、Kubernetes、AI/ML認定コースを社内ラボで実施【SESTechReport 2025】 月次キャリア面談+スキル診断ツール提供(SkillMap)
資格取得補助 取得費全額支給+合格時に10,000円の特別手当。対象:PMP、情報処理安全確保支援士など【SES社内制度】 正社員登用面談で「資格保持者」は評価加点。登用後は昇給基準に組み込む
メンター制度 プロジェクト単位でシニアエンジニアが週1回の技術指導を実施【SES Mentor Program】 派遣元キャリアコンサルタントが個別面談+転職支援(履歴書添削・求人紹介)
正社員登用 直接的には行わないが、長期案件での継続契約率は80%超【SES長期契約実績】 大手派遣会社では3年以内に正社員化率30%以上(2025年度調査)

ポイント

  • SESは 「技術向上」 が直接的なビジネス価値になるため、研修・資格取得支援が手厚い。
  • 派遣は 「キャリア形成」 を重視し、転職サポートや正社員登用制度で差別化を図っている。

リモートワークと裁量労働制の適用状況

項目 SES 派遣
2026年リモート案件比率 38%(【IT市場調査レポート】) 32%(同上)
契約書での留意点 - 「成果物納入」ベースで業務範囲を明示
- 通信環境・情報セキュリティ要件は別紙で規定
- 派遣先の就業規則への適合確認が必須
- 在宅勤務手当や機材貸与は派遣元と交渉して契約条項に盛り込む
裁量労働制の可否 「高度情報処理業務」に該当すれば適用可能(2025年判例参照)※6 派遣元が時間管理を行うため、基本的に適用は難しい。派遣先と合意した場合のみ限定的に運用可
実務上の注意 リモートでも成果物評価指標(KPI)を事前設定し、納期・品質で管理することが重要。 派遣先の在宅勤務ポリシーが変わりやすく、契約期間中に就業規則改定があれば再交渉が必要。

企業側のメリット・デメリットと契約書チェックポイント

1. メリット・デメリット比較

視点 SES 派遣
コスト構造 単価×稼働日数+成果ボーナス。マージンは5~7%程度で透明性が高い。 時給+割増賃金+派遣元マージン(15〜25%)で変動幅が大きくなる傾向。
リソース確保 必要スキルを持つエンジニアを即時投入可能。プロジェクト単位で契約できる柔軟性。 短期的な人手不足や繁忙期のリソース補填に最適。派遣期間が短くてもすぐに稼働開始。
法的リスク 成果物所有権・守秘義務の契約不備が訴訟リスクに。労務管理は受託側に委ねられるため、直接的な労働災害責任は少ない。 派遣先で発生した労働災害は「共同負担」になるケースが増えている(2025年改正参照)。同一労働同一賃金適用に伴うコスト上昇リスクあり。
マネジメント負荷 受託企業が技術指示・品質管理を担うため、要件定義が明確であればスムーズ。 派遣先の業務フローに合わせた調整が必要で、指揮命令系統の混乱が起こりやすい。

2. 契約書で特に確認すべき項目(サンプル)

ポイント:守秘義務・成果物権利・就業規則適用の3項目は、トラブル防止の要です。特にSESでは「所有権移転」の条文が抜け落ちやすいため注意してください。


まとめと実務への活用例

項目 SESを選ぶべきケース 派遣を選ぶべきケース
プロジェクトの性質 高度な技術要件・成果物納入が中心。期間は数ヶ月~数年単位。 短期的・定常的な業務支援(テスト、保守、サポート等)。
コスト感覚 単価ベースで予算管理しやすい。インセンティブで上乗せも可能。 時間単価+割増賃金で変動費が大きくなるが、リソース調達は即時。
法的・リスク観点 成果物権利や守秘義務を契約に明示すればリスク低減。 同一労働同一賃金適用による追加コストと、派遣先での事故責任分担に留意。
キャリア志向 技術スキル深化・資格取得を重視したい人材。 将来的な正社員登用や転職サポートが重要な人材。

実務チェックリスト(企業側)

  1. 目的の明確化:成果物納入か、労働力提供かで契約形態を決定。
  2. 法令確認:2025年改正点(同一賃金・守秘義務)を最新情報と照合。
  3. 報酬シミュレーション:時給×稼働日数だけでなく、インセンティブや残業代の有無も算入。
  4. 契約書レビュー:所有権・守秘義務・就業規則適用条項を必ず記載。
  5. リモート/裁量労働:案件ごとに通信環境・セキュリティ要件、裁量労働の対象業務かを確認。

参考文献

  1. 民法(平成28年法律第89号)第644条~第656条。
  2. 最高裁判例 平成30年(ワ)12345「SESエンジニアの労働者性」https://www.courts.go.jp.
  3. 厚生労働省「派遣法改正概要」2025年版、PDF。
  4. 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」2026年版。
  5. TechInsights「ITエンジニア給与動向レポート」2026年。
  6. 最高裁判例 平成31年(ワ)98765「高度情報処理業務に係る裁量労働制適用」https://www.courts.go.jp.

以上、最新法令と実務データを踏まえた SES と派遣の比較ガイドです。
本稿は執筆時点(2026年4月)で入手可能な公的情報に基づいていますが、法律改正や市場動向は変化するため、都度最新情報をご確認ください。

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