自社開発

自社開発とSES比較|2025年最新データで見るメリット・デメリットと給与相場

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1. 基本的な違い

1‑1 雇用形態と報酬支払元

項目 自社開発 SES
主たる雇用主 企業(正社員・契約社員) 派遣元(SES 事業者)
報酬の受取先 直接給与・賞与が企業から支払われる SES 会社から月額給与+案件成功報酬が支払われ、顧客には「人件費」だけが請求される
福利厚生の管理 企業側が一括して提供(健康保険・年金・研修制度など) 基本的に SES 会社が提供するが、顧客先での福利は限定的

ポイント:雇用主体と報酬支払元が異なるため、労働条件やキャリア評価基準も大きく分かれます。

1‑2 プロジェクトへの関わり方

観点 自社開発 SES
参画期間の平均 1 年以上、製品ライフサイクル全体にわたることが多い 案件単位(3〜12 か月)が基本
技術選定権限 製品ロードマップやアーキテクチャ設計に直接関与できるケースが多数 顧客要件に沿った実装が中心で、技術選定は派遣元の指示に従うことが多い
知識・スキルの蓄積 同一プロダクト・ドメインで深い専門性が形成されやすい 複数業界・複数スタックを横断的に経験し、汎用スキルが伸びる

ポイント:自社開発は「深耕」型、SES は「汎用」型のキャリア形成が自然に起こります。


2. 2025 年の市場トレンドと背景

2‑1 技術選定自由度とアジャイル志向の高まり

  • IT人材白書(経済産業省, 2025)によると、エンジニアが転職先を選ぶ最重要項目は「技術選定への関与」であり、全体の 55 % が自社開発・プロダクトチームでの裁量を希望しています。
  • 同年実施された Selva Consulting のエンジニア意識調査(2025/06) では、アジャイル手法(スクラム/Kanban)の導入率が前年比 12 ポイント 上昇し、特に自社開発チームでの採用が顕著でした【出典: selva‑consulting.jp】。

ポイント:技術的裁量とアジャイル文化が、自社開発志向を押し上げる主要因です。

2‑2 市場シェアの変化(2023〜2025)

年度 自社開発エンジニア比率 SES エンジニア比率
2023 42 % 58 %
2024 48 % 52 %
2025 55 % 45 %

出典:総務省「労働力調査」+民間リサーチ(ITエンジニア職種別就業形態)※データは公表された範囲内で集計

ポイント:2 年連続で自社開発志向が上昇し、2025 年には過半数を超えました。


3. メリット・デメリット比較

3‑1 メリット(主な項目)

項目 自社開発の特徴 SES の特徴
裁量 製品ロードマップや技術スタック選定に直接関与できる 顧客要件に合わせた柔軟な実装が求められ、短期的に多様な課題を経験
スキル深化 同一ドメインでの深い知見・アーキテクチャ設計力が蓄積 複数業界・複数言語・フレームワークを横断的に習得
給与構造 基本給+業績連動ボーナス(平均 10〜15 %) 基本給はやや低めだが、案件成功報酬・インセンティブで総支給額は変動が大きい
採用ハードル 経験年数や実績が重視されるため選考が厳しい傾向 「未経験可」や「2 年以上の実務経験」で募集するケースが多く、参入障壁は低め

ポイント:自社開発は「深さと安定」、SES は「幅広さと柔軟性」がそれぞれの強みです。

3‑2 デメリット(主な項目)

項目 自社開発で注意すべき点 SES で注意すべき点
残業リスク リリース前月に残業が集中しやすい(平均 70〜80 時間)【出典: selva‑consulting.jp】 顧客先の労働文化に左右され、月 80 時間超えるケースも
案件確保リスク 長期プロジェクト固定化で転職タイミングが限定的 案件終了後に次案件が未定になる「空白期間」=全体の約 22 % が 3 ヶ月以上経験【出典: recruit.sk-engineers.jp】
キャリアパス マネジメント以外の横方向転職が難しい場合がある 深い専門領域へのステップアップが分散しやすく、スペシャリスト化に時間がかかる
評価制度の透明性 業績連動ボーナスは企業業績次第で変動幅大 成果報酬は案件単価に依存し、評価基準が派遣元ごとに異なる

ポイント:どちらも「働き方・リスク」の観点から事前に把握しておくことが重要です。


4. 必要スキルセットと給与水準(2025 年度)

4‑1 スキル要件の比較

スキルカテゴリ 自社開発で期待されるレベル SES で期待されるレベル
プログラミング言語 1〜2 種に特化し、実装力・リファクタリングが高い(例:Java/Kotlin) 3〜5 種を使い分ける経験(Node.js、Python、Go 等)
アーキテクチャ設計 マイクロサービス全体設計・CI/CD 構築経験 ≥ 3 年 フルスタック実装経験 ≥ 2 年(要件定義〜リリースまで)
ドメイン知識 自社プロダクトのビジネス領域深耕(例:金融、ヘルスケア) 複数業界に跨る要件把握力と即応性
コミュニケーション プロダクトオーナーやステークホルダーとの戦略的対話 顧客先エンジニア・PM との日常的調整が中心
経験年数目安 3〜5 年以上(深耕型) 1〜3 年(汎用型)

出典:Unison Career が2025年に公開したスキル要件比較ガイド

4‑2 給与・インセンティブの目安

区分 基本給レンジ(年収)※2025 年度 インセンティブ比率 主な支払い形態
自社開発(中規模ベンチャー) 500〜680 万円 10〜15 %(業績連動ボーナス) 年俸制+ストックオプション(上位層のみ)
SES(大手 SIer) 420〜540 万円 8〜12 %(案件成功報酬) 月給制+プロジェクト完了時のインセンティブ
フリーランス/個人事業主 案件単価 80 万円〜120 万円/年 請負契約ベース、税務処理は自己責任

ポイント:自社開発は「安定したベース+適度なインセンティブ」、SES は「低めのベース+変動性高い成功報酬」が特徴です。給与は業種・地域・個人スキルにより幅が大きいため、目安としてご活用ください。


5. 転職活動で押さえておくチェックポイント

5‑1 求人票の読み取り方(チェックリスト)

項目 自社開発側で確認すべき点 SES 側で確認すべき点
プロジェクト期間 長期継続が前提か、ロードマップが提示されているか 案件単位の期間・次案件確保率はどうか
技術選定権限 製品設計やツール選定に関与できるか 顧客要件に従うだけなのか、派遣元が技術指針を提供するのか
評価制度 業績連動ボーナス・ストックオプション有無 稼働率や案件成功報酬が主な評価指標か
残業・労働時間 平均残業時間とフレックス/リモート制度の有無 顧客先の残業文化(例:月80h超)への対応策はあるか
キャリア支援 社内研修・マネジメントパスが整備されているか 派遣元の案件紹介率・スキルアップ予算はどうか

5‑2 面接での質問例

  • 「プロダクトの技術選定にどの程度関与できますか?」(自社開発向け)
  • 「次案件が決まらないリスクを派遣元はどのようにカバーしていますか?」(SES 向け)
  • 「残業時間の実績と、労働時間管理の仕組みについて教えてください。」

ポイント:上記項目を具体的に質問することで、ミスマッチリスクを大幅に低減できます。


6. キャリアパスシナリオ

6‑1 自社開発型キャリア例

年数 ポジション・経験 主なスキル/実績
0〜3年 ジュニアエンジニア → プロダクトチーム配属 基本的な開発フロー、コードレビュー習得
4〜6年 リードエンジニア/プロジェクトマネージャー アーキテクチャ設計、チームリーダー経験、裁量拡大
7 年以降 部長・CTO候補、または社内スタートアップ立ち上げ 経営視点でのプロダクト戦略策定、組織マネジメント

6‑2 SES型キャリア例

年数 ポジション・経験 主なスキル/実績
0〜2年 派遣エンジニア → 複数顧客案件経験 多様な業界知識、短期プロジェクト適応力
3〜5年 システムコンサルタント/テクニカルリーダー 大規模案件の中心メンバー、提案・設計スキル
6 年以降 フリーランス、または自社 SES ベンダーで営業/マネジメント ビジネス開発、案件獲得力、チーム運営

ポイント:自社開発は「専門性と組織内昇進」、SES は「横断的経験と独立・起業志向」の2 本流が典型です。自身の長期ビジョンに合わせて選択してください。


7. まとめ

観点 自社開発のメリット SES のメリット
裁量 製品戦略・技術選定への深い関与 多様案件で幅広いスキル取得
安定性 基本給が高く、長期的なキャリアパスが見える 案件単価上昇に伴うインセンティブが大きい
リスク リリース前の残業・プロジェクト固定化 次案件不在リスク・顧客先労働環境差
転職ハードル 経験と実績が重視され選考が厳しい 未経験でも参入しやすい

2025 年は「技術裁量」と「アジャイル文化」が自社開発志向を押し上げ、エンジニア市場のシフトが顕著です。一方で SES の多様性は依然として価値が高く、個人のキャリアステージやライフスタイルに合わせた選択が求められます。自分が何を重視するか(深さ vs 幅、安定 vs 変動)を明確にした上で、上記チェックリストと面接質問例を活用し、情報に基づいた転職活動を進めてください。


参考文献・出典

  1. 経済産業省 「IT人材白書」2025 年版(https://www.meti.go.jp/)
  2. 総務省 「労働力調査」2023‑2025(https://www.stat.go.jp/)
  3. Selva Consulting, 「エンジニア意識調査 2025 Q2」(PDF)※公開日: 2025/06/30
  4. Recruit Holdings, 「SES エンジニア給与・インセンティブ実態調査」(2025)
  5. Unison Career, 「スキル要件比較ガイド」(2025)
  6. 各企業の公開情報(年次報告書、IR資料等)

※本稿で使用した数値は 2025 年第2四半期時点の公表データをもとに概算しています。最新情報は各出典元をご確認ください。

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