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Scrum ボード作成前の準備と基本概念
Scrum ボードは、スプリント計画からレビューまでの全工程を視覚的に管理できる重要なツールです。このセクションでは、Jira にプロジェクトがすでに存在しているか、そして プロジェクト管理者またはボード管理者権限が付与されているか を確認するポイントと、Scrum ボードが果たす役割を概観します。適切な権限が整っていれば、チーム全員が同じ基盤でアジャイル開発をスタートできることを保証します。
- スクラムボードの主な役割:バックログ整理・スプリント実行・進捗可視化
- 導入メリット:作業フローが一目で把握でき、デイリースクラムでの情報共有が円滑になる
ポイント:権限が正しく設定されていれば、数クリックでボードを構築できます。
Jira のプランと「テンプレートとして保存」機能の注意点
Jira Software ではプラン(Free・Standard・Premium・Enterprise)により利用できる機能が異なります。「テンプレートとして保存」は Premium、Enterprise、または Data Center の特定エディション でのみ提供されているため、事前に自分のプランを確認しておくことが重要です。以下ではプラン確認方法と代替手段について説明します。
プラン確認方法
- Jira にログインし、画面右上の ユーザーアイコン をクリック
- メニューから 「製品情報」 または 「サブスクリプション」 を選択
- 表示されたページに現在利用中の Jira Software プラン名 が記載されています
この画面で表示されるプランが Free/Standard の場合、テンプレート保存機能は利用できません。
テンプレート保存が使えないときの代替策
- ボード設定をエクスポート:管理者権限があれば「設定 → JSON エクスポート」から現在の列・スイムレーン構成を取得し、別プロジェクトで手動インポートできます。
- 共有ドキュメントに設定情報を記録:Confluence などにスクリーンショットと手順を書き残すことで、チーム全体で同一設定を再現可能です。
Jira で Scrum ボードを作成する手順
このセクションでは、Jira の UI を操作して Scrum ボードを作成する具体的な流れをステップバイステップで解説します。初心者でも迷わず進められるよう、各画面のポイントと注意点を合わせて記載しています。
「ボードを作成」から Scrum ボードを選択
まずは「ボード作成」ページにアクセスし、Scrum 用テンプレートを選びます。
- プロジェクトサイドバーの 「ボード」 をクリック
- 画面右上の 「ボードを作成」 ボタンを押す
- 表示されるテンプレート一覧から 「Scrum」 を選択
Atlassian の公式手順に沿った操作です[^1]。
ボード名の入力と作成実行
次にボードの名前を決めて、作成ボタンを押します。
- 「ボード名」フィールドに分かりやすい名称(例:
PROJ スクラムボード)を入力 - 「作成」 をクリックすると、空の Scrum ボードが即座に生成されます
名前は後から変更可能ですが、初期段階でチーム合意した名前を設定すると混乱が防げます。
フィルター(既存 JQL または新規作成)の設定方法と変更可否
ボードに表示させる課題を絞り込むためのフィルタを設定します。以下の手順で JQL を入力・保存できます。
- 作成画面の 「フィルタ」 セクションで 「既存フィルタ」 または 「新しいフィルタを作成」 を選択
- 例として次の JQL を入力すると、対象プロジェクトの Story と Task が表示されます
jql
project = "PROJ" AND type in (Story, Task)
- 「フィルタを保存」 → 「ボードに適用」 の順で確定
- 後からは ボード設定 → フィルタ から JQL を自由に編集可能です
フィルタは作成後でも変更できるため、運用開始後の調整が容易です[^2]。
バックログとスプリントの初期設定
バックログとスプリントを正しく構築すれば、デイリースクラムで即座に活用できます。このセクションでは課題タイプ・エピック表示の確認手順と、スプリント作成から完了までの流れを解説します。
課題タイプ・エピックの表示設定
バックログ画面でエピックや課題タイプが正しく表示されているかをチェックします。
- ボード左側の 「バックログ」 ビューを開く
- 右上にある 「エピックパネル」 アイコン(⚡)をクリックして表示させる
- 「課題タイプ」フィルタで Story、Task、Bug が一覧に出ているか確認
エピックが見えない場合は、ボード設定 → フィールド で「エピックリンク」を有効化してください。
スプリントの作成・開始・完了手順
スプリントを作成し、実際に開始・完了させるまでの具体的操作です。
- バックログ上部の 「スプリントを作成」 ボタンをクリック
- 作成したスプリントに対象課題をドラッグ&ドロップで割り当てる
- スプリント名と期間(例:
2026/05/20〜2026/05/27)を設定し、 「開始」 を選択 - スプリントが完了したら 「完了」 ボタンを押すと、ベロシティチャートに自動反映されます
Atlassian のチュートリアルでも同様の流れが推奨されています[^3]。
ボード設定メニューでのカスタマイズ
標準機能だけでも十分ですが、列・スイムレーン・カード表示項目を調整すると、チーム固有のワークフローに合わせた可視化が可能です。
列(ステータス)とワークフローのマッピング
列設定では Jira のステータスをボード上のカラムに紐付けます。
- ボード設定 → 列 を開く
- 各列に対応する Jira ステータスをドラッグ&ドロップで割り当てる
- 必要に応じて 「新しい列」 を追加し、不要な列は削除できる
例:
To Do → In Progress → Review → Doneの順に並べ替えると、一般的な Scrum フローが視覚化されます。
スイムレーンの種類と設定例
スイムレーンを使うことで課題をエピックや担当者ごとにグルーピングできます。
- ボード設定 → スイムレーン を選択
- 「スイムレーンの基準」から 「エピック別」, 「担当者別」, 「クエリ別」 などを選択
- エピック別にすると、各エピックごとにカードが横並びになり進捗比較が容易になる
カードの表示項目カスタマイズ
カード上に表示させる情報はプロジェクトの重点項目に合わせて選べます。
- ボード設定 → カードレイアウト に移動
- 「表示フィールド」から ストーリーポイント、優先度、担当者 などをチェックして追加
ストーリーポイントがカードに表示されると、ベロシティ計算が直感的になります。
ベロシティチャート・バーンダウンチャートの有効化と活用例
レポート機能でスプリント実績を定量的に評価できます。
- ボード上部メニューの 「レポート」 をクリック
- 「ベロシティチャート」「バーンダウンチャート」を選択すると自動集計が開始される
- スプリント開始前に目標ベロシティを設定し、終了時に実績と比較して改善点を抽出する
これらの標準レポートは追加プラグイン不要で利用可能です[^1]。
権限・共有設定と次のステップ
全員が同じボードを操作できる環境整備は、アジャイル成功の鍵となります。このセクションでは、権限付与とボード共有の具体的手順、そして導入後に検討すべき次のフェーズをご紹介します。
チーム全員へのボードアクセス権付与方法
権限はプロジェクトレベルで一括管理すると新規メンバー追加が楽になります。
- プロジェクト設定 → 権限 を開く
- 「ボード閲覧」および「ボード編集」の項目に、チームが所属する グループ(例:
scrum-team) または ロール(例:Developers) を追加
権限をプロジェクトレベルで統一すれば、新規メンバーも自動的にボードへアクセスできます。
ボードのテンプレートとして保存・再利用のヒント(プラン別注意点)
Premium 以上のプランでのみ利用可能な機能です。プラン確認後、以下手順でテンプレート化します。
- 完成したボード設定画面右上の 「…」 メニューから 「テンプレートとして保存」 を選択
- テンプレート名を入力し 「保存」 をクリック
テンプレートは別プロジェクトで同様の列・スイムレーン構成を即座に呼び出す際に便利です。プランが対象外の場合は、上記代替策(設定情報のエクスポート)をご活用ください。
よくある質問 (FAQ)
以下は Scrum ボード導入時に頻繁に寄せられる質問とその回答です。作業を進めるうえで参考にしてください。
| 質問 | 回答 |
|---|---|
| ボードの列が Jira のワークフローと合わない | ボード設定 → 列 でステータスのマッピングを見直すか、必要なら Jira のワークフロー自体を編集してください。 |
| テンプレート保存機能が表示されない | 現在のプランが Free または Standard の可能性があります。プラン確認ページで Premium 以上かどうかをご確認ください。 |
| スプリント開始後に課題を別スプリントへ移したい | ボード上のバックログビューに戻り、対象課題をドラッグ&ドロップすれば簡単に再割り当てできます。 |
| バーンダウンチャートが正しく表示されない | ストーリーポイントが未設定の場合はベロシティ計算の元データが不足しています。各課題にポイントを付与してください。 |
まとめ
- プロジェクトと権限の事前確認で、誰でもすぐに Scrum ボード作成が可能です。
- 「テンプレートとして保存」は Premium/Enterprise プラン限定機能なので、プランを必ずチェックしましょう。
- フィルタ設定・列・スイムレーンのカスタマイズはチームのワークフローに合わせて柔軟に調整できます。
- 権限付与と共有設定を適切に行うことで、全員が同一ビューで作業でき、アジャイルの効果が最大化します。
これらの手順を踏めば、Jira 上でスムーズに Scrum ボードを立ち上げ、継続的な改善サイクルへと移行できるでしょう。
[^1]: 「スペースに基づいてスクラム ボードを作成する」, Atlassian Support, https://support.atlassian.com/ja/jira-software-cloud/docs/create-a-board/
[^2]: Qiita記事「Jiraではじめるスクラム開発-スクラムボードの使い方初級編」, https://qiita.com/navitime_tech/items/602e60c41c036d8eae97
[^3]: Atlassian公式チュートリアル「Jira を使用したスクラムの学習のチュートリアル」, https://www.atlassian.com/ja/agile/tutorials/how-to-do-scrum-with-jira