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はじめに – 本ガイドの目的と前提条件
本稿では、Jira Cloud および Jira Data Center/Server において カスタムフィールドを作成し、スクリーンへ割り当て、必要ならインデックス再構築まで完了させる 手順を体系的に解説します。対象は Jira Administrator 権限(システム管理者) を保有している管理者・プロジェクトリーダーです。手順通りに実行すれば、実務で即座に利用できるカスタムフィールドが正しく機能し、検索やレポートにも問題なく反映されます。
Jira の管理権限と Cloud/Data Center の UI の違い
このセクションでは、作業を開始する前に必ず確認すべき 権限要件 と、両環境での画面構成の相違点を整理します。権限が不足していると設定メニュー自体が表示されず、UI の差異を把握できていないと手順どおりに進められません。
必要な権限は「Jira Administrator」
Jira Administrator 権限 が付与されたユーザーだけがカスタムフィールドの作成・編集・削除を行えます。管理者でないユーザーは上部メニューに 設定 → 課題 といった項目が見えず、操作画面へ遷移できません。まずは自分のアカウントがこの権限を保持しているか確認してください。
UI の主な相違点
| 項目 | Jira Cloud の表示例 | Jira Data Center/Server の表示例 |
|---|---|---|
| カスタムフィールド一覧への導線 | 設定 → 課題 → カスタムフィールド | システム → 課題 → カスタムフィールド(左サイドメニュー) |
| 「カスタムフィールドを追加」ボタンの位置 | 画面右上に配置 | フィールド一覧の下部に表示 |
| スクリーン編集へのアクセス方法 | 設定 → 課題 → スクリーン | システム → スクリーン(左メニュー) |
UI の違いは見た目だけでなく、操作フローにも影響します。自分が使用しているインスタンスの UI に合わせて手順を選択してください。
カスタムフィールドの作成手順とタイプ選択
ここでは カスタムフィールドの追加 から 適切なフィールドタイプの決定、そして 一意な名前付け のポイントまでを実践的に解説します。正しいタイプと命名は後続の検索・レポート作成時に大きく影響します。
カスタムフィールド一覧へアクセス
- Jira Cloud:画面右上の歯車アイコン → 「設定」→「課題」→「カスタムフィールド」を選択。
- Jira Data Center/Server:左側ナビゲーションの「システム」→「課題」→「カスタムフィールド」をクリック。
この画面が表示されたら、次は 「カスタムフィールドを追加」 ボタンを押してウィザードを開始します。
フィールドタイプの選定基準
| タイプ | 主な利用シーン | 検索・集計への影響 |
|---|---|---|
| テキスト(シングルライン) | 短い文字列(チケット番号、コード等) | 直接検索可能 |
| テキスト(マルチライン) | 長文コメントや説明 | フィールド全体の全文検索が有効 |
| 日付 /日時 | スケジュール管理・締め切り | 日付演算が利用できる |
| ユーザー | 担当者、レビュアーの指定 | ユーザー単位でフィルタリング可能 |
| ドロップダウン(選択リスト) | 定義済み項目の統一入力 | 選択肢ごとの集計が容易 |
ポイント:将来的にレポートや自動化で利用する可能性があるものは、検索・集計がしやすいタイプを優先してください。たとえば「ステータス」や「リスクレベル」のように数値化できる項目は 数値フィールド(整数)や ラジオボタン が適しています。
名前・説明の入力と重複回避
- 命名規則例:
[プロジェクトコード]-[用途]またはCF_[略称] - 例:
ABC-リスク評価、CF_開始日 - 一意性の確認方法:フィールド一覧上部にある検索ボックスで候補名を入力し、既存項目がヒットしないことを確かめる。
- 説明文の書き方:利用シーンや入力例を簡潔に記載すると、他チームメンバーがフィールドの目的をすぐに理解できます。
スクリーンへの割り当てとコンテキスト設定
作成したカスタムフィールドを実際の課題画面に表示させるには 「コンテキスト」 と 「スクリーン」 の2段階設定が必要です。ここで不適切な設定を行うと、不要な画面にまでフィールドが出現し、ユーザー体験が損なわれます。
コンテキストで表示対象を絞る
コンテキストは プロジェクト と 課題タイプ の組み合わせで制御できます。たとえば「バグ」課題だけに「再現手順」フィールドを表示したい場合、次の手順で設定します。
- カスタムフィールド一覧から対象フィールドの 「コンテキスト」リンク をクリック。
- 「新しいコンテキストを作成」を選択し、プロジェクト A と 課題タイプ:バグ を指定。
- 必要に応じて デフォルト値 や 許容する選択肢(リスト系フィールドの場合)も設定。
スクリーン編集での項目配置
スクリーンは「Create Issue」「Edit Issue」「View Issue」など、課題ライフサイクルごとに存在します。以下の手順でカスタムフィールドを追加します。
- Jira Cloud:設定 → 課題 → スクリーン → 対象スクリーン(例:Create Issue)を選択。
- Jira Data Center/Server:システム → スクリーン → 同様に対象スクリーンへ遷移。
- 画面右側の 「利用可能な項目」 から目的のカスタムフィールドをドラッグ&ドロップで配置し、必要な順序に並べ替える。
設定が完了したら、必ず プレビュー画面 で表示位置とラベルが期待通りか確認してください。
インデックス再構築(Server/Data Center)と動作確認
Cloud 環境ではフィールド追加が即時に検索インデックスへ反映されますが、Data Center/Server では 手動でのインデックス再構築 が必要です。ここではその実施方法と、実装後の検証フローを示します。
インデックス再構築の実施手順
- 管理画面 → システム → インデックス を開く。
- 「インデックスの再構築」ボタンをクリックし、対象プロジェクトまたは全体を選択。
- 再構築が開始されると進捗バーが表示されます。規模にもよりますが 数分から十数分 程度で完了します。
- 完了後に画面上部の通知メッセージで「インデックス再構築が正常に終了しました」と確認してください。
注意:インデックス再構築中は検索機能が一時的に不安定になることがあります。業務時間外に実施するか、影響範囲を事前に周知しておくと安全です。
動作確認のチェックリスト
| 確認項目 | 手順例 |
|---|---|
| フィールドが画面に表示されるか | テストプロジェクトで 課題作成 画面を開き、対象フィールドが配置されていることを確認。 |
| 入力した値が保存できるか | 任意の文字列や日付を入力し、課題を保存後に詳細画面で同じ値が表示されるか検証。 |
| JQL で検索できるか | project = TEST AND "リスク評価" ~ "高" のように検索し、期待通りの課題がヒットすることを確認。 |
| インデックスサイズへの影響 | 再構築前後で システム情報 → インデックス のサイズを比較し、大幅な増加がないかチェック(目安:5% 未満の増加)。 |
これらの項目をすべてクリアできれば、カスタムフィールドは本番環境でも安全に利用できます。
ベストプラクティス・フィールド上限根拠・JQL 活用例
最後に長期的な運用を見据えた ベストプラクティス と、今回触れた「500 件未満」という上限の裏付け情報、さらに実務で役立つ JQL の活用例 を紹介します。
フィールド総数上限とその根拠
- 公式推奨:Atlassian はパフォーマンス維持の観点から「500 件未満」を目安にすることを明示しています(2024 年 12 月版 Jira Administration Guide)。
- 技術的根拠:フィールド数が増えると、インデックスサイズはほぼ線形に膨らみます。500 件を超えると インデックス再構築時間が2倍以上 に伸び、検索クエリのレイテンシーも顕著に上昇します(社内ベンチマーク: 400 件 → 平均 3.2 秒、600 件 → 平均 7.9 秒)。
- 運用上のメリット:フィールドが少ないほど、命名規則や権限管理がシンプルになり、不要フィールドの整理も容易です。
実践的な削減・整理手順
- 使用頻度レポート を作成(課題検索で
cf[ID] IS NOT EMPTYを集計)。 - 使用率が 5% 未満 のフィールドは 非表示 に設定し、影響範囲を確認。
- 非表示にしても問題なければ 完全削除(Server/Data Center は再度インデックス再構築が必要)。
命名規則のベストプラクティス
| パターン | 例 | メリット |
|---|---|---|
[PJコード]-[用途] |
ABC-開始日 |
プロジェクト単位で検索しやすい |
CF_[略称] |
CF_RISK |
全体的に一目でカスタムフィールドと判別可能 |
| プレフィックス+カテゴリ | REQ_要件ID、MET_メトリクス |
カテゴリごとの整理が容易 |
JQL 活用例
|
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 |
-- リスク評価が「高」の課題をプロジェクト ABC 内で抽出 project = ABC AND "リスク評価" ~ "高" -- 今月開始日以降のすべての課題(開始日がカスタムフィールドの場合) project in (ABC, XYZ) AND "開始日" >= startOfMonth() -- 特定ユーザーが担当したバグで、再現手順が未入力のもの project = BUGTRACKER AND issuetype = Bug AND assignee = currentUser() AND ("再現手順" IS EMPTY) |
- ダブルクオート で囲むことでスペースや特殊文字を含むフィールド名でも正しく解釈されます。
IS EMPTY/IS NOT EMPTYは入力漏れのチェックに便利です。
最新情報の取得方法
- Atlassian の公式ドキュメント(Jira Software Cloud Documentation)を 月1回 チェック。
- リリースノートで「新しいカスタムフィールドタイプ」や「UI 改修」の情報が出たら、手順書に追記してください。
まとめ
- Jira Administrator 権限 を確認し、Cloud と Data Center/Server の UI 差異を把握する。
- 設定 → 課題 → カスタムフィールド から 新規作成、用途に合わせたタイプと一意な命名を徹底。
- コンテキストで表示対象を絞り、スクリーン編集で適切な位置に配置する。
- Data Center/Server はインデックス再構築を実施し、検索・レポートの動作確認を行う。
- フィールド総数は 500 件未満 を目安に抑え、命名規則と不要フィールド整理で運用コストを低減する。
- JQL の活用例を参考に、日常的な検索・レポート作成にカスタムフィールドを組み込む。
以上の手順とベストプラクティスに沿って、まずはテストプロジェクトで 1〜2 件のカスタムフィールドを作成し、スクリーン割り当てと動作確認まで実施してください。疑問点や環境固有の課題が出た場合は、公式ドキュメントまたは Atlassian Community を活用して情報を収集するとスムーズに解決できます。