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2026年版 自社開発エンジニアの給与概況
自社でプロダクトを創るエンジニアにとって、現在の市場水準を把握することは転職や昇給交渉の出発点です。本節では、2025‑2026 年に実施された SERAKU 調査 と App‑Tatsujin 2026 年レポート をもとに、平均年収・中央値・月額単価を示します。全体像が分かれば、自身の給与が市場と比べてどの位置にあるかすぐに判断できます。
平均・中央値・月額単価の全体像
以下の表は SERAKU が 2,400 件以上の実務データを統計処理し、2026 年版として公表した結果です(※1)。金額は 円 表記に統一し、千円単位で四捨五入しています。
| 雇用形態 | 平均年収 | 中央値年収 | 月額単価相場 |
|---|---|---|---|
| 自社開発エンジニア(正社員) | 8,300,000 円 | 8,000,000 円 | 700,000 円〜900,000 円 |
| SES 正社員 | 9,200,000 円 | 9,000,000 円 | 800,000 円〜1,000,000 円 |
| フリーランス(稼働日数260日換算) | 10,500,000 円* | 10,000,000 円* | 800,000 円〜1,200,000 円 |
* 年収は想定稼働日数(260 日)で算出した概算です。
ポイント
- 自社開発エンジニアの平均年収は 8.3 百万円 前後で、SES・フリーランスに比べて安定性が高い一方、単価はやや低めです。
- 月額単価 70〜90 万円は「基本給+賞与換算」の目安となります。
年代別・スキル別年収分布
エンジニアのキャリアステージごとに期待できる給与帯は大きく異なります。本節では、年代別に平均・中央値を示すと同時に、スキルが年収に与えるインパクトも併せて解説します。
20代後半(経験3〜5年)
若手エンジニアは実務経験の蓄積とスキルセット拡大が年収上昇の鍵です。App‑Tatsujin が集計した 2026 年版データを基に、平均・中央値を掲載します。
| 年代 | 平均年収 | 中央値年収 |
|---|---|---|
| 20代後半 | 7,340,000 円 | 7,200,000 円 |
解説
- 主なスキルは Web フロントエンド(React/Vue)と基礎的なクラウド運用です。
- AWS 認定やプロジェクトリーダー経験が加わると、同年代でも +300,000 円〜+500,000 円 の上昇が期待できます。
30代前半・後半
ミッドキャリア期は技術深度とマネジメント経験が給与に直結します。以下の表は App‑Tatsujin が提示した数値です(※2)。
| 年代 | 平均年収 | 中央値年収 |
|---|---|---|
| 30代前半 | 8,020,000 円 | 7,900,000 円 |
| 30代後半 | 8,620,000 円 | 8,500,000 円 |
解説
- AI/ML、クラウドネイティブ設計、マイクロサービスアーキテクトといった高度スキルが年収 +400,000 円〜+800,000 円 の増加要因です。
- プロジェクトリーダーやテックリードへの昇格に伴い、成果連動型ボーナスの比率も上がります。
40代以上(管理職・シニアスペシャリスト)
経験と組織内影響力が最大化する年代です。App‑Tatsujin の最新レポートによれば、平均年収は 9.3 百万円前後、上限は 12 百万円 に達します(※2)。
| 年代 | 平均年収 | 中央値年収 |
|---|---|---|
| 40代 | 9,300,000 円 | 9,100,000 円 |
解説
- 部門マネージャー手当や技術顧問料が給与に大きく寄与します。
- 大規模システム設計実績や複数プロダクトの統括経験がある場合、 12,000,000 円 近い年収も現実的です。
雇用形態比較(自社開発 vs SES正社員 vs フリーランス)
働き方によるリスク・報酬構造の違いは、キャリアプランを描く上で必ず検討すべきポイントです。ここでは SERAKU と App‑Tatsujin のデータを統合し、年収レンジとスキル別単価差異を比較します。
年収レンジと上限・下限
以下は 2026 年版の調査結果から抽出した数値です(※1、※2)。金額はすべて円表記に統一しています。
| 雇用形態 | 平均年収 | 下限年収 | 上限年収 |
|---|---|---|---|
| 自社開発エンジニア | 8,300,000 円 | 6,500,000 円 | 10,000,000 円 |
| SES 正社員 | 9,200,000 円 | 7,500,000 円 | 12,000,000 円 |
| フリーランス(日当ベース) | 10,500,000 円* | 8,000,000 円* | 15,000,000 円* |
* 年収は想定稼働日数と単価から算出した概算です。
ポイント
- SES とフリーランスは上限が高いものの、福利厚生や安定性は自社開発に劣ります。
- 収入変動リスクを許容できるかどうかが選択基準の一つになります。
スキル別単価差異(AI/ML・クラウド・DevOps)
スキルセットごとの月額/日当単価は、雇用形態によって大きく変動します。SERAKU のスキル別単価表(※1)から主要項目を抜粋しました。
| スキル | 自社開発(月額) | SES 正社員(月額) | フリーランス(日当) |
|---|---|---|---|
| AI/ML エンジニア | 80,000 円〜90,000 円 | 85,000 円〜100,000 円 | 10,000 円〜15,000 円 |
| クラウド(AWS/GCP) | 75,000 円〜85,000 円 | 80,000 円〜95,000 円 | 9,500 円〜14,000 円 |
| DevOps / CI/CD | 70,000 円〜80,000 円 | 75,000 円〜90,000 円 | 9,000 円〜13,000 円 |
解説
- AI/ML とクラウドはどの働き方でも「年収+400,000 円〜+800,000 円」の上昇が期待でき、特にフリーランスは日当単価で顕著です。
- スキル取得と同時に案件選定を行うことで、報酬の最大化が可能です。
企業規模別報酬構造:メガベンチャー vs スタートアップ
転職先として「大手」か「ベンチャー」かは給与だけでなく、ストックオプション(SO)や成長機会にも直結します。本節では代表的なケースを比較し、実際の SO 価値シミュレーションも提示します。
基本給・賞与の違い
メガベンチャーは安定した収益基盤により基本給が高く設定されやすく、年2回の賞与が標準です。一方スタートアップは基本給が若干低めですが、業績連動型ボーナスと SO が総報酬を補完します(※1)。
| 企業形態 | 基本給(月額) | 賞与(年2回) | 想定総年収 |
|---|---|---|---|
| メガベンチャー | 800,000 円〜1,100,000 円 | 2 カ月分〜4 カ月分 | 10,500,000 円〜14,000,000 円 |
| スタートアップ | 700,000 円〜950,000 円 | 成績連動型(0〜3 カ月分) | 9,000,000 円〜13,000,000 円(SO含む) |
ポイント
- 基本給だけで見るとメガベンチャーが有利ですが、SO の価値はスタートアップ側が大きく上回るケースがあります。
ストックオプション(SO)の実例と価値シミュレーション
以下は 2026 年に公開された AI スタートアップの事例です(※3)。付与株数・行使価格から算出した税引前評価益を年収換算しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 付与株数 | 10,000 株 |
| 行使価格 | 1,400 円/株 |
| 上場後株価(2 年) | 2,200 円/株 |
| 税引前評価益 | 約 5,700,000 円 |
| 年収ベース換算 | +560,000 円 |
解説
- SO は「行使価格」と「上場時の株価」の差が大きいほど価値が増します。成長フェーズのベンチャーでは、SO が年収 +300,000 円〜+800,000 円 程度のインパクトを持つことが珍しくありません。
- 交渉時には「付与株数」「権利確定スケジュール(Vesting)」と「企業評価額」の変動リスクを必ず確認しましょう。
地域・業界別給与差異と2026年の上昇要因
日本国内でも地域や業界ごとに報酬水準は大きく異なります。AI/クラウド需要の高まりとリモート手当が給与を押し上げる背景を踏まえ、主要エリア別の実態を整理します。
AI・クラウド需要とリモート勤務手当
2024‑2025 年に行われた一次調査(※1)によると、AI/ML エンジニアは年収ベースで +8 %〜+12 %、クラウドインフラエンジニアは +6 %〜+10 % の伸びが確認されています。さらにリモート手当が月額 20,000 円〜30,000 円 加算されるケースが 38 % に上ります。
| スキル | 前年平均年収 | 2026 年予測年収 |
|---|---|---|
| AI/ML エンジニア | 8,600,000 円 | 9,600,000 円 |
| クラウドエンジニア(AWS/GCP) | 8,300,000 円 | 9,000,000 円 |
ポイント
- スキル取得は最も確実な年収上昇策です。リモート手当を制度化している企業では、ベースサラリーに加えて +240,000 円〜+360,000 円/年 が見込めます。
関東・関西・地方の給与比較
App‑Tatsujin の地域別調査(※2)を基に、平均年収と主要業界の上位水準をまとめました。金額はすべて円表記です。
| 地域 | 平均年収(自社開発) | 金融系平均年収 | IT 系平均年収 |
|---|---|---|---|
| 関東(東京圏) | 8,700,000 円 | 9,200,000 円 | 8,900,000 円 |
| 関西(大阪圏) | 8,400,000 円 | 8,900,000 円 | 8,200,000 円 |
| 地方(北海道・九州等) | 8,000,000 円 | 7,800,000 円 | 8,200,000 円 |
解説
- 関東は全国平均より +5 % 高く、関西は +2 %、地方は ‑3 % 程度の差があります。
- 「地域手当」や「リモート勤務手当」の有無で、同スキルでも 200,000 円〜400,000 円 の年収差が生まれるため、転職交渉時の材料として活用できます。
年収交渉の実践テクニックとスキル投資シミュレーション
給与交渉は「数字」と「ストーリー」の両輪で成功します。ここでは具体的なフローと、資格・スキル取得がもたらす年収増加シミュレーションを提示します。
交渉フローと資料作成例
以下のステップは、SERAKU と App‑Tatsujin の統計データ(※1、※2)を根拠にした実務的な手順です。各段階で「何を」提示し、「どんな根拠」で裏付けるかがポイントになります。
- 市場ベンチマーク作成
- 自社開発エンジニアの平均年収 8,300,000 円と自分のスキルマッピング表を一覧化。
- 実績数値化
- 直近半年で達成した KPI(例:システム稼働率 99.9 % → コスト削減 5 %)をグラフ化し、レポート形式で提出。
- 代替オファー比較
- SES 正社員やフリーランスの単価と自社給与との差分表を作成し、「同等スキルならば +X 円が妥当」ことを示す。
- 提案パッケージ提示
- 「基本給+リモート手当」「ストックオプション追加」の2〜3通りのシナリオを用意し、相手に選択肢を与える。
- 合意タイムライン設定
- 交渉が決裂した場合は「次年度レビューで +10 %」と具体的な期間・条件を提示。
実務ヒント:数字だけでなく、上記ステップごとに「自分の貢献度」を一言添えると、感情的ではない客観的交渉が成立しやすくなります。
資格・スキル取得がもたらす年収増加シミュレーション
以下は 2026 年版 SERAKU データに基づき、代表的な資格・実務スキル取得後の想定増額を算出したものです。ROI(投資回収期間) を簡易計算し、優先度の目安も示しています。
| 資格/スキル | 取得前平均年収 | 想定増加額 | 増加率 | 推定 ROI (取得費用 ÷ 年収増加分) |
|---|---|---|---|---|
| AWS 認定 Solutions Architect – Associate | 8,300,000 円 | +300,000 円 | +3.6 % | 0.5 年 |
| GCP Professional Cloud Architect | 8,300,000 円 | +350,000 円 | +4.2 % | 0.6 年 |
| PMP(プロジェクトマネジメント) | 8,500,000 円 | +400,000 円 | +4.7 % | 0.7 年 |
| AI/ML 実務経験(TensorFlow・PyTorch) | 8,300,000 円 | +600,000 円 | +7.2 % | 1.0 年 |
| Kubernetes & DevOps (CKA) | 8,300,000 円 | +450,000 円 | +5.4 % | 0.8 年 |
シミュレーション例
- 30代後半エンジニア が AWS 認定と Kubernetes 認定を同時取得した場合、合計増額は約 +750,000 円。さらにリモート手当(+240,000 円)を加えると、総年収は ≈ 9,800,000 円(12 % 上昇)となります。
実務アドバイス:取得費用が 300,000 円程度の資格であれば、1 年以内に増額分で回収できるため、短期的なキャリア投資として有効です。
まとめ
- 平均年収は約 8.3 百万円。年代別では 20代後半が 7.34 百万円、30代前半・後半が 8.02〜8.62 百万円、40代が 9.3 百万円と上昇傾向にあります。
- SES 正社員・フリーランスは上限が高く、AI/ML やクラウドなど高度スキルで日当単価の差が顕著です。
- メガベンチャーは基本給と賞与が強み、スタートアップはストックオプション(SO)で総報酬を補完します。実例では SO が年収 +300,000 円〜+800,000 円 に相当します。
- 2026 年の給与上昇要因 は AI/ML・クラウド需要とリモート手当です。地域差は関東が約 +5 %、関西が +2 %、地方が ‑3 % 程度。業界別では金融系が最も高い傾向にあります。
- 交渉テクニック は「市場ベンチマーク」+「実績数値化」+「代替オファー比較」の三本柱で構成し、複数の提案シナリオを用意すると効果的です。
- スキル投資は年収 +300,000 円〜+600,000 円 が見込め、ROI が 1 年以内になる資格を優先すれば、短期的にキャリア価値が向上します。
これらの情報とシミュレーションを活用し、ご自身のキャリアプランと給与交渉に役立ててください。
脚注
- SERAKU 調査 2025‑2026 年版(社内給与データ 2,400 件以上、統計処理手法:多変量回帰分析)
- App‑Tatsujin 2026 年エンジニア年収レポート(全国 1,800 社・3,200 人対象アンケート調査)
- AI スタートアップ事例 – 株式上場前公開情報(2026 年 4 月プレスリリース、株価シミュレーション)