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Azure OpenAI Service の作成と有効化
Azure OpenAI Service をローカルで利用する第一歩は、Azure ポータル上にサービスリソースをデプロイし、使用許可(アクセス申請)を取得することです。本セクションでは、サブスクリプションの確認 → リソースグループとリージョンの選定 → サービス本体の作成という流れを順に解説します。事前に Microsoft の承認が必要な点を忘れずにチェックしてください。
サブスクリプションの確認と選択
Azure ポータルにサインインし、画面右上の 「サブスクリプション」 メニューから利用可能なサブスクリプション一覧を表示します。複数保有している場合は、後続のリソース作成で誤ったサブスクリプションを選択しないように、対象の名前や ID をメモしておきましょう。
リソースグループとリージョンの設定手順
- ポータル左側メニューから 「リソース グループ」 → 「追加」 をクリックします。
- 名前(例:
rg-openai-wsl) と、Azure OpenAI がサポートするリージョンを選択します。現在対応しているリージョンは公式ドキュメントの [Regional availability] ページで確認できます(https://learn.microsoft.com/azure/cognitive-services/openai/overview#regional-availability)。 - 作成が完了したら、左メニューの 「リソースの作成」 → 「AI + Machine Learning」 → 「Azure OpenAI」 を検索し、表示されたカードから 「作成」 をクリックします。
- 必要項目(サブスクリプション、先ほど作成したリソースグループ、リージョン)を入力し、「確認と作成」 → 「作成」 の順で完了です。
ポイント:Azure OpenAI Service は一部リージョンでのみ利用可能です。必ず上記リンク先の 対応リージョン一覧 を最新情報として参照し、対象リージョンを選択してください。また、サービス利用には事前に アクセス申請(https://aka.ms/oaiapply) が必要です。承認が下りるまでリソースは「作成中」ステータスのままとなりますのでご注意ください。
WSL2 環境のセットアップ(Windows 11 + Ubuntu)
ローカル開発環境として Windows 11 の WSL2 上に Ubuntu を導入すると、Linux と同様のシェルコマンドがそのまま利用できます。本セクションでは、WSL2 の有効化から必須パッケージのインストールまでを網羅的に説明します。
Ubuntu ディストリビューションのインストール
PowerShell(管理者権限)で次のコマンドを実行すると、Ubuntu が自動的にインストールされます。
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wsl --install -d Ubuntu |
インストール完了後は Windows ターミナルから wsl と入力して Ubuntu シェルへ入れます。
必須パッケージの更新と開発ツールの導入
Ubuntu 起動直後にシステムを最新状態にし、ビルドやネイティブ拡張が必要になるケースに備えて開発ツールをインストールします。
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# パッケージリスト更新+全パッケージのアップグレード sudo apt update && sudo apt upgrade -y # ビルド環境・ネットワークツール・バージョン管理ツールなど sudo apt install -y build-essential curl git python3-pip nodejs npm |
ポイント:
build-essentialは C/C++ のコンパイルや Python のネイティブ拡張ビルドに必須です。Node.js と npm も同時にインストールしておくと、後述する Azure OpenAI 用 CLI(npm パッケージ)をスムーズに導入できます。
Azure CLI と Azure AI Extension のインストール・認証
ローカルから Azure リソースへ API 呼び出しやリソース管理を行うために、Azure CLI と Azure AI(openai)拡張機能 をセットアップします。ここでは公式スクリプトによるインストール手順と、WSL 内での認証方法を示します。
Azure CLI のインストール(apt 経由)
Ubuntu 上で次のコマンドを実行すると、Microsoft が提供する公式インストーラが走り、最新バージョンの Azure CLI が導入されます。
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curl -sL https://aka.ms/InstallAzureCLIDeb | sudo bash |
インストール後は以下でバージョン情報を確認してください。
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az version |
Azure AI(openai)拡張機能の追加
CLI に OpenAI 用拡張機能を追加すると、az openai 系コマンドが利用可能になります。
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az extension add -n openai |
インストールが成功したら az openai deployment list --resource-group <RG_NAME> などでサブコマンドの一覧が表示されます。
az login による認証
WSL 内でブラウザベースの認証を行います。
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az login |
表示された URL を Windows の既定ブラウザで開き、Microsoft アカウントでサインインしてください。サインイン後にターミナルへ戻り、現在選択中のサブスクリプションが正しいか確認します。
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az account show # 必要に応じて az account set --subscription <ID> で切替 |
注意:WSL と Windows の認証情報は共有されません。必ず WSL 内で
az loginを実行してください。
Azure OpenAI CLI(Codex) の取得と環境変数設定
Azure OpenAI Service が提供するモデルのうち、コード生成に特化した Codex をローカルから呼び出すための CLI は、npm と pip のいずれかでインストールできます。どちらを選択すべきかの判断基準と、実際のインストール手順・環境変数設定方法を詳述します。
npm 版と pip 版の選択基準(導入文)
以下の表は、Node.js 環境が既に整っている場合 と Python 仮想環境で統一したい場合 のどちらが適しているかを比較したものです。
| 項目 | npm (@azure/openai-codex-cli) |
pip (azure-openai-codex-cli) |
|---|---|---|
| 前提ランタイム | Node.js 14 以上 | Python 3.8+ |
| 推奨インストール方法 | -g オプションでグローバル展開 |
仮想環境 (venv または conda) 推奨 |
| アップデート頻度 | Microsoft の公式リポジトリと同調 | 同上 |
| 実行ファイル名 | codex |
codex |
npm 版インストール手順(導入文)
Node.js がインストール済みの場合は、以下のコマンドでグローバルに CLI を展開します。
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sudo npm i -g @azure/openai-codex-cli |
インストール後にバージョンを確認し、正しくパスが通っていることを確かめます。
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codex --version |
pip 版インストール手順(導入文)
Python 環境で統一したい場合は、仮想環境を作成してから CLI をインストールします。
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# 仮想環境作成 python3 -m venv codex-env source codex-env/bin/activate # pip のアップグレードと CLI インストール pip install --upgrade pip pip install azure-openai-codex-cli |
仮想環境内でバージョン確認を行います。
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codex --version |
必須環境変数の設定(導入文)
Azure OpenAI Service のエンドポイント、API キー、デプロイ名は Azure ポータル上のリソースページから取得できます。これらをシェル起動時に自動で読み込むよう .bashrc に追記しましょう。
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# ~/.bashrc 末尾に追加 export AZURE_OPENAI_ENDPOINT="https://YOUR-RESOURCE-NAME.openai.azure.com/" export AZURE_OPENAI_API_KEY="xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx" export AZURE_OPENAI_DEPLOYMENT_NAME="codex-deployment" |
設定を反映させるにはターミナルを再起動するか、次のコマンドを実行します。
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source ~/.bashrc |
ポイント:環境変数はシェルごとに有効です。VS Code の統合ターミナルでも同様に参照できるように、必ず
.bashrcに記述してください。
VS Code 拡張機能「Azure OpenAI」のインストールと連携確認
Microsoft が公式に提供している Azure OpenAI(旧称 Azure AI Tools)拡張は、VS Code から直接 Azure OpenAI Service のエンドポイントやデプロイメントを呼び出すことができます。本セクションでは、正しい拡張名とインストール手順、そして CLI との接続テスト方法を解説します。
拡張機能の検索・インストール手順(導入文)
- VS Code の左サイドバーで 「Extensions」 アイコン(四角形が4つ集まったもの)をクリック。
- 検索欄に 「Azure OpenAI」 と入力し、Microsoft が提供する拡張(
ms-openai.azure-openai)を選択。 - 「Install」 ボタンを押してインストールが完了するまで待ちます。
⚠️ 以前は “Azure OpenAI Codex” という名称で参照されることがありますが、2024 年時点の公式名称は 「Azure OpenAI」 です。Marketplace のページ URL(https://marketplace.visualstudio.com/items?itemName=ms-openai.azure-openai)でも確認できます。
拡張と Codex CLI の接続テスト(導入文)
拡張インストール後、コマンドパレット(Ctrl+Shift+P)で次のコマンドを順に実行し、環境変数と同一の設定が反映されているか確認します。
| コマンド | 説明 |
|---|---|
Azure OpenAI: Set Endpoint |
.bashrc に設定した AZURE_OPENAI_ENDPOINT の値を貼り付け |
Azure OpenAI: Select Deployment |
デプロイ名(例:codex-deployment)を選択 |
Azure OpenAI: Choose Model |
使用したいモデル(例:code-davinci-002)を指定 |
エディタ内でコード生成を実行する方法(導入文)
拡張が正しく接続されていると、エディタ上のコメントから直接コード生成が可能です。以下の手順で試してみましょう。
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# generate a Python function that checks whether a string is a palindrome |
- カーソルを上記コメント行に置く
- キーボードショートカット
Ctrl+Enter(デフォルト)またはコマンドパレットのAzure OpenAI: Generate Codeを実行
生成された関数がエディタに自動挿入されれば、VS Code 拡張と Codex CLI の連携は成功です。
Tips:頻繁に使用する場合は、
settings.jsonに次の設定を追加すると毎回入力が不要になります。
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{ "azureOpenAI.endpoint": "https://YOUR-RESOURCE-NAME.openai.azure.com/", "azureOpenAI.deploymentName": "codex-deployment", "azureOpenAI.model": "code-davinci-002" } |
動作テスト・トラブルシューティングと次のステップ
実装後は必ず動作確認を行い、エラーが出た際は以下の対処法を参考にしてください。ここでは認証エラー、リージョン不一致、バージョンミスマッチなど典型的な問題点を網羅しています。
認証エラー対策(導入文)
| エラーメッセージ | 主な原因 | 解決策 |
|---|---|---|
401 Unauthorized |
API キーが無効、期限切れ、または環境変数未設定 | Azure ポータルで新しいキーを発行し、.bashrc の AZURE_OPENAI_API_KEY を更新 |
403 Forbidden |
リソースへのアクセス権限不足(ロールが足りない) | サブスクリプションの IAM で Owner または Contributor ロールを付与 |
リージョン・エンドポイント不整合の確認(導入文)
Azure OpenAI Service はリージョンごとにエンドポイントが固定されています。誤ったリージョンを選択すると 404 Not Found が返ります。
- ポータルのリソースページで 「エンドポイント」 をコピー
.bashrcのAZURE_OPENAI_ENDPOINTと一致しているか確認
最新の対応リージョンは常に公式ドキュメント(上記リンク)でチェックしてください。
CLI と拡張機能のバージョン不整合対策(導入文)
CLI と VS Code 拡張が異なるリビジョンだと CLI version mismatch エラーが発生します。以下コマンドでそれぞれを最新に保ちましょう。
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# CLI のバージョン確認と更新(npm 版) codex --version sudo npm i -g @azure/openai-codex-cli@latest # pip 版の場合 pip install --upgrade azure-openai-codex-cli # VS Code 拡張の更新 code --install-extension ms-openai.azure-openai --force |
実際に Codex を呼び出すテスト例(導入文)
ターミナルで次のコマンドを実行し、JSON 形式のレスポンスが返ってくるか確認します。
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codex chat "Write a JavaScript function that returns the factorial of a number." |
期待される出力は以下のようなコードスニペットです。エラーなく表示されたらローカル環境から Azure OpenAI の Codex が正常に利用できていることになります。
まとめ
| 手順 | 主なポイント |
|---|---|
| 1. Azure ポータルでリソース作成 | サブスクリプション・リージョンの確認、事前アクセス申請が必須 |
| 2. WSL2 + Ubuntu の構築 | build-essential など開発必須パッケージをインストール |
| 3. Azure CLI と openai 拡張の導入 | az login による認証とサブスクリプション設定 |
| 4. Codex CLI の取得 | npm または pip から好きな方でインストール、環境変数を設定 |
| 5. VS Code Azure OpenAI 拡張の導入 | 正式名称「Azure OpenAI」を使用し、エンドポイントとデプロイ名を設定 |
| 6. 動作確認 & トラブルシューティング | 認証・リージョン・バージョン不整合に注意 |
上記手順をすべて完了すると、Windows 11 の WSL2 上で Azure OpenAI Service(Codex) を利用したコード自動生成がシームレスに体験できます。開発効率向上のために、定期的に拡張機能と CLI のバージョンをチェックし、公式ドキュメントの最新情報(特にリージョン対応表)を参照することを忘れないでください。
本稿は2024年時点の情報を元に執筆しています。Azure サービスは頻繁に更新されるため、常に Microsoft の公式サイトや Marketplace の最新ページをご確認ください。