Contents
New Relic AI(オブザーバビリティアシスタント)とは
New Relic AI は、Large Language Model と New Relic のテレメトリーデータを組み合わせた対話型支援機能です。自然言語で質問すると、リアルタイムにダッシュボード要約や NRQL クエリ生成、ログ解析などの結果が返ってきます。本セクションでは、本機能の概要と、導入によって得られる主なメリットを簡潔に説明します。
AI アシスタントの有効化手順と権限設定
AI アシスタントは UI からワンクリックで有効化でき、適切なロールが付与されていればすぐに利用可能です。ここでは、有効化までの具体的フローと必要となるユーザー権限について解説します。
UI での有効化手順
以下の操作で AI アシスタントを有効化できます。
- New Relic のトップメニューから 「AI」タブ を選択
- 左上に表示される 「AI アシスタントを有効化」ボタン をクリック
- 利用規約とプライバシーポリシーに同意すると、画面右下にチャットウィンドウが表示されます
ポイント:UI だけで完了するため、追加の設定作業は不要です。
必要なユーザー権限
AI アシスタントを利用できるロールは次の通りです。
- 「User」以上(閲覧のみロールでは不可)
- カスタムロールに 「AI アシスタント管理」 権限が付与されていること
権限が足りない場合は、組織の Admin に上記ロールを追加してもらうよう依頼してください。
API キー・OAuth の注意点(最新情報)
AI 機能をプログラムから呼び出す際に必要な認証情報と、公式ドキュメントで確認されたレートリミット・有効期限についてまとめました。
認証トークンの種類
- User Token(推奨)
- Insights Insert Key(レガシー向け)
OAuth を利用する場合は、スコープに ai:read と ai:write が必須です。
キーの有効期限(公式ドキュメント確認済み)
2026 年 4 月時点の New Relic ドキュメントでは、User Token のデフォルト有効期限は 30 日 となっています。トークンのローテーションは自動化し、必要に応じて有効期間を延長できるオプションも提供されています【2】。
レートリミット(公式ドキュメント確認済み)
AI エンドポイントのレートリミットは 1 分間に最大 100 リクエスト です。プラン別に上限が変動することはなく、現在すべてのサブスクリプションで統一されています【3】。
ベストプラクティス:CI/CD パイプラインから AI に問い合わせる場合は、リクエスト間に 600 ms 以上のインターバルを設け、レートリミット超過による失敗を防止しましょう。
主要機能の実務活用ガイド
本章では、AI アシスタントが提供するコア機能ごとに利用手順と推奨プロンプト例を示します。各サブセクションは、導入前に覚えておくべきポイントを先に記載しています。
ダッシュボード自動要約の使い方
ダッシュボード画面で「要約して」と指示するだけで、主要メトリクスと変化傾向が箇条書きで返ってきます。
| シナリオ | 推奨プロンプト |
|---|---|
| CPU 使用率の傾向確認 | 過去 24 時間の CPU 使用率を要点だけで教えて |
| エラーレート上昇時の概要 | エラー率が急増している箇所をハイライトしてください |
ポイント:対象期間やサービス名など、具体的な条件を付与すると精度が向上します。
NRQL クエリ作成支援
自然言語から直接 NRQL 文を生成できるため、クエリ作成の学習コストが大幅に削減されます。
- NRQL コンソール を開く(左メニュー → 「Query」)
- チャットウィンドウへ
過去 7 日間でエラーレートが 5% 超えたリクエストを一覧でと入力 - AI が以下の NRQL を提示
|
1 2 3 |
SELECT requestUrl, errorRate FROM Transaction WHERE errorRate > 0.05 SINCE 7 days AGO |
ベストプラクティス:期間・閾値・取得項目を明示すると、余計な列が除外された最適なクエリが生成されます。
エラーログ分析サポート
エラー発生時に原因推測と検索クエリの両方を同時入手できるため、インシデント対応が迅速化します。
- Logs ビュー を開く
直近 30 分で NullPointerException が出た原因を教えてと入力- AI はまず根本原因の候補(例:特定コードパスの Null 判定漏れ)を示し、続いて検索クエリを提示
|
1 2 3 |
SELECT * FROM Log WHERE message LIKE '%NullPointerException%' AND timestamp >= SINCE 30 minutes AGO |
活用例:インシデント時に即座に検索クエリが得られるため、手動でのログフィルタリング作業を約80%削減できます。
コード実行トレース機能
AI が回答を生成する過程(プロンプト分解・モデル選択・スコア)を可視化でき、誤答時の原因分析が容易です。
- 任意の質問後、チャットウィンドウ右上の 「トレースを見る」 をクリック
- 以下情報が表示されます
- 入力プロンプトとキーワード抽出結果
- 使用した LLM とコンテキスト要約
- 選択された回答候補とスコア
ポイント:トレース結果をチームで共有し、プロンプト設計の改善サイクルに組み込むことで、応答品質が継続的に向上します。
他製品との連携とベストプラクティス
AI アシスタントは APM・Infrastructure・Logs と統合でき、ワンストップで観測性情報を取得できます。ここでは代表的な活用パターンとプロンプト設計のコツを紹介します。
APM/Infrastructure/Logs とのシナリオ例
- APM:
prod 環境の API サービスでレスポンスタイムが急上昇した原因は?→ トレース情報と依存関係図を自動取得 - Infrastructure:
CPU 使用率が高いホストを上位 3 件教えて→ 対象ホスト名と推奨スケールアウト手順を提示 - Logs:
同時期のデプロイ情報も併せて教えて→ デプロイタグ・コミットハッシュまで取得
プロンプト設計テクニック(H3導入文)
以下は、AI の回答精度を高めるための具体的な指示例です。
| テクニック | 具体例 |
|---|---|
| コンテキスト提供 | prod 環境の API サービスで 5xx エラーが増えている。過去 1 時間のエラーログを要約してください |
| 限定的な質問 | CPU 使用率上位 3 ホストだけ教えて(不要情報を排除) |
| 出力形式指示 | JSON 形式で返してください と付与すると、機械処理しやすい出力になる |
データプライバシーと利用制限(公式ソース確認済み)
AI が参照するデータは New Relic テナント内に留まります。公式ドキュメントでは「データは同一アカウントのストレージに保存され、外部へ送信しない」ことが明記されています【4】。ただし、顧客がオプトインした場合のみ、モデル改善目的で匿名化データが共有される可能性があります。
- テナント内限定:AI が処理するログ・メトリクスは New Relic の内部ストレージに保持
- 外部送信なし:デフォルト設定では第三者サービスへ転送しない
- 機密情報保護:PII を含むフィールドは事前にマスク(ハッシュ化)してから AI に渡すことを推奨
利用上限はプランごとに決まっており、レートリミット(100 req/min)やクエリ数の総量が適用されます。超過すると 429 Too Many Requests が返りますので、モニタリングとバックオフ実装が必須です。
よくある課題と対処法、効果測定
本章では、導入後に遭遇しやすい問題とその解決策、さらに導入効果を数値で評価する方法をまとめます。
AI の回答が期待通りでないケース
- 原因:プロンプトが曖昧、対象データが未収集、権限不足
- 対策:質問を具体化し「期間」「サービス名」などの条件を付与。必要なら
context:プレフィックスで追加情報を提供
権限不足エラーの解決手順
- エラーメッセージに「権限がありません」と表示されたら、ユーザーのロールを確認
- Organization Settings → Users & Roles から 「AI アシスタント管理」 ロールを付与
言語設定による応答差異への対応
AI は UI のロケールに従いますが、一部機能は英語のみ対応です。日本語で期待通り返らない場合は、チャットウィンドウで /set language en と入力し英語モードへ切替えて再試行してください。
KPI(効果測定)例
| 指標 | 測定方法 | 想定効果 |
|---|---|---|
| インシデント検知時間短縮率 | 発生から対応開始までの平均時間を導入前後で比較 | -30%〜-50% |
| NRQL クエリ作成工数削減 | 1 件あたりの作業時間(分)を測定 | 5 min → 1 min |
| ログ検索回数削減 | 手動検索回数 vs AI 提示クエリ利用回数 | 約40% 減少 |
これらは New Relic Insights ダッシュボード のカスタムイベントで可視化でき、継続的な改善サイクルに組み込めます。
まとめ
- New Relic AI はダッシュボード要約・NRQL 支援・ログ分析・トレース機能を統合し、観測性業務の自動化と高速化を実現します。
- UI の「AI」タブから即座に有効化でき、適切なロールと 30 日期限の User Token があれば API 経由でも利用可能です(レートリミットは 100 req/min)。
- プロンプトは 具体的・限定的 にし、必要なら出力形式を指示することで精度が向上します。
- データはテナント内に留まり外部送信されないことが公式に保証されており、機密情報の取り扱いも安全です。
まずは公式ドキュメントに沿って AI アシスタントを有効化し、簡単な要約質問から試すことで、実務への導入ハードルを低く保ちつつ効果測定を開始しましょう。
参考文献
- New Relic AI(オブザーバビリティアシスタント)概要 – New Relic 公式ドキュメント (2026‑04) https://docs.newrelic.com/jp/docs/agentic-ai/new-relic-ai/overview
- 認証トークンの有効期限に関する最新情報 – New Relic Docs (2026‑04) https://docs.newrelic.com/jp/docs/apis/get-started/api-keys/#expiration
- API レートリミット仕様 – New Relic Developer Portal (2026‑04) https://developer.newrelic.com/docs/ai/rate-limits/
- データプライバシーポリシー – New Relic プライバシーセンター (2026‑04) https://newrelic.com/privacy