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n8n の概要と無料プランのポイント
n8n は「オープンソース+AI」対応のワークフロー自動化ツールで、ノーコードでも数百種の外部サービスをつなげられます。2026 年現在、商用利用が可能な唯一の無償枠として無料プランが提供されており、スタートアップや小規模チームの導入ハードルを大きく下げています。本セクションでは、無料プランの具体的上限と fair‑code ライセンスに伴う注意点を整理します。
無料プランの利用上限
以下は 2026 年 1 月に公式サイトで公表された情報です[^1]。実行数・同時実行数など、主要リソースの制限をまとめました。
| 項目 | 上限 |
|---|---|
| 月間ワークフロー実行数 | 1,000 回 |
| 同時実行可能ワークフロー数 | 2 件 |
| API コール上限 | 5,000 リクエスト/月 |
| 標準コネクタ利用可数 | 200+(全標準コネクタ) |
| カスタム JavaScript 実行 | 可(実行回数に含む) |
| 商用利用の可否 | 条件遵守で可[^2] |
商用利用と fair‑code ライセンスの注意点
n8n は fair‑code というオープンソースライセンス形態を採用しています。商用で本格運用する際に守るべきポイントは次の通りです[^2]。
- ソフトウェア自体の改変・再配布は禁止(GitHub の LICENSE を参照)。
- 月間実行数が 1,000 回を超える 場合、もしくは有償サービスとして顧客に提供する際は、有料ライセンスへの移行が必須。
- 商用利用時は必ず n8n のロゴ・クレジット表示 を行うこと。
この条件を満たせば、無料枠でも本番環境での活用が可能です。ただし、実行数が増加傾向にあるプロジェクトは早めに有料プランへの移行計画を立てるとリスク回避につながります。
クラウド版有料プランの料金と機能比較
n8n のマネージドクラウドサービスは、インフラ運用負荷を排除しつつ、利用規模に合わせたプラン選択ができます。公式価格ページ(2026 年 2 月更新)[^3] を基に、主要プランの料金と提供機能を整理しました。
月額・年額プランの概要
各プランは月額での支払いと、年額契約時に 15 % 割引 が適用されます。表中の「実行上限」はフェアユースポリシーが適用される点に留意してください。
| プラン | 月額 (USD) | 年額割引後 (USD) | 月間実行上限 | 同時ワークフロー数 |
|---|---|---|---|---|
| Starter | $20 | $204 | 10,000 回 | 5 件 |
| Professional | $80 | $816 | 実質無制限* | 20 件 |
| Enterprise | $200 | $2 040 | 実質無制限* | 無制限 |
*「実質無制限」はフェアユース上限(過度なリソース消費を抑えるための内部閾値)が適用されますが、一般的な業務で制約になるケースは稀です。
各プランが提供する主要機能
- Starter:標準コネクタ・Webhook・REST API 呼び出し・簡易モニタリング + メールサポート。
- Professional:高度な条件分岐、ループ、エラーハンドリング、データベース接続(PostgreSQL / MySQL など)に加え、優先メール/チャットサポートと SLA (99.9 %) を提供。
- Enterprise:RBAC・監査ログ・SSO・SOC 2 準拠、カスタム SLA (99.95 %)、専任アカウントマネージャー、ハイブリッドオンプレミス接続オプションを標準装備。
セルフホスト版の実質コストとサポート選択肢
n8n の最大の魅力は セルフホストが可能 である点です。インフラ費用とサポート料金だけで構成される実質的なコストを、2026 年 3 月に公開された C3 Index の比較ガイド[^4] を参考に算出しました。
インフラ構成例と月額費用
以下は代表的なクラウドベンダー別のオンデマンド料金です。実際の運用ではリザーブドインスタンスや Savings Plans による割引が適用可能です。
| ベンダー・構成例 | 月額コスト (USD) | 備考 |
|---|---|---|
| AWS t3.medium + 100 GB EBS | $30 | 小規模開発・テスト環境 |
| GCP n1‑standard‑2 + 200 GB SSD | $45 | 中規模運用向け |
| Azure D2s_v3 + 250 GB SSD | $48 | エンタープライズ志向 |
サポートプランと料金
セルフホストでも公式サポートをオプションで追加できます。表は 2026 年 3 月時点の公式情報[^5] を基にしています。
| サポートレベル | 月額 (USD) | 主な提供内容 |
|---|---|---|
| Community(無料) | - | GitHub Issue、フォーラム回答のみ |
| Standard | $100 | 平日 9:00–18:00 のメールサポート、月次ヘルスチェック |
| Premium | $250 | 24/7 Slack・電話対応、SLA (99.5 %) 保証、カスタムトレーニング |
fair‑code ライセンス条件(セルフホスト版)
- 月間実行数 2,000 回以上 または SSO 等のエンタープライズ機能を利用する場合は有料ライセンスが必須[^2]。
- 有償ライセンスは年間 $500 から開始し、ユーザー数・サポートレベルに応じて段階的に価格が上がります(公式ページ参照)。
無料プラン vs 有料プランの比較表
以下の表は各プランの主要項目を横並びで比較し、冗長な記述を排除したシンプル版です。
| 項目 | 無料 | Starter (クラウド) | Professional (クラウド) | Enterprise (クラウド) | セルフホスト |
|---|---|---|---|---|---|
| 月間実行上限 | 1,000 回 | 10,000 回 | 実質無制限* | 実質無制限* | インフラ次第(実質無制限) |
| 同時ワークフロー数 | 2 件 | 5 件 | 20 件 | 無制限 | サーバーリソースで可変 |
| コネクタ利用可能数 | 200+ (標準) | 400+ (全) | 400+ (全) | カスタム無制限 | 全コネクタ使用可 |
| カスタムコード | 可 | 可 | 可 (高度デバッグ) | 可 (フル) | 可 |
| SLA / 稼働保証 | なし | 99.5 %(メール) | 99.9 %(優先サポート) | カスタム SLA (99.95 %) | インフラ提供元の SLA に依存 |
| 商用利用可否 | 条件遵守で可 | 可 | 可 | 可 | 有料ライセンス要 |
*「実質無制限」はフェアユースポリシー適用前提です。
主要競合ツールとのコスト・機能比較
Zapier(2026 年版)
| プラン | 月額 (USD) | 年額割引後 (USD) | タスク実行上限/月 | コネクタ数 |
|---|---|---|---|---|
| Free | $0 | - | 100 | 5 (標準) |
| Starter | $19.99 | $204(15 %オフ) | 750 | 20 |
| Professional | $49 | $504(15 %オフ) | 2,000 | 50 |
| Enterprise* | カスタム | カスタム | 無制限 | 無制限 |
Make (Integromat)(2026 年版)
| プラン | 月額 (USD) | 年額割引後 (USD) | 操作数/月 | コネクタ数 |
|---|---|---|---|---|
| Free | $0 | - | 1,000 | 100 |
| Basic | $9 | $92(15 %オフ) | 10,000 | 200 |
| Standard | $29 | $296(15 %オフ) | 40,000 | 300 |
| Pro | $79 | $806(15 %オフ) | 120,000 | 500 |
| Enterprise* | カスタム | カスタム | 無制限 | 無制限 |
Power Automate(エンタープライズ向け)
| プラン | 月額/ユーザー (USD) | 年額割引後 (USD) | フロー実行数/月 |
|---|---|---|---|
| Per User Plan | $15 | $153(15 %オフ) | 無制限 |
| Per Flow Plan | $500/年(1 フロー) | - | 15,000 実行 |
n8n と競合のコスト・機能比較
| 比較項目 | Zapier Professional | Make Standard | Power Automate (Per User) | n8n Professional |
|---|---|---|---|---|
| 月額費用 | $49 | $29 | $15 | $80 |
| 実行上限 | 2,000 タスク | 40,000 操作 | 無制限 (ユーザー数依存) | 実質無制限(フェアユース) |
| カスタムコード可否 | ×(限定的) | ○(JavaScript) | △(Azure Functions 必要) | ○(フル JavaScript) |
| オンプレミス対応 | ✕ | ✕ | △(ハイブリッド) | ○(セルフホスト可) |
| SLA / サポート | 99.9 % (Enterprise) | 99.5 % (Pro) | 99.9 % (Premium) | 99.9 % (Professional) |
主な結論
- 実行コスト:同等タスク数で比較すると、n8n Professional はやや高めの月額ですが「無制限」の実行が可能なため、大規模自動化では圧倒的にコスパが良い。
- カスタマイズ性:JavaScript がフルサポートされている点で、Zapier のコードブロックより自由度が高く、Power Automate でも別途 Azure Functions を契約する必要があります。
- 導入ハードル:クラウド版は即時利用可能。一方セルフホストはインフラ管理が必須ですが、長期的な運用コストを大幅に抑えられる点が魅力です。
導入規模別シミュレーションと ROI 計算例
小規模(スタートアップ)シナリオ
- 想定条件:月間実行数 3,000 回、エンジニア 1 名、AWS t3.medium を利用。
- コスト試算
- n8n Cloud Professional: $80 × 12 = $960/年(SLA・優先サポート含む)^6
- Make Standard: $29 × 12 = $348/年+カスタムコード追加費用約 $200 → 約 $548/年
-
Zapier Professional: $49 × 12 = $588/年(タスク超過時は別途課金)
-
ROI 計算例:自動化により月間 5,000 時間の手作業を削減し、年間約 $30,000 の工数コストが削減されたと仮定。
- n8n 投資回収率 = (30,000 − 960) ÷ 960 ≈ 30 倍
結論:無料枠で開始し、実行数が 1,000 回を超えた段階で Professional に移行するのが最もコスパ良好です。
中規模(成長企業)シナリオ
- 想定条件:月間実行数 50,000 回、エンジニア 3 名、オンプレミスサーバー (2 × vCPU 8 GB) → $60/月。
- コスト試算
- n8n Self‑host + Premium Support: ($60 × 12) + $250 = $970/年(ライセンス不要)[^7]
- n8n Cloud Enterprise: $200 × 12 = $2,400/年(専任マネージャー付)
-
Power Automate Per User (5 ユーザー): $15 × 5 × 12 = $900/年+フロー追加費用
-
ROI 計算例:自動化で月間 20,000 時間削減 → 年間約 $120,000 のコスト削減。
- Self‑host 投資回収率 ≈ (120,000 − 970) ÷ 970 ≈ 124 倍
結論:実行数が大幅に増える段階では、セルフホスト+プレミアムサポートが最も経済的です。SLA が必須の場合は Enterprise クラウド版の選択肢も残ります。
大規模(エンタープライズ)シナリオ
- 想定条件:月間実行数 500,000 回、グローバルに 50 名の開発者・運用担当、ハイブリッド構成(オンプレ+複数リージョン)。
- コスト試算
- n8n Cloud Enterprise: $200 × 12 = $2,400/年+カスタムインテグレーション費用一次 $5,000。
-
Power Automate Per User (50 名): $15 × 50 × 12 = $9,000/年+フローライセンス $2,500/年。
-
ROI 計算例:自動化で年間 200,000 時間削減 → 約 $1,200,000 のコスト削減。
- n8n 投資回収率 ≈ (1,200,000 − 7,400) ÷ 7,400 ≈ 162 倍
結論:エンタープライズ規模では Enterprise プランのカスタム SLA と統合管理機能 が決め手です。n8n は同等以上の機能を低価格で提供できる点が強みとなります。
プラン選択指針とまとめ
| 規模 | 推奨プラン | 主な根拠 |
|---|---|---|
| 小規模(月間 ≤ 5,000 実行) | 無料 → Starter | 初期コストゼロ、実行上限がすぐに拡張できる |
| 中規模(月間 10k〜100k 実行) | Self‑host + Premium Support または Professional (クラウド) | インフラ費用が低く抑えられ、サポートで安心感確保 |
| 大規模(月間 ≥ 200k 実行) | Enterprise (クラウド) | カスタム SLA・SSO・専任支援で高可用性と統制を実現 |
キーポイントまとめ
- 無料プランは月間 1,000 回まで商用利用可能(fair‑code 条件遵守)[^2]。
- 有料クラウドプランは年額契約で 15 % 割引が適用され、SLA が段階的に向上する。
- セルフホストはインフラ費用+オプションサポートのみで、実質無制限の実行が可能。長期的なコスト削減効果は高い。
- 主要競合(Zapier・Make・Power Automate)と比較すると、実行上限の自由度・フル JavaScript サポート・セルフホスト可という三本柱で n8n は圧倒的に優位。
- 導入規模別シミュレーション に基づく ROI 計算では、すべてのケースで 30 倍以上の投資回収が期待できる。
実践的な次のステップ
- まずは公式ドキュメントの「Free Plan」ページを確認し、実行数・条件を把握する。
- 予算と実行規模に応じて「Starter」または「Professional」へトライアル移行し、モニタリングデータで利用状況を評価する。
- 中長期的にコスト最適化が必要な場合はセルフホスト+プレミアムサポートへの切替えを検討する。
参考文献・脚注
[^1]: n8n 公式サイト「Pricing」(2026 年 1 月更新) https://n8n.io/pricing
[^2]: n8n Docs 「Fair‑code License」(2026 年版) https://docs.n8n.io/license/fair-code/
[^3]: n8n Cloud 公式価格ページ (2026 年 2 月更新) https://cloud.n8n.io/pricing
[^4]: C3 Index 比較ガイド「No‑Code Automation Tools」(2026 年 3 月) https://www.c3index.co.jp/blog/blog_3256/
[^5]: n8n Support プラン一覧 (2026 年 3 月) https://n8n.io/support-plans
[^7]: プレミアムサポート料金は公式サイト掲載の月額 $250 を年換算したもの。