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はじめに
SculptrVR は VR 空間で直感的に彫刻できる人気アプリです。作成したモデルを他のツール(Blender、Unity など)へ持ち出す際は FBX 形式が最も汎用性が高く、VRChat や自作 VR アプリでも広く利用されています。本稿では、2024‑2025 年に公開された公式リリースノートやヘルプページを元に、2026 年現在確認できている手順と注意点 をまとめました。
注記
2026 年版 UI の詳細や「FBX エクスポートプリセット」機能については、公式サイト上で明確な情報が見当たらないため、本稿では 確認できている範囲 に限って解説しています。新しいアップデートが出た場合は、必ず公式ドキュメントをご確認ください。
エクスポート手順と UI の位置付け
1. 現行 UI(2025 年末までに確認できた情報)
公式ヘルプページ(最終更新:2025‑11‑30)では、「ファイル」→「エクスポート」→「FBX (.fbx)」 がすべてのプラットフォームで共通メニューとして記載されています。
| プラットフォーム | 操作手順 |
|---|---|
| Oculus Quest 2 | コントローラー左側の A ボタン → ハンバーガーメニュー(画面左上) → ファイル → エクスポート → FBX (.fbx) |
| Steam (PC) | キーボード・マウスでハンバーガーメニューを開き、同様に ファイル > エクスポート > FBX (.fbx) を選択 |
ポイント
- メニュー構成は「ハンバーガー → ファイル → エクスポート → FBX」の 3 階層で統一されています。
- UI が変更された場合は、アプリ内の「設定」→「ヘルプ」から最新情報を取得してください。
2. 「FBX エクスポートプリセット」について
2024 年末にリリースされたアップデートノートで 「エクスポートプリセット」 の導入が示唆されていますが、具体的な項目や UI 表示は公式サイト上に公開されていません。そのため、本稿では 「手動で設定できる主要パラメータ」(スケール・軸変換・マテリアル出力)を中心に解説します。
推奨される FBX エクスポート設定
| 項目 | 推奨値 | 理由 |
|---|---|---|
| スケール | 0.01(1 cm = 1 unit) | Unity・Blender のデフォルト単位がメートル (1 unit = 1 m) で、インポート時の補正が不要になるため |
| 軸変換 | Y → Z 入れ替え | VR 空間では Z 軸が上方向になるため、エクスポート時に自動変換させると Blender/Unity で横倒しにならない |
| マテリアル出力 | 別ファイル(.mtl)形式で書き出す | 大容量テクスチャを埋め込むと FBX が肥大化する。別ファイルにしておけば Unity や Blender で個別に設定しやすい |
| ポリゴン上限警告 | 40 000 頂点以上で警告が出る(公式ヘルプ参照) | 超過すると Unity のインポートエラーになることが多いため、事前に削減しておく |
実践的な設定例
- エクスポート画面の「詳細設定」タブで スケール = 0.01、軸変換 = Y→Z、マテリアル出力 = 別ファイル を選択。
- ポリゴン数が上限に近い場合は、SculptrVR 内の「Retopology」ツールで ポリゴン削減(目標 ≤ 40 k) を行う。
エクスポート後のファイル検証方法
1. サイズと構造の簡易チェック
| 判定基準 | アクション |
|---|---|
| ファイルサイズ < 10 MB | テクスチャが埋め込まれていないことを示すので、通常は問題なし |
| 10 MB ≤ サイズ ≤ 50 MB | テクスチャが外部ファイルとして出力されている可能性。マテリアルパスが正しいか確認 |
| > 50 MB | 埋め込みテクスチャや高ポリゴンが原因の可能性。エクスポート設定を見直す |
2. Blender の FBX インスペクタで階層・マテリアル確認
- Blender 3.6(以降)を起動 →
File > Import > FBX - インポート時に「Import Settings」の “Show Hierarchy” をオンにし、アウトラインビューでオブジェクト階層が保持されているか確認。
- マテリアルタブで Material_001 などの名前が出力されているかチェック。
ポイント:インポート直後に「Missing Textures」や「No UVs」の警告が出たら、エクスポート時のマテリアル設定を再確認してください。
Blender へのインポート手順と調整ポイント
| 手順 | 設定項目 |
|---|---|
| 1. FBX インポート | Axis Forward: Z、Axis Up: Y、Apply Scale: FBX_SCALE_ALL |
| 2. スケール補正 | global_scale = 1.0(スケールはエクスポート時に既に調整済み) |
| 3. 必要に応じて回転補正 | Z 軸回転 90°(π/2 rad)をオブジェクトに適用 |
| 4. 法線の再計算 | Edit Mode → Mesh > Normals > Recalculate Outside |
スクリプト例(Blender Python コンソール)
|
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import bpy # FBX インポート bpy.ops.import_scene.fbx( filepath="C:/models/your_model.fbx", axis_forward='Z', axis_up='Y', global_scale=1.0, apply_scale_options='FBX_SCALE_ALL' ) # 必要なら 90° 回転(X 軸回転) for obj in bpy.context.selected_objects: obj.rotation_euler[0] += 1.5708 # π/2 rad # 法線再計算 bpy.ops.object.mode_set(mode='EDIT') bpy.ops.mesh.normals_make_consistent(inside=False) bpy.ops.object.mode_set(mode='OBJECT') |
マテリアルの再設定
- 外部 .mtl が出力されている場合は、Blender の
Material > Use Nodesを有効にし、テクスチャ画像(Albedo, Normal, Roughness)を手動で割り当てると PBR 表示が正しくなる。 - テクスチャが欠落 している場合は、エクスポート時の「マテリアル埋め込み」設定を再確認。
Unity へのインポート手順と設定項目
- FBX を Assets フォルダへドラッグ&ドロップ
- インスペクタで以下の項目をチェック・変更
| 設定項目 | 推奨値 |
|---|---|
| Scale Factor | 1 |
| Import Normals | Calculate |
| Materials | Extract (Separate) |
| Generate Lightmap UVs | 有効 |
| Mesh Compression | Medium(ポリゴン数が多い場合) |
- テクスチャの割り当て
Assets/Texturesに PNG/JPG をコピーし、マテリアルのBase Mapにドラッグ。-
法線マップは
Normal Mapスロットに設定し、インスペクタで「Create → Normal map」に変換。 -
コリジョン用低ポリゴンメッシュ(パフォーマンス最適化)
- 高解像度モデルとは別に、Blender の Decimate Modifier で 10 %〜30 % に削減した Mesh を作成し、Unity で
Mesh Colliderに設定。
注意点:Scale Factor が 1 以外になると、VRChat や自作 VR アプリでサイズが変わってしまうため必ず確認してください。
よくあるエラーと対策(FAQ)
| エラー | 発生原因 | 解決策 |
|---|---|---|
頂点数オーバー (Mesh has 45,200 vertices) |
FBX が 40 000 頂点の上限を超えている | SculptrVR の Retopology ツールで削減、または Blender の Decimate Modifier を使用 |
テクスチャ欠落(Missing texture) |
マテリアルが埋め込み設定になっていない、または .mtl が正しく出力されていない | エクスポート時に「マテリアル別ファイル」オプションを有効化し、Unity/Blender で手動再割り当て |
| 法線が逆向き(暗くなる・裏面表示) | 軸変換やスケール補正の不一致 | Blender の Recalculate Normals を実行、または Unity のインポート設定で Import Normals = Calculate を有効化 |
| インポート時にオブジェクトが崩れる | Y/Z 軸変換が反映されていない | Blender インポート時に Axis Forward: Z / Axis Up: Y、Unity ではスケールと回転を確認 |
チェックリスト形式の作業フロー
| フェーズ | 必要な作業 | 完了チェック |
|---|---|---|
| A. エクスポート前 | - モデルのポリゴン数が 40 k 未満か確認 - Retopology で不要メッシュを削除 |
☐ |
| B. エクスポート設定 | - スケール = 0.01 - 軸変換 Y→Z を有効化 - マテリアルは別ファイル出力 |
☐ |
| C. エクスポート実行 | - ファイル > エクスポート > FBX (.fbx) を選択- 保存先を分かりやすいフォルダに指定 |
☐ |
| D. ファイル検証 | - サイズチェック(10 MB 未満が目安) - Blender で階層・マテリアル確認 |
☐ |
| E. Blender インポート | - Axis Forward: Z / Axis Up: Y 設定- 必要なら 90° 回転と法線再計算 |
☐ |
| F. Unity インポート | - Scale Factor = 1、Import Normals = Calculate - テクスチャを手動で割り当て |
☐ |
| G. 最終確認 | - VRChat/自作アプリにインポートテスト - コリジョン・パフォーマンスチェック |
☐ |
参考リンク
- SculptrVR 公式ヘルプ(最終更新 2025‑11‑30)
https://www.sculptrvr.com/help - Unity Manual – FBX Import Settings
https://docs.unity3d.com/Manual/FbxImport.html - Blender Documentation – Importing FBX Files
https://docs.blender.org/manual/en/latest/addons/import_export/fbx.html - Qiita 記事「SculptrVR → VRChat にモデルを流す」
https://qiita.com/medamap/items/e299e940e671ebdcd5fe
まとめ
1. UI は共通メニュー 「ファイル > エクスポート > FBX」で操作でき、プラットフォーム間の差はほとんどありません。
2. スケール 0.01・Y→Z 軸変換・マテリアル別出力 が最も汎用的で、Unity と Blender の両方に問題なく取り込めます。
3. エクスポート直後の サイズチェック と Blender インスペクタ で構造を確認し、異常があれば SculptrVR 側でリトポロジーや設定変更を行います。
4. Blender では 軸変換と法線再計算 を必ず実施し、Unity へは Scale Factor = 1 と Normals = Calculate を設定すれば、ほぼそのまま使用可能です。
5. 頂点数オーバー・テクスチャ欠落・法線逆転はそれぞれのツールで対処できるので、チェックリストを活用して段階的に確認してください。
この手順とチェックポイントを踏めば、SculptrVR からエクスポートしたモデルを安全かつスムーズに次工程へ移行できます。 Happy modeling!